赤の少女はスノーノイズに夢を見るのか?

超短編【赤の少女はスノーノイズに夢を見るのか?】

 それは寒風吹き荒ぶ冬の都心、その日空を見上げる全ての者がそれを目撃した。
 勿論、それはふと空を見上げた少女、萌葱にとっても言える事だ。

「静かな夜……けど、何この紅い雪」

 だるんとマフラーの裾を夜空色の長髪が垂れる腰まで下ろし、手中に吐き出した白い息の微熱の中、視線を空へと打ち上げた。その寒空からは紅い紅い、真紅の雪結晶が絶え間無く降り注いでいたのだ。
 電気街のネオンの中、煉瓦道をブーツを鳴らして歩く彼女。その彼女が立ち止まった場所、そこには大型のテレビモニターがビルの壁へと埋め込まれていた。それを少女は仰ぎ見る。

「……砂嵐、だよね」

 破滅的な血色の雪振る中、そのテレビには何も映っていないのだ。
 いや、強いて言うならビラつくグレーのスノーノイズだ。まるで放送終了後のチャンネルみたいなその画面、それに重なる赤い雪はどうにも少女の危機感を駆り立てて止まなかった。

 その時、ザーッ、ザーという独特な不快音が、Clearな女性の声へと変わった。

『この街、この国、この世界は腐っているの。熟れた果実、それは種を取り戻す資本、種子を擁し、芽吹かせるインキュベーダー』

「な、なに……!?」

 臆病な萌葱がびくんと跳ねる、しかしそれは唯、驚きの為だけでは無かった。
 辺りに、まるで音楽プレイヤーのサウンドエフェクトの如き波紋が波打ち始める。雪が着床する度に芽吹くそれが、少女の全身を燻らせたのだ。
 街中、青信号にならない交差点で少女達が足掻いている、その恐怖が入り込んでくる感覚に頭を押さえた。頭が、まるで石榴の様にかち割れそうに思えた。

「え、えん、えううっ……!」

 ビクンとまた跳ねる、瞳に映る景色がその波紋へと収束していく。
 その度に、少女は体内を淫靡な熱にかき乱される。

「ふわあああっ!!」

 何もしていないのにキモチがいい、ひょっとすると、もっと気持ちよくなれるんじゃあないのだろうか?
 気付けば萌葱はスカートを捲くり、ストッキングを破いてしまっていた。

『さあ、摘み取ろう子種を。働き蟻は女王に尽くすべきよ、きっと、そうよね』

「は、ふぁ、ふぁいぃいっ、あうぅぅうう!」

 悶絶する萌葱、何故だか知らないが身体が熱膨張する感覚。
 いつしか足元に出来ていた真っ赤な液溜まりで身もだえしているうち、それは全身へと浸透しつつあった。

『さあ、素直になりなさい。貴女達は同志、汚いヒトのオスを食いつくし、神聖なる我らが勇士を繁栄させる御子となるのだよ』

 抗い様が無かった。少女は自らパンツを下ろし液を入れ、自らその液溜まりに舌を埋めた。

「ふあああああ、きもちいーれしゅぅううう」

 ドクン、脈打つ鼓動が反響した。

『受け入れなさい、新しい貴女達を。残念ながらも素晴しく素質無き貴女は働きアリに生まれ変れるのですから』

「ふ、ふぁあああああああ!!」

 気付けば下腹部に指を捩じ込み、伸びたセーターからはみ出たホドホドな胸を揉みしだいていた。
 少女の髪は赤く染まり、そこに結晶の欠片の様なアクセサリー染みた何かが絡む。すると少女は、その火照った顔のまま立ち上がりある一箇所を目指して歩き始めた。

「ふぁう……ふぁ-・・・…」

 女王の身元へ、新たな自分に挿げ変わって歩き出す。待つのは夢か淫猥か……




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