8章 転生

何かが、腹部に触れていた。
触れられた箇所から、徐々に暖かさが浸透し、傷の痛みと苦しみが和らいでいく。
まともに呼吸が出来るようになり、濡れそぼっていた全身から少し汗が引いた。
触れているのが誰かの手だと気づいて、エレーン・ダイアは目を醒ました。

木洩れ日から窺える太陽の位置は中天。時刻は真昼を少し過ぎた頃か。
緑の強い香りが鼻腔をくすぐる。彼女はいまだ闇の森にいた。

黒髪を切りそろえた年若い魔女が、屈みこんでいた。
背中には漆黒の翼。
黒づくめな事をのぞけば、神官戦士のそれによく似た武装を身につけている。
視線が合った。
魔女は冷たく笑うと、顎をしゃくって背後に呼び掛けた。
「エレーンさんが、目覚めました」
その声には、何処かで聞き覚えがある。

動こうとして、力なく上げられた自分の手が金髪の女剣士の目に入った。
目を疑う。完全に蒼白い色。薄闇色をした魔女の色。
「……く?」
慌てて、自分の肌を見る。
だが、驚愕して見つめているうちに、それは普段の肌の色へと戻っていった。
腹の傷を見る。
エレーンの傷は癒えていた。
だが、鈍いような脈動する痛みが、消えたわけではなく、
一時的に姿を消したに過ぎないと教えていた。
もう驚く事にも疲れ果てて、エレーンはため息をついた。

魔女の皇が、エレーンへと歩み寄ってきた。
傍らにあった剣を握って、無言で向ける。さすがに、これ以上は付き合えなかった。
金髪の剣士の感情を表わさない冷たい瞳に怯んだかのように、魔女の皇が立ち止まった。
「……これ以上、心も、躰も、もてあそばれるのは御免です」
エレーンの声に応じて、魔皇が
「人の姿の擬態が破れたのよ。
体が完全に癒える前に、傷口が開いたから」
「……擬態?」
魔皇が疲れたように、呟いた。
「覚えていないでしょうね。貴女は、あの時、闇の森で、私に切られて死んだの」
「…………」
金髪の剣士は、冷たい瞳で見つめたまま、魔皇に視線で続きを促した。
「殺すのに忍びなかったから、一時的に私の力を注いで、仮初めの魔女として傷を癒した。
後は、生命力を注いで少しずつ傷を癒し、同時に闇の精を取り除いて人に戻していた」
丁度、二ヶ月前の戦いと同じように、
倒れ伏したエレーンに歩み寄りながら、黄金の瞳の魔女は言葉を紡いでいく。
「そのままでは人の世界に戻れないから、
傷を癒し、人に安定させてから帰すつもりだった」

「もう少しの時間があれば、いずれ仮初めの癒しが、現実の傷を凌駕して、死を駆逐し
完全な人の健康体へと戻せるはずだった」
魔皇が、黄金の瞳をたゆたせて忌々しげに舌打ちした。
「実際、サリアソリュートが余計な事をしなければ、それは上手くいったでしょうね。
出来るなら、貴女の望む世界へ戻してあげたかった」

「でも、もう駄目。手遅れよ。人としての器は破れてしまったんだもの」
エレーンの気力がひび割れて、目の前が真っ暗になっていく。
では、魔皇は約束を守ろうとしていたのか。自分の行動は全て裏目に出たのだろうか。
魔女の皇の話が真実だとしたら、自分たちはとんだ道化者だと自嘲の笑みを浮かべる。
「そう哀しい顔をしないで、それに私はこうなることを心の何処かで期待していた、
今はとても嬉しい」
エレーンの顔に手を指し伸ばし、そっと愛しげに頬を撫でた。
「魔女の世界も悪くないわ」

「……私は人間だわ」
言葉に、傷がうずいた。
魔皇が、肯いた。
「……そうね。向こうに大切な者も待っているようだったから、私も帰してあげたかった」

「でも、一度、魔女として発現しつつある以上、貴女は、もう二度と人には戻れない」
エレーンは、唾を飲み込んだ。
「一度殻を破った鳥の雛が、卵に戻れないように。
今後、貴女が人の姿を取れるようになったとしても、
それは魔女が人の皮を被ったというだけ……受け入れなさい」
詠うように、鳥が囀るように、美しい声で冷酷な事実をエレーンに突きつけた。
「それでも……私は……」
「魔女の世界にも拠らず、人の世界にも安住の地を持たず、
近しい者達を謀ってまで何時、見抜かれないかと脅えながら暮らしていくことになる」
自分が魔女として人に迫害される姿を思い浮かべ、エレーンは脅えた。
王国の兵として、虜囚になった魔女たちの悲惨な姿を目にしているだけに、
虜囚となった自分がどう扱われるかの想像は容易であった。
それでも友を信じて、昏い未来を提示する魔女の脅迫を跳ね除けた。
「ミュラは…私を、きっと受け入れてくれる」
「人と魔女は決して相容れない。愛していればいるほど、魔女はその人間を喰らいたくなる。
それは魔女の魂に根ざした、根源の欲求よ。本能を抑えるのは容易ではない」
「それとも、その大切な誰かを、仲間にする?」

「いやよ、いや…」

「来なさい。エレーン・ダイア。
私は貴女が気に入っている。決して悪いようにはしないわ。
魔女としての命を受け入れなければ、傷に喰われて死ぬわよ」
多分、魔皇の言葉は真実なのだろう。彼女の言葉に嘘は感じない。
全ての事実を受け入れてエレーンの頬から、涙が流れた。
静かに泣きながら、眼を瞑る。

「魔女に……」
「うん?」
目を見開いて、応えた。諦めたような、泣くような表情で笑う。
「魔女には……ならない。このまま、ここで、人として死ぬことにするよ・・・・・・」
言葉と共に、エレーンの腹部から血が拭き出した。
少女の顔が、苦しげに歪んだ。
「そう…それ本気でいってるの?」

濡れた瞳で見上げて、金髪の剣士は肯いた。
同時に、ゆっくりと背中から地面に倒れていく。
「残念、本当に残念」


魔女の皇は、ただ泰然として立ち尽くしていた。
「仲間に成らないなら、成らないでもよかった。
でも、こんな形で失うことには……耐えられそうも無い」
苦しそうに呟いた。
「……ヤーマ」
「なに?」
「色々とありがとう……楽しかったよ。」
「……え?」
腹部から、血液と共に命が洩れていく。
自分が死んでいくのを確かに感じながら、エレーンは魔女の皇に最後の別れを告げた。
「最後に側に誰かがいてくれて、良かったよ。それがあなたでよかった。
一人で死ぬよりは、ずっといい」
そう云って、目を瞑ろうとした。
「……わたしは貴方を失いたくない。
たとえ、あなた自身の望みに反しても、私の物にすると決めたわ」
激情を押さえかねたかのように、震える魔皇の声。
「……え?」
魔皇は、自らの胸に指をつきいれた。
苦悶の表情を浮かべながら、心臓の漆黒の血が吹き出た。
闇夜のように冥い、虚ろな血液。
「何を…する気?」
自らの血で胸元を濡らしながら、手についた心臓の血を舐め取って、
エレーンに近づき、髪をかき上げつつ、口づけした。
「…ん…ん〜〜〜〜!!」
口移しで強引に自分の黒曜石の色の血液を飲ませていく。
エレーンの唇が、口腔が、喉が、胃が焼けて、
躰に何か、おぞましい意思を持った物が侵入してきた。
そのまま意識を失う。

再び、目を醒ます。
黄昏時、西の空が茜色に染まっていた。
エレーンは、生まれたままの姿である。
剣も、服も、どこかへと失せている。
全裸のまま、周囲を見渡した。
辺り一面、これまで見たことがないほど木々が以上に密集している
まるで灰色の樹の壁である。
異常に密集している木々が、複雑に絡み合い、
名状しがたい怪奇な形態を誇示しながら繁茂している。
なのにこの巨大な空間だけは、見たことがないほどに巨大な空間が広がっている。
まるで異形の樹を恐れた木々が、近づくのを躊躇っているかのようでさえある。
空き地の真ん中には、一本の巨木。
聳え立つ灰色の巨大な樹には、深淵の裂け目のような巨大な洞が、
黒くぽっかりと口を開けている。
闇に飲み込まれるような気がして、蟠った暗黒に恐怖を覚えて、後退った。

「うう……ああ…ん」
弱々しい呻き声。
周囲を見回して、倒れている人影を見つける。
サリア、赤毛の魔女が全裸で、弱々しく肩で息をしていた。
躰には、蒼白い体液が振り掛けられている。
「サリア……一体なにがあったの」
「彼女は、お仕置きされたんですよ」
「…お仕置き?」


幼さの残る容貌の若い魔女。木の枝に腰掛けて、こちらを見下ろしている。
見覚えがあった。
闘技場で戦っていた魔女だ。あの時にはなかった黒翼を折りたたんで、見下ろしながら
観る者を不快にする、馬鹿にしたようなせせら笑いを口元に貼り付けている。
隠し切れない愉悦を湛えた魔女の表情と、その言葉に凶々しい予感を覚えて
エレーンは知り持ちしたまま後退りした。
鼠を弄ぶ猫の表情を思わせて
「貴女を癒したわたしへの御褒美です。サリアを好きにしていいって、」
癒しの術、そして声にも聞き覚えがあった。
今こそ誰かわかった。
「……リズね。貴方も魔女に」

「そうです。エレーンさん」
若い魔女の表情と視線には、冷たい感情。
掛けられたのは嘲るような喜悦の声音。
「そして、これから貴方も。
サリアソリュートや、このリズェンシャヴィヤ同様。我が主が直々に……」


巨木の樹の洞の暗渠より、魔女の皇がようよう姿を現した。
同じような全裸で、エレーンにゆっくりと歩み寄ってくる。
「あなたは意志が強いから……」
漆黒の液体が満たされた杯を手にしている。
自らの体液と何かの入り混じった杯を煽ると、ヤーマはエレーンの首を掴んだ。
口移しで強引に喉に流し込む

喉が焼けた。
強烈な酒を煽ったように、エレーンは咳き込んだ。
「げほっ!ゲほっ」

「ふふ、わたしの精とこの万年の妖樹のエキスが入り混じった極上の媚薬よ。
どんな女でも淫蕩な雌に堕とすわ」
その言葉にゾッとして、のどに指を突っ込んで、吐き出そうとするが、
薬は砂地に水が吸い込まれるかの如く、素早く金髪の剣士の躰に吸収されてしまっていた。
「はぁっ、効いてきたわぁ」
黄金の瞳の魔女が、胸の前で手を合わせて、ゆっくりと躰を揺らした。
陶然とした表情。
股間の巨大な男根が隆起していく。
「なによそれ」
経験がないわけではない。過去に恋人もいた。
間近で見たこともある。だが人間の男性のそれと、魔女の股間から生えたそれは余りにも違いすぎた。
巨大で、ごつごつとし、黒いイボがびっしりと表面を覆っている。
まるで未知の海洋生物のようであった。
「くっ、来るな」
「いいけど、我慢できるの?」
「え、」
ドクンと、胸の奥で心臓が刎ねた。
「はっああああああ」
いきなり、脳が灼熱した。
「あああああ!!」
呼吸が乱れた。全身が灼熱していく。意志の抑制が効かない。
股間が失禁したかのように濡れていた。

目の前にある少女の巨大な陽根。
数瞬ほど前までは、気分が悪くなるほどグロテスクな器官としか見えなかったそれが
いまのエレーンには、まるで掛け替えのない宝物のように、
「はああっ……」
涎を垂らしながら、少女の股から屹立した
ほしいほしいほしい
膣と子宮に思考を支配され、性欲だけが金髪の女剣士の脳裏を塗りつぶしていった。

ゆっくりと手を指し伸ばして、エレーンはそれを掴もうとする。
魔皇が意地悪するように笑うと、それはヒュっと引っ込められた。
なんで、なんでぇ
エレーンは、酷い焦燥感と、切迫感に襲われて、泣き呻いた。
「ひどいよぉ、ヤーマぁ」

エレーンが陽根を求める。
魔皇が、引っ込める。
しばらく、じらし続けた。
「…舐めさせて…触れさせて……入れて、入れてぇ!!」
乳首を赤く晴らせ、股と併せて三つの真珠を勃起させ、
上と舌の口から涎を垂れ流しながら、エレーンは懇願した。


自分のクレヴァスに指を伸ばし、激しくかき回した。
中枢神経を通して、快楽が脳髄を直撃する。
そこはひくひくと踊り狂い、貪欲に指を飲み込んでいく。
「ああ……どうして、どうしてなのぉ」
胸を揉み、熱いしずくに濡れた指を、自分で嘗め回しながら、舌でしゃぶる。
涙を流しながら、
「体が熱いの、すごくしたいの……変よこんなに
してほしい、してほしいよヤーマァ」



なのに脳髄の奥には、ひりつくような快楽への飢餓感が貪欲なうめきを上げていた。
何かが足りない。蒼白い魔女の精を受けなければ、
このひりつく飢餓感は収められそうにない。
快楽への凶悪な禁断症状に、狂いそうになりながら、金髪の女剣士は
苦しげにのた打ち回っていた。
「ああっ、いけないッ、いけないよぉッ
気持ちいいのにいけないのぉッ」
「エレーン」
魔女に、優しい声を掛けられた。
「ああ……」
それだけで、エレーンの潤んだ泉からどっと蜜が溢れた。
尻に、魔皇の手が掛かった。
餓え切った秘密の唇が、それだけで物欲しげに涎を垂らしてひくつき、
浅ましく、おねだりした。
「ねえ、エレーン?」
「はぁぁ、はいぃッ」
魔女の皇を見上げる。
「この間の話、考えてくれた?」
「さっきの話……なんだっけ?」
エレーンの脳は、何も思い出せない。
「私の仲間になったら、ご褒美を上げるって」
「なかま?御褒美……ごほうびぃッ!」
言葉だけに反応して、狂ったようにすがり付いて、魔皇の股に舌を這わせた。
「ああ……ほしい、ほしいのぉ、御褒美、ほしいぃ
ヤーマ、お願い、入れて入れてよぉ、あなたのチ○ポ、ここに欲しいよぉ……」
今まで口にしたことがない淫乱な娼婦の様な、いやらしい言葉で、
必死に魔女におねだりした。

尻を振っておねだりするエレーンを、ヤーマはどこか哀しげな視線で眺めると、
優しく声を掛けた。
「なら、仲間になってくれる」
「それは……」
エレーンが躊躇する。
と、ヤーマは自分の股間のそれを、エレーンにくちゅりと押し付けた。
「はぁ…する、あなたに仕えるわ。
魔女軍の兵士になる。だから…」
涎を垂れ流しながら、尻を押し付けて美々しい馳走を飲み込もうとした。
「違うわ。そんな事じゃ、これは上げられない」
後一歩、そうほくそえみながら、どこか自嘲するような
ヤーマは、巧みに腰を引かせて、じらした。長い黒髪を揺らして、残酷に笑う。
「……違う……違うって?」
エレーンは、半泣きになりながら、
「……何が違うのォ?分からないよぉ……」
「私の仲間になる。そう誓いなさい。そう、魔女になると……」
「魔女に……」
その言葉に蕩けかかっていたエレーンの意識の一部が覚醒した。
恐怖に目を見開いて、ヤーマを見つめる。
「やぁ……それだけは」
「そう、いいわ」
くじゅう、そう湿った音を立てて、ヤーマが己の雁だけ、エレーンの中に埋め込んだ。
それは、麻薬のような効果を金髪の女剣士に表わした。
電気のような快楽が全身に走った。
「ふぐううう!!」
短い金髪を振り乱し、涎を垂れ流しながら、仰け反った。
細く、熱い、灼熱の紅い糸が胎の奥から伸びて、胸や足、腕、頭の先まで走って、
全身を絡めとっていく。
エレーンは全てを食べようと、ヤーマの下半身に足を絡めて、腰を前に動かした。


「ふ……つああ」
ヤーマがまた、巧みに腰をずらして逃した。
「酷い、酷いよ、ヤーマ、どうして、どうして、いれてくれないのぉ?」
「入れてあげるわ。一言、ただ一言、魔女になる。そう誓えばいいの。
それだけで、御褒美上げる」
魔皇がにっこりと笑う。
「ごほうび……?」
エレーンは、子供のようにヤーマを見上げた。
「御褒美、凄いわよ?何日でも、ぶっ通しで抱いてあげる。あなた一人を、ね。」
エレーンの凛とした美貌からは、精悍さが揮発してだらしのない表情になっていた。
それでも、心の一部が頑強に抵抗し、黄金の瞳の少女の誘惑を必死に否定する。
「いや、いや……いやあ」

既に辺りは暗闇に包まれていた。
天頂には、蒼の月が、姿を現していた。
星空には、ビロードに宝石をぶちまけたかのように星々が煌めいている。
エレーンは、もう半日近く弄られ、焦らされっぱなしであった。
体中を愛撫されながら、止めの一撃がこない、その余りの辛さに、
金髪の女剣士が舌を噛もうとしても、その度に魔女は事前に察して
鋼鉄のような指と舌を口腔内に差し入れてきて邪魔をする。
死ぬ事も逃げる事も許されず、胸を焼く赤黒い炎と、切迫感が、
エレーンの意志と心を深く蝕んでいく。
「ひ……ひぐぃ……あっはあぁぁ!!」

死ぬ事を逃げる事も許されず、殆んど理性が崩壊しかけている生贄を眺め。
くすくすと、ヤーマは魔女の微笑を浮かべた。
だが、魔皇の表情には、微かな焦りも浮かんでいた。

「ミュラ……助けて……ミュラ……」
うわ言のように、エレーンは繰り返し、この場にいない友人に助けを求めていた。

ねぇ、ミュラ
何よ。エレーン
いつもあなたに守られていたじゃない。
でも戦場なら、わたしがあなたを守る機会もあるかもね。
泣き虫エレーンが、私を?天と地がひっくり返ったってそんなことないわね。
う、ひどい
嘘、嘘、頼りにしてるわ。
そういって、近づいて嬉しげに微笑んだ想い出の中の茶髪の女性は、
いつしかその瞳が黄金に輝いていて

エレーンの心の中で、何かが音を立てて崩壊していった。


魔皇が空を見上げた。満月は中天に差し掛かりつつあり、既に真夜になりつつある。
仮初めの癒しが破れる前に、エレーンに魔女としての命を与える事が出来なければ、
彼女を失ってしまう。
間に合わないのか、焦慮に胸を焼かれながら、魔皇が指を噛んだ時に
口の端から涎を垂れ流しながら、エレーンが囁いた。
「なるぅ……」
「え、なぁに?聞こえない。もっと大きな声で言って?」
耳に右手を当てて、嬉しそうに再び訊ねて、本人の口から確約させる。
「なるよ。なります…仲間に……魔女になります。だから……してください」
恥じらい、悔しさと情けなさに泣きながら、エレーンは魔女に屈した。
快楽欲しさにその身と魂を闇に売り渡した。
「……いい子ね。エレーン。約束どおり、たくさん御褒美を上げるわ」
云って、ヤーマは、待ち受けていた金髪の剣士の肉に、一気に突き入れてきた。
目の前に火花が散って、エレーンの意識は天界に昇り、同時に魂が地獄に囚われた。
「ひぐぅぅぅぅぅぅうぅ!!」
たわわな尻肉が、揉まれる様に強く掴まれて、ひしゃげて潰れた。
それもまた、エレーンには、たまらなく気持ちいい。
来た。熟熟にとろけて、蹂躙されるのを待ち侘びていた子宮と其処までの桃色の回廊が、押しつぶされ、満たされて、灼熱し爆発した。
パチパチと、其処にある細胞の一つ一つが爆ぜて、砕けて、ぐちゃぐちゃにとろけ、
魔性を宿した体液と入り混じって、別の何かとなって再構成されていく
灼熱の快楽の中でも、金髪の女剣士の桃色の秘肉は、きゅううっと収斂して、
その剛直を味わいつくそうとする。

「夜は長いわ。エレーン」
耳元で囁きかけた。
「たっぷりと可愛がってあげる。太陽が昇るまでね。
それから日没まで二人で眠りましょう。目を覚ましたら、また抱いてあげる」

「んはぁ……えあは……あああ、あん!……あはぁ、ああ〜ん!!」
エレーンの林檎のような胸を柔らかく繊細な癖に力強い指で揉み、ひしゃげさせながら、
ヤーマは首筋にキスをしてこれは自分の物だという刻印を刻んでいく。
心地よい愛撫を受け、エレーンは短い金髪を振り乱しながら、腕を魔皇の背に回し、
足をその尻の上で絡ませて、舌を伸ばし口付けを求めた
「んぅ……ちゅ…んは…あは!!……ふぅ、うふう!」
夜魔の姫が、美味そうに、嬉しそうに口づけに応えた。
巧みな舌技で唇を貪りながら、
力強く腰をグラインドして、湿った尻に音を立てて激しく打ち付け、
蜜壷の奥の奥までぐっちょぐっちょ蹂躙しながら、全身が震えるような熱と快感を送り込んでくる
乳房と乳房を押し付け合い、桜色の先端が互いの柔肉に押しつぶされる。
互いに平均値よりやや控えめな胸を、まさぐり合って、熱烈な口づけを続ける。
「ひあああ……あああ……いいわぁ…とってもいいのぉ!!」
金髪の女剣士が、涎を垂れ流し、全身を興奮に赤く染めて、至福の叫びを上げた。
魔女の皇が体を抱き起こすと、今度はエレーンを上にして、舌から突き上げ始める。
涎を垂らし、目に狂熱を宿し、切羽詰ったような顔で舌を突き出し、背をそらして、
エレーンは、自らの胸を揉みし抱きながら、尻を躍らせた。
完全な雌犬の顔になっている。
太股を開脚した状態で、よく引き締まった白い尻を上下させ、
互いの結合部分を見せ付ける
「ほら、よくみて、エレーン。
わたしのチ○ポを貴方のオマ○コが、美味しそうに食べてるよ」
「……はああっ」
羞恥心を刺激されて、幾らか理性を蘇らせたエレーンは
頬を押さえて、恥ずかしそうにいやいやと首をふった。

エレーンが、少女の真横に倒れこんだ。その些か控えめな胸に手を伸ばし、揉み、
既に蒼白く変色した舌を濡れた紫の唇から出すと、その乳首を吸いながら、少女の送り込んでくる快楽にぎゅっと眉根を寄せた。
「ん……んは……んふう……」

「貴女も私と同じになるの、魔の眷属、暗黒の力の化身にね」
どこか狂気を湛えた喜悦の表情で、少女、黒き魔女の皇がその本性を剥きだして
「はぁっ、あああああ、いく、いくわエレーン」
「はああ……きてぇ…私の中にたっぷりとはなってぇ」
少女が再び、上の体位となる。ぎゅっと抱きしめあう二人。
「たっぷりと中に出してあげる」
「はやく、はやくぅ……」
エレーンが喘ぎ、悶えながら、うわ言の様に懇願を繰り返した。
「受け止めて、エレーン!ああッ、いくッ!いっちゃうぅぅ」
二人は感極まったように高い悲鳴を上げると、ほぼ同時に体を震わせた。
数十秒、いや数分間。躰を痙攣させ、打ち付けあい、躍らせながら、
ぎゅっとくわえ込んだ互いの性器の感覚だけが、二人を支配して、性の化身と化した。

蒼い長い舌をだらしなく垂れ伸ばし、口の端から涎を垂れ流しながら、
夜魔の姫は尻を震わせて、気持ちよさそうに射精を続けた。
「あ……」
同様の様子で、快楽を貪りつくし、放心したエレーンの肌が、
胎、ちょうど子宮の上あたりから、夜の薄闇を思わせる蒼い色へと染まっていく。
奇怪な形のいびつな紋章が浮かび上がり、そこから全身に広がっていく。


少女は甲高い悲鳴を上げて、最後の一滴まで放出させると、
躰を痙攣させながら、力なくエレーンの上に崩れ落ちた。
エレーンの豊かな双丘に顔を埋め、華奢な胸を激しく上下させて、呼吸を整えている。
エレーンのほうは白目を剥き、涎を垂れ流し、淫蕩な笑みを貼り付けた表情で、
同じように蒼く変色した舌を突き出し、半分死んだような感じとなって失神していた。
時折、腰から尻にかけてを、びくびくと細かく震わせていた。


やがて、少女が半身を起こした。
ハァハァと荒い息をついている金髪の女剣士の下半身に躰をずらし、
股の間の薔薇色に熟した谷間を、自らの指で開いていくと、剛直を堪能した美味しさに痙攣し、
蒼白い精液と入り混じって喜悦の涎を垂らしている其処に優しく口付けして、
「さあ、エレーン」
黄金の瞳の魔女が囁いた。

エレーンが声に反応して、びくりと躰を震わせた。
躰中をぞくぞくする様な電気が走り抜け、心の奥底で誕生したもう一人の自分が、
意識の上に急速に浮上してくるのがはっきりと分かる。
限界を超えた激しい快楽に朦朧としていた意識が急速に覚醒し
魔女としての新たな意識と、今までの自分が融合して、新たな彼女を形作っていく。


目の前の娘の真名が、連結した魂を通じて、金髪の剣士の意識の中へと刻まれていく。
同時に目の前の少女の姿をした魔女の記憶の一部が流れ込み、
エレーンは、魔皇の数千年にも及ぶ孤独と放浪の歳月の一端に触れた。
「これであなたも夜族の一員、あらたなる夜魔の眷属」
人の鮮血に濡れたかの如く其処だけ赤い魔皇の唇の端が、
キュッと吊り上がって笑みを形作った。
「憎みたければ憎み、殺したければ牙を剥けばよい」
それでも、あなたの身も、魂も、もう我の物……」

エレーンが、ゆっくりと目を見開いた。
金髪の剣士は、じっと目の前の少女を見つめると、
手を指し伸ばして、魔皇のか細い体を抱きしめた。
その耳元で囁くように、言葉を紡いで忠誠を誓約していった。
「……夜を統べる御方……オルヴァヤーナさま……わたし…魔女エレニュオスは、
貴女に永遠の忠誠を誓います。
何時、如何なる時も私は貴方につき従い、永劫の時の従者となりましょう……」
紡いでいく言葉と共に、エレーンの肌が完全な蒼の色に、瞳が紅に染まっていく。
夜の如き薄命の蒼紫に、鮮血を想わせる真紅に。

エレーンは、何も云わずに小さな魔女を抱きしめている。
やがて、慈母が幼子にそうするように、魔皇の艶やかな黒髪を優しく撫でつける。

予想もしていなかった反応を受けて、少女は驚愕に目を見開いて
新たに誕生したばかりの夜の娘を見つめた。
金髪の魔女の瞳には、憎しみも、怒りも宿ってはいない。
かつては、掛け替えのないただ一人の友に向けられていた慈愛と信頼に満ちた
柔らかな眼差しを、今は自分を魔に堕としめた夜魔の姫に差し向けて、
「これからは永遠に一緒です……オルヴァヤーナ」
一抹の哀しさと諦めを含んだ、それでも愛しげな呼び掛けに
魔皇は深くため息をついて、今度こそ満足げに軽く身震いした。

天頂には、冷たい蒼の月が、寒々しい光で闇の森を照らしていた。
黄金の瞳を薄く細めると、静かな呼吸を繰り返して柔らかく揺れ動いている
長身の魔女の胸元に、魔皇はゆっくりと顔をうずめた。

満月から降り注ぐ黄金の光の下、二つのシルエットは一つに溶け合ったまま
長く動こうとしなかった。

樹の枝に腰掛けて、主の行動と想いの一部始終を目にした漆黒の翼の魔女が、
さもくだらないとでも云うように、小さく鼻を鳴らし嘲笑を浮かべた。


目を瞑り、エレニュオスの胸に脈打つ冷たい魔女の心音を感じながら、
夜魔の姫は、金髪の魔女の手を強く強く握り締め、囁きかけた。
「……永き時を……共に……」
蒼白い月下の光の下。ややしてから、金髪の魔女は静かに肯いた。