タカノくんとヒトミちゃん

まだ半分しかできてないけど、キリが良かったんで投稿してみる

「いやぁっ、やめて! 中はダメ、中だけはダメ――――ッ!」
私の必死の懇願も虚しく、男根が抜かれることはなかった。
「あ、あ、ぁ、いや……、いやぁ……」
どぴゅり、どぴゅりと注がれるたび、嫌悪感で身が竦む。
たっぷりとした余韻を残して、吐精を終えたヤツが私から身を離す。
「――――ッ!」
血が上った頭に任せたまま、渾身の平手打ちをお見舞いする。
すぱぁんっ、と小気味いい音ではたかれた当人が逆に面食らった顔をしているのを見て、私はさらに逆上した。
「許さない……。何よ、その顔は。こんなことして、これくらいで済むと思ってるの!」
だがヤツは、痛みが引くとけろりとした表情で返事をしてきた。
「済むも何も……誘ってきたのは、お前の方じゃないか」
「なっ……!」
まさかの責任転嫁に、反射的に室内に刃物が落ちてないか探してしまう。
「〜〜〜〜〜〜〜〜!」
くたくたの身体に鞭を打ち、私は急いで荷物を持って出口へと向かう。
「なんだ、泊まっていかないの?」
「いくわけないでしょ! バッカじゃないの!?」
「もう終電出てるよ? 送っていこうか?」
悪気のないその言葉に、私は怖気が走った。
時計を見れば、零時十五分、確かに電車はない。
「歩いて帰れるわよ。あんたと夜道を歩くくらいなら、変質者に襲われた方がマシよ!」
そう言って、ヤツを置き去りにしてドアを大音量で閉めてやった。

エレベーターを出てマンションから脱出したところで、緊張の糸が切れた。
「ぁ、ぁ、……ぁあ」
ぐったりと、その場にへたりこんでしまった。
腰が痛い、もう一歩も歩けない。
いやむしろ、部屋からここまで自力で来れたことが、驚くべきことだ。
しかしいつまでもここにいるわけにはいかない。
明日も学校があるし、何よりアイツが下りてくるかもしれない。
アイツにこんな姿を見られたらと考えると、這ってでも家に帰らないといけなくなる。
「なんで、私が、こんな目に……っ」
絶望で、らしくもない涙を流してしまう。
結局、不幸中の幸いというべきか、タクシーが通りかかった。
助かった、と乗りこんだ私が、その法外な料金に驚いたのも、全部アイツのせいだ。
「タカノのやつ、いつか絶対殺してやる……っ!」
今はただ、私を犯したあの憎き同級生への怒りを原動力にするだけだ。

「タカノのヤツ、本当に死ねばいいのよ!」
昼休み、私は腹を足しながら、器用に腹を立てていた。
向かいに座る親友のトモが、のんびりとこっちを向く。
「タカノって、あそこに座ってるあのタカノ?」
友人と談笑しているあのゲス野郎に向かって、私は隠そうともしない殺気を放った。
周りの連中は何事かと怯えているが、当のタカノは素知らぬフリだ。
「ヒトミ、タカノに何かされたの?」
「何かですって!? そりゃあもう! そりゃあ、えっと――――…………」
流石に、白昼堂々教室の真ん中で犯されました、とは白状する気になれなかった。
「でもさ、ヒトミ。あんたこないだ、かっこいいって言ってなかった?」
「はあ!? 誰を!? アレを!?」
心外にも程がある。
こんな侮辱を受けたのは初めてだ。
「ちょっとトモ、ふざけるのも大概にしないと怒るわよ」
トモに向かってやりきれないムカムカを抱えるが、それどころではない事態が発生した。
なんとタカノが自分の方から、私に歩み寄ってきているではないか。
「何よ、近づかないでよ。私機嫌が悪いの」
「ヒトミさん、具合は大丈夫? 昨日なんだか辛そうだったから」
相変わらずの無視!
しかもよく言えたものだ!
さんざん殴り倒したくなったが、もう言葉を交わすだけ無駄だと判断し、そっぽを向くことにした。
と、いきなりタカノが、なんでもなさそうに言った。
「ヒトミさん、今日一緒に帰ってもいいかな」
「「「「「――――!?」」」」
いきなりの疑似告白に、教室がどよめく。
私は顔を真っ赤にして、
「し……」
「し?」
「死ねっっっ!!」
目いっぱい叫んで、走り去ってしまった。
去り際のタカノは、ちょっと傷ついた風にも見えた。

「ああっ、いくら経っても、やっぱ腹立つ!」
帰宅して、勉強机に腰かけて、それでも昨日のことと今日のことで憤ってしまう。
広げられた宿題は、何時間経っても一向に進む気配がない。
「全部タカノのせいだ。ああ、もうすぐ日付変わっちゃうじゃない」
壁掛け時計を見て、むやみに焦る。
昨日あまり寝れなかったので、今日はとっとと就寝したいのに。
「最近、寝不足が続くなぁ。はあ……」
かちり、かちりと、秒針が零時に近づく音が、なぜか大きく聞こえる気がする。
「……?」
どこか言いようのない、違和感のようなものを感じる。
確かにあるのだがそれがなんなのか、皆目わからない。
そうこうするうちに、今日も残り十秒となった。
三、二、一……
《ぴぴぴっ、ぴぴぴっ、ぴぴぴっ》
ふいに、目覚まし時計のような音がした。
私はびっくりして、部屋の中を見回す。
零時にセットしたアラームなんて、この家にはない。
「なに、なんなのこの音。どこか、ら……――――――――」
ぴたり、と私の動きが止まった。
ほんの一瞬、まどろみに落ちるようにがっくりと、私の身体が傾く。
だが倒れる寸前、はっきりとした意識で、『私は覚醒する』。

「ああ、タカノくん……っ♪」

声も、身体も火照っている。
だって当然だ、好きな人のことを想っているのだから。
抱きしめられたい、頭を撫でられたい、滅茶苦茶にされたい。
どうしてさっきまで平気だったか不思議なほど、急速に私のアソコが疼きだした。
「はぁ、はぁ……ぅんんっ」
恐る恐る、指をアソコへ伸ばしてしまう。
確かめたがっている、身体が、彼への愛の証を。
――ぴちゃっ。
「ふぁぁぁぁぁああっ。んんんんんっ♪」
指への水の触感と同時、心地良さが全身へ行き渡る。
ふわふわと、幸せな気持ちが心を凌駕する。
――したい! したい! 我慢できないっ!
半ば狂ったように椅子から立ち上がると、私は大慌てでベッドにダイブした。
布団の中で身体を丸めると、アソコからの快感がよく回る気がする。
「ぁっ、ぁっ、ぁあっ、こ、声がっ、こえが出ちゃうっ」
洪水のような秘所を責め立てながら、必死に想い人へと独白をする。
「すきっ、好きなの、タカノくんっ。あっ、いいよっ、タカノくんにならっ。わた、私の、わた、し、を――――?」
だが、そこでようやく、私は思い出した。
私が今日、彼にどんな態度を取ってきたかを。

「あ、ああああああああああっ!!」
絶望と、罪悪感が胸を押し潰す。
「ご、ごめんなさい! ごめんなさいっ! ああっどうして私、あんなひどいことを! なんで、なんで、なんで!?」
死ねと言われた時の、傷ついた表情が胸に浮かぶ。
最愛の人に、私はなんていう取り返しのつかないことを。
「オシオキ、して……」
逃げるように、私は呟いた。
「このどうしようもなく馬鹿な私に、どうかオシオキして! タカノくんを想ってぐちょぐちょになってるここ、どう使ってもいいからっ。あっ。嫌いにならないで! なんでもするから、私をゆるしてぇっ、あぁー―――っっ」
追い詰められた私にとって、それはまるでタカノくんに責められているように感じた。
自分の指だが、それは私の限界など無視するかのように、激しく突き上げていく。
弱い部分を、まるで犯すように執拗に弄る。
発生する快楽に比例して、無限に蜜壷から愛液がこぼれだす。
「ひぁぁぁぁっ、あっぁ! くくぅううっ」
快感が脳どころか、指の先や爪の先まで伝播している。
そこにたどり着いて行き場を失ったそれは、壁に反響するように跳ね返ってまた中枢に戻ってくる。
より強くなって、より気持ちよくなって。
そしてその快感は、さらに強い快楽を生み出すのだ。
「だめっ、死んじゃう! わたし、気持ちよくてしんじゃうぅぅぅっ」

正気を失った私の指が、痙攣してコントロールを失う。
その暴投先は――――クリトリス。
今まで避けてきた、一番気持ちよくておかしくなっちゃう部分――――
「あっああああああああああああああああああああっ?! あっあっあっあっあっあっあっあっあ――――っ!」
意図せず招いたことで、余計その絶頂は私をよがり狂わせる。
酸素を吸うことなど忘れたように、私の口は上下とも開きっぱなしで吐き出し続けた。
上は嬌声を、そして下は、蜜液を。
「はあーっ、はあーっ、……はあっ」
くたっ、と解放された私は脱力した。
もう、指一本動かせない。
「ふ、……ふふふっ」
予期せず、私の口から笑みがこぼれた。
「タカノくんに、会える……」
あれだけの仕打ちをしたのに、それでも私は、タカノくんに会えるのが嬉しいのだ。
我ながらどうしようもない女だな、と思いながら心地良い疲労の中、私は意識を失っていった。


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