【序論】

『BØY』12巻172頁『るろうに剣心』8巻32頁
『BØY』12巻172頁『るろうに剣心』8巻32頁

 この画像になぜ和月宏伸が盗作するかが集約されていると言っても過言ではない。
 腕の効果線は時計回りと反時計回りが混在してるし、『BØY』の日々野晴矢はパンチを腕でしっかりブロックしてるのに対し、斎藤一の腹にパンチを入れてしまっている。あまつさえ握り拳から人指し指を浮かせてしまう。「劣化コピー」という言葉がこれほど似つかわしい絵はない。
『空手バカ一代』を描いた、つのだじろうの言葉を見よ。

自分が修練し、空手を知らなくては、本格の空手漫画など描ける筈がない。正拳突きひとつ。まわし蹴りひとつ描いても、知らなければ、ウソッパチの絵になる。したがって『空手バカ一代』の漫画は、私の描いた分に関しては自慢じゃないが、大山総裁ご本人の、お墨付きなのである。

空手バカ一代 (故)大山倍達師をしのんで

 格闘技の実体験がない、あるいは体験できないなら、取材を重ねるなり、資料を収集するなりして補えばよい。
 1巻か2巻で短命に終わったプロレス漫画を読む。するとプロレスラーに取材したことを作者は嬉々として中書きに記している。取材にかこつけてサインをもらいに行ってるだけのような気もするが、ともあれ作者がプロレス好きであることは伝わってくる。
 ではなぜ和月宏伸は取材も資料収集もしないのであろうか。
『歌でしか言えない』という題のアルバムが中島みゆきにある。内面から沸き上がる何かがあり、それを最大限に発揮できる媒体で表現するのが創作行為だと思う。日々の糧のために漫画家になることを選んだ和月宏伸には(『剣心華伝』144頁『ホップ★ステップ賞SELECTION』6巻102頁)、"少年漫画でしか描けない"ものがない。
 少年漫画にも格闘技にも思い入れがないのに格闘シーンをどう描くか。格闘シーンを描けないのに無理して描くと、桐山光侍のように描けなくなってしまわないか。いや、その怖れはない。他の漫画を見て適当に写すという一番手っ取り早い方法を採ればよいのだから。
 他人の絵を写して金を得たいなら、プロ・アシスタントかアニメーターになればよかったのだ。




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