ある戦闘員の一日

941 名前:ある戦闘員の一日:2012/12/23(日) 11:50:24.07 ID:ZQ/0JTpJ
0600 アラームに起こされ、起床する。
     今日はB8地域の哨戒任務がある。
     シャワーを浴び、支給された糧食を口に放り込むと、戦闘員用のスーツに着替える。
     ラバーのような肌に吸い付く感覚が心地よく、思わず身震いをしてしまう。
     このスーツは、大首領様の偉大なる理想に殉じる尖兵となる資格を与えられた名誉の証。
     自然と胸の中に、活力と、大首領様への敬愛の念が湧き上がっていく。
     今日も一日、頑張らなければ。

0700 同じくB8地域の哨戒任務に当たっている兵士たちと合流。
     任務中の不慮の事故で洗脳が解けないように、出撃前のメンテナンス処置を行われる。
     ヘルメットを装着すると、後頭部にあたる投薬機構から洗脳薬が投与されると共に、
     映像と音声からそれぞれサブリミナルが流される。
     偉大なる大首領様のお声があたまの中にしみわたっていく。
     とてもここちよい。あたまがまっしろになってまよいがきえていく。

     わたしはだいしゅりょうさまのもの。
     だいしゅりょうさまにつくすのがわたしのしあわせ
     だいしゅりょうさまのせんぺいにせんのうしてもらえて、とってもしあわせ
     せんのうはきもちいい。 せんのうはすばらしい。
     これをこばむレジスタンスどもはバカだ。
     あんなやつらきえちゃえばいいのに。

942 名前:ある戦闘員の一日:2012/12/23(日) 11:51:18.46 ID:ZQ/0JTpJ
0730 出撃前の処置が終わり、意識が回復した仲間たちとトラックに乗り込む
     B8地域までは約30分。
     仲間はどれだけ手柄を立てれば、再び大首領様のご寵愛を直々にいただけるかとキャイキャイと騒いでいた。
     愚かなことだ。見返りを求めるのは戦闘員として本来あるべき姿ではない。
     私たちは大首領様のために存在する。大首領様のために働くのが存在意義だ。
     私たちにとって、大首領様のために尽力するのはごく当たり前のことであり、それ自体が幸福なのだ
     
     …………でも、いつから? 
     私はいつから、大首領、様、に…
     私は…今から行くB8地区で生まれて育って…

     <思考ノイズを検出:削除する>
     
     …あれ? 私は今、何を考えていたのだろう
     何も思い出せない。綺麗に記憶から抜け落ちている。
     まぁ、いい。思い出せないことは重要なことではない。
     そう大首領様も洗脳プログラムも教えてくれている。
     それより重要なのは、B8地区でのレジスタンスの掃討についてだ。     

0942 第二分隊からレジスタンスを発見したとの報告を受ける。

943 名前:ある戦闘員の一日:2012/12/23(日) 11:51:59.96 ID:ZQ/0JTpJ
0943 第二分隊と合流。レジスタンスの排除を実施する。
     敵レジスタンスの抵抗は頑強であるが、所詮は人間である。
     肉体を改造された私たちの敵ではない。
     追い詰められ逃げ出したレジスタンスを追い、私は一番にアジトの中に侵入した
     発見したレジスタンスをみつけ、銃口を向ける
     敵レジスタンスのリーダー格と推定する。
     中肉中背の引き締まった身体の男。
     まだ若い。愚かなことだ。何故、大首領様の理想の素晴らしさを理解できないのか。
     ひきがねを
     ひ

     あきら

     <大規模な思考ノイズを検出:直ちに削除する>
     
     日下部章 私の幼馴染
     <思考ノイズを検出:削除する>
     小さい頃からずっと一緒にいた。私が泣きそうなときは必ず傍にいてくれた
     <思考ノイズを検出:削除する>
     ぶっきらぼうで、意地っ張りで、でも何だかんだで優しくて。そんな章のことを私はずっと
     <思考ノイズを検出:削除する>
     私が大首領たちにさらわれそうになったときも私を助けようとして
     <思考ノイズを検出:削除する>
     あのとき怪人に胸を切りつけられて削除だから私も死んだと<削除>思って
     生きていてくれた<削除>私を助けに来てくれた<削除>でもダメ<削除>
     私はもうすぐ<削除>私じゃなくなって<削除>だからおねがい逃げ<削除>
     神様お願いです章だけは<削除><削除><削除><削除><削除><削除>

     <思考ノイズの削除作業:進捗状況 現在98%>

     ワタシは
     ワタシは、ダイシュリョウ様の、チュウジツなシモベ
     ダイシュリョウ様の敵はショウキョしなくてはいけない
     ショウキョしなくては

     あき、ら、さよ、な、ら
     
     <思考ノイズの削除作業:進捗状況 削除完了>

944 名前:ある戦闘員の一日:2012/12/23(日) 11:52:48.67 ID:ZQ/0JTpJ
0947 …思考が回復する。目の前には肉片と骨が転がっていた。サイズから人間の死体と推測する。
     状況から察するに、さきほどのレジスタンスのリーダーなのだろう。
     とはいえ、顔がどこにあったかもわからないほどグチャグチャになっていては、識別もできない。
     邪魔なので蹴り飛ばした後、レジスタンスの掃討を行っている仲間たちと合流する。

1002 レジスタンス全員の殺害を確認。基地へ帰投する。

1032 基地に帰るとドクターに呼ばれる。私の思考ノイズが多かったためだ。
     私に再洗脳処理を行ってくれるとのことである。
     感謝したい。
     思考ノイズはくるしい。あれはいやだ。
     むね、しめつけられて、あたま、いたくなる。けしたい。
     でも、だいじなもののようなきもする。わすれちゃいけない、だいじなもの。
     きっときのせいだ。だってだいしゅりょうさまは、いらないものだって、おっしゃってたから

945 名前:ある戦闘員の一日:2012/12/23(日) 11:55:17.70 ID:ZQ/0JTpJ
1047 準備が整ったので、裸になり、カプセル状の再洗脳装置の中に身を横たえる。
     ゆったりとした音楽に耳を傾けているうちに、まるで身体が暖かい水に包まれるかのような錯覚を得る。
     とてもきもちがいい。あたまがまっしろになっていく。
     めのまえでチカチカするひかりが、とてもきれい。じっとみていると、きもちよくてウットリしちゃう。
     
     みみもとでこえがする。
     しってる。このこえをよくきいて おなじことばをくりかえすの。
     そうすると、すごくきもちよくてしあわせなきもちになれる。
     こわいのも、くるしいのも、ぜんぶきえちゃうの。
     「私は大首領様のもの」 わたしはだいしゅりょうさまのもの
     「私の全ては大首領様のもの」 わたしのすべてはだいしゅりょうさまのもの
     「偉大なる大首領様に仕えるのが私の全て」 いだいなるだいしゅりょうさまにつかえるのがわたしのすべて
     「大首領様の喜びは私の喜び」 だいしゅりょうさまのよろこびはわたしのよろこび
     「大首領様の敵は私の敵」 だいしゅりょうさまのてきはわたしのてき
     「大首領様の命令に従えて幸せ」 だいしゅりょうさまのめいれいにしたがえてしあわせ
     「大首領様に洗脳してもらえて幸せ」 だいしゅりょうさまにせんのうしてもらえてしあわせ
     「私は大首領様のもの」 わたしはだいしゅりょうさまのもの
     「私は大首領様のもの」 わたしはだいしゅりょうさまのもの
     「私は大首領様のもの」 わたしはだいしゅりょうさまのもの
     「私は大首領様のもの」 わたしはだいしゅりょうさまのもの
     「私は大首領様のもの」 わたしはだいしゅりょうさまのもの…

946 名前:ある戦闘員の一日:2012/12/23(日) 11:55:56.72 ID:ZQ/0JTpJ
1153 再洗脳処理が終了する。
     博士が男の写真を持ってくる。
     汚れた服に、不潔な顔。レジスタンスなのだろう。
     博士が私に「この男を覚えているか?」と聞いてくる。
     
     当然、覚えている。日下部章。私の幼馴染だ。
     この男をどう思う?と博士が聞いてきた
     どう思うも何も、そのままだ。
     
     最低の男だ。
     
     私をさらって洗脳しようとしてくれた大首領様たちを邪魔した屑であり
     レジスタンスになってまで私を取り戻そうと戦い続けて
     大首領様の手を煩わせていた最低のゴミ蟲だ。
     こんな奴と幼馴染であったことは私の人生の汚点でしかない。
     今日、私自身の手で殺せて、とても安堵している。
     あいつの肉片となった姿を思い出すと、胸がすっとする。
     どうせなら、踏みにじって置けばよかった。

     そう答えると博士は満足げに頷き、午後からの予定を伝達してくれた。
     確か、午後からは戦闘訓練のはずだ。早めに食事を取る必要がある。
     急がなければ……
   
     …え?
     い、今、何て?

     …信じられない。
     何でも、あの日下部章はレジスタンスのエース的な存在だったらしい。
     奴を殺せたことで、B地区及びC地区の抵抗の弱体化が見込めるとのことであり
     その功績を評価し…だ、大首領様が私を…抱いてくれる、と…

     嬉しさのあまり、声をなくし、フラフラと部屋を出た
     あとで博士には失礼を謝っておかなければ

947 名前:ある戦闘員の一日:2012/12/23(日) 11:56:33.92 ID:ZQ/0JTpJ
1204 部屋に到着する。
     どうしよ、嬉し過ぎて、何をすればいいのかわかんない
     とりあえず、シャワー浴びなきゃ
     それから、とっておきの下着をつけて
     お化粧は薄い方がいいかな。あまりキツくてひかれちゃうとやだし 
     
     戦闘員用のスーツはだいぶ汚れちゃってるから、私服で行こう
     白のワンピース。
     あの屑野郎に褒められたことがあるのは忌々しいけど
     奴を殺したからで、私が大首領様の寵愛をうけられるのだと思うと
     あのクズ虫にも生まれてきた価値があったっていえるかな

     胸の鼓動が止まらない。
     以前、洗脳処理の仕上げにいただいた大首領様のペニスを思い出すと
     子宮がズキズキと疼き、オマンコが勝手に濡れてきちゃう
     固くなっちゃった乳首が下着にこすれるだけで気持ちよくて声が出ちゃいそうになる
     
     ああ、大首領様
     私は永遠に、大首領様のものです。
     大首領様に忠誠と愛の全てを捧げます。
     そして、いつの日にか、大首領様の崇高な理想に逆らう馬鹿どもを一掃し
     全ての人間が大首領様に忠誠を誓う、平和で、満ち足りた世界を――。


fin




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