- 部屋の隅にまで追いつめられ、白衣の女は眼鏡の男を睨みつけた。
男は唇の端に冷たい笑みを浮かべている。
「高待遇で我がラボに入所した優秀な研究者が、実は産業スパイだったとはね」
「何を根拠にそんなことを……」
「根拠も何も、あなた自身が話したんです」
女の美しい顔に、いぶかしげな表情が宿る。
彼女には、そんな話をした記憶はなかった。
「そんなはずはない、……ですか? 昨日、新型トポグラフィーのデータ採取に協力して頂いたでしょう? それでわかったんですよ」
彼女の白い美貌に僅かな陰がさした。
強い意思を感じさせる目で男を睨みながら、昨日の記憶を辿る。
確かに、新型の脳画像処理装置のテストに参加し、開発途中だというヘッドギアをかぶった。
だが、ラボの職員は全員が協力している。
それに、まさか脳画像から秘密が漏れるとも思えない。
まるで彼女の考えを読んででもいるかのように、男がまた小さく笑みを浮かべる。
「新型トポグラフィー装置というのは嘘でね。実はあれ、催眠誘導装置なんですよ」
疑わしそうな目で、彼女は男を見据える。
だがその胸中には、微かに引っ掛かるものがあった。
……そう言われてみればあの時、強い眠気に襲われた気がしている。
しかし、それは一瞬のことで、テストは滞りなく終わった。
それに何より、催眠誘導装置などといったものが実験されていることは、彼女の掴んだデータにはなかった。
「あなたは、そんないかがわしいものを作っていたんですか」
「いかがわしいとは心外な。では、産業スパイはいかがわしくないとでも?」
「だから何度もいってるように、何のことだかわかりません。いい加減にしなさい」
髪をかきあげ、強い口調で彼女はそう言い放った。
だが、男はニヤリと笑い、右手を女の方に突きだす。
「本当の自分」
そう男が呟いた。
同時に、パチン、と指を鳴らす。
その途端、女の顔が驚きに歪む。
彼女はその細い指で、白衣のボタンをはずし始めていた。
「なっ、何……?」
彼女の意思ではなかった。
しかし、どうしても止めることができない。
「どうしました? 急に暑くなりましたか?」
「……何をしたっ?」
きっと男を睨みつける。だが、その時にはすでに、勝手に動く自分の手が白衣のボタンを全て外し終えていた。
- 一刻も早く、この場から逃れなければならない。
――そう彼女は思った。
だが……。
足が動かない。
まっすぐ男の方を向いたまま、ただじっと立ちすくんでいる。
自分の身体がいうことをきかなくなっていた。
「本当の自分」
男はまたそういって、指先を慣らす。
彼女の両手が、ゆっくりと白衣の前を左右に開いていく。
「や、やめ……」
裸身が顕になった。ボディラインが男の目に晒される。白い肌には、うっすらと鳥肌がたっていた。
「ほら、白衣の下に何も着けていないのはどうしてなんです?」
「あっ」
男の指摘通り、ブラはもちろん、ショーツすら履いていないことに気付き、彼女の身体が桜色に染まった。
形よく突きだした両の乳房の頂点で、小さな乳首が震えている。
なだらかな曲線で構成された下腹部には、黒い茂みが顕になっていた。
屈辱によるものなのか、それとも恐怖でか、張りだした腰が微かに揺れている。
男の視線が遠慮なく身体を上下するのが、たまらなくいやらしい。
「もうわかったでしょう? あなたは自分で自分の秘密を話したんですよ」
「……そんなこと、あるわけないっ」
「強情な人ですね。だったら、もう一度いわせてあげましょう」
男はそういって、彼女の目の前に今度は両手を突きだした。
ゆっくりと左右に手を開き、男は静かに微笑んだ。
「ありのままの自分っ」
そう言い放つと同時に、力強く手を叩く。
ぱん、という音が廊下の壁に反響する。
その途端、女の身体がぶるっと震えた。
羞恥に染まった女の肌が、さらに赤味を増す。
男が再び手を打ち鳴らす。
「あっ」
小さな悲鳴とともに、女の腰がくねった。紅潮した顔には、驚きと苦悩が生まれている。
男はまた手を鳴らした。
同時に女が「くっ」と息を飲む。
「どうです? 気持ちいいでしょう?」
「い、やっ」
眉間に皺をよせながら、それでもまだ彼女は、眼鏡の男を睨みつける。
- 「ふふふ、強情な人は好きですけどね。でも、ほら、ありのままの自分っ」
ぱん、とまた手が鳴らされた。
それだけで、男は一切手を触れていない。
女もそこに立っているだけだ。
だが、顔はますます紅潮し、息も乱れている。
男はまた手を鳴らす。
「ありのままの自分っ」
女の身体がくねる。
肌にはうっすらと汗が光っている。
男は立て続けに3回、手を打ち鳴らした。
その音にあわせて、女の身体に震えが走る。
「あっ、ああっ、いやぁっ」
「嫌じゃないでしょう? 『いい』といいなさい」
だが、彼女はまだ男を睨むだけの力を残していた。
全身の震えは止まらなくなっている。
にもかからわず、強い意志で薄ら笑いを浮かべる男を見据えた。
「誰がっ。従うもんですか」
「そうですか。じゃあ、……ありのままの自分っ」
ひときわ大きく手が鳴らされた。
女の腰から胸にかけて、痙攣が走る。
悲鳴のような喘ぎがあがった。
さらに男は手を打ち鳴らす。
「んあっ」
女はその場で身体をくねらせる。
だが、まるで見えない糸で吊るされたように、座り込むことも、そこから逃げ出すことも出来ずにいた。
いつのまにか女の大腿には、光る筋ができていた。
秘部から分泌された蜜が、溢れて流れ落ちる。
「ほらほら、もうイキそうなんでしょう?」
男が再び手を叩く。
「あうっ」
女の腰が前後に大きく動く。
まるで目に見えぬ者に犯されてでもいるかのように、その動きが徐々に激しくなる。
男が手を鳴らすリズムがどんどん短くなる。
やがてそれは、女の動きを称賛する拍手のようになっていた。
「くあっ」
女の白い喉がのけ反った。
大きく腰がせり出し、太ももにうっすらと筋肉が浮かび上がる。
熱烈な拍手の中で、その太ももに痙攣が始まった。
「うあああっっ」
ひときわ大きく、女が叫んだ。
- だが。
その途端、男は手を鳴らすのをやめていた。
女の背中が反らされた。
だが、激しく押しだされていた腰が動きを止めている。
「ああっ……」
あと一歩のところで、絶頂には至っていない。
苦悶の表情を浮かべる女の視線は、いつの間にか弱々しいものに変わっていた。
「イキたいですよね?」
その問いに、女は力なく首を左右にふるばかりだ。
男は再び、手を鳴らす。
「ありのままの自分……」
だが、手を鳴らす音は、先程までの強いものではなかった。
軽く、小さな音で、細かく手を叩く。
「ああ、いゃ……」
ゆらゆらと、女は身体をくねらせる。
その動きも、先程とはうってかわった弱く、そしてどこか甘さを含んだものに変わっている。
「イキそうな感覚をたっぷり楽しませてあげますよ」
男は嬉しそうにそういって、細かく手を鳴らし続ける。
髪を振り乱し、腰をくねらせる彼女の目は、ぼうっと虚ろな色合いに変わっていた。
「あんん……」
その声にも、すでに強い意志は感じられない。
「気持ちいいでしょう?」
「あぁ……いや……」
「いいなら、そう言いなさい」
「……あ、あ、あ、い、い、いいっ」
「イキたいですか?」
女はきつく目を閉じたまま、無言で身体を震わせている。
ぱんっ。ぱんっ。
男は二度、大きく手を打ち鳴らした。
「ああああああっっっ」
はばかりのない声で、女が喘ぐ。
だが、男はまた細かいリズムで小さな拍手に戻した。
- 「ありのままの自分っ」
男が再びそういい、その一瞬後に、彼女が叫んだ。
「あああっっ、イキたいっ」
だが男の拍手は小さいままだ。
軽く、極わずかに音が鳴る程度に手を叩き続ける。
「これくらいの音でも、十分イけますよ。あなたの正体を正直に認めれば、すぐにイくようプログラムしてありますから」
そういって男は、手を鳴らす強さはそのまま、スピードだけを徐々に速めていく。
「あああ、嫌っっ! だめっ、だめぇぇっ!!」
何が起きたのか、女の声がせっぱつまったものに変わった。
次の瞬間、彼女の股間から熱い液体が飛んだ。
迸ったものが、床に落ちて音をたてる。
「ありのままの自分っ」
男が強くそう言い放った。
女は大きく首を前後に振り、がくがくと腰を突きだした。
「あああ、わ、私はっ、このラボのっ、あああ、だめっ、おかしく、なるっ、ひみ、つを、ああああっ、しらべ、にっ、き、たっ、ああああっ」
ひときわ大きく背中がそらされ、全身が震えていた。
ふくらはぎや太ももに生まれた痙攣が、下腹部を直撃し、さらに腰から胸へと伝わっていく。
「さんぎょおおぉっ、ああ、ああっ、スパイっっ、ああっっ、イクっ!」
ひとまわり大きくなった乳房の中心で、固く凝った乳首が真っ赤に充血している。折れそうなくらい何度も振られた首は、強く後ろに反らされ、そのままの姿勢で固まっていた。
「ああイクっ、イクぅぅぅっっ!!!」
足先が床を蹴り、一瞬宙に浮いた。
だが、いつの間にか大きく開かれた脚が、立ったままの体重を支え続ける。
身体の両脇にだらんとおろされた両手の先が、何かを掴むように何度も開いたり閉じたりを繰り返す。
股間から溢れた蜜がボタボタと滴り落ちている。
再び、音をたてて別の液体が噴きだした。
みるみるうちに床にたまり、円形の模様を描いていく。
「だから、それはすでに知っているんですよ。何か他に話していないことはないんですか?」
男はニヤニヤしながらそう尋ねた。
身体をくねらせながら、女の喘ぎがまた大きくなる。
「あああ、本名、はっ、長谷川里香ぁぁあああっ、またっ、またイクぅぅっ」
愛液と尿をまき散らしながら、女は再び絶頂を極めていた。
「名前いわれてもねえ……。どちらかというと、どこに雇われたスパイなのかが知りたいんですけどねえ」
男は紅潮した顔にどす黒い喜びを滲ませながら、そう囁いた。
その後、細かな質問が繰り返され、彼女は気絶し意識を失うまで幾度となく絶頂を迎えた。
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