無題


元ネタはNHKアニメ「コレクター・ユイ」
バーチャル世界を守る正義の味方コレクターハルナが、
過去に洗脳されたことを利用され、ウィルスに感染して悪堕ちする話。
原作知らなく人は申し訳ありません。知らなくても見れる、かも

「コレクター・イニシャライズゥー!」
凛としたかけ声とともに、少女が振りかざすマジックワンドから光の流星群が放たれる。
そのまばゆい光が巨大蝙蝠に直撃すると、化け物は顔を醜く歪ませ、黒屑となって散った。
敵を完全に倒したことを確認すると、
少女はようやくほっとした表情になって空中から地面に降りた。

如月春奈(きさらぎはるな)、スクロール学園に所属する普通の中学生。
しかし、その正体は電脳空間コムネットを守る正義の味方、コレクター・ハルナなのだ。
その身を包む純白のエンジェルスーツは、彼女の清純な心を象徴する。
つややかなロングヘアの上に白の丸帽子をかぶり、
背中から翼がぴょこんと可愛らしく伸び出る。

白を基調としたトップスや、羽根飾りにあしらわれたミニスカート。
ほっそりとした足には赤い帯が交差に編み上げられ、エレガントな模様を織り出す。
両耳には羽根型の通信機が、左手首には青い宝珠のような装置が装着されている。
青宝珠の装置はコムコンと呼ばれ、この電脳空間にバーチャルインするほか、
彼女がコレクターに変身するための必須アイテムでもある。

ふとコムコンから通信音が鳴ると、一人の若い女性の姿が映し出される。
「レスキューさん!」
『ハルナちゃん、そちらはどう?』

「ついさきほど終わりました。どうやらセキュリティーから漏れたウィルスのようで、
 感染力も強くありませんでした」
『さすがハルナちゃんだわ。じゃあケーキと紅茶を用意してるから、
 コレクターのチャットルームで待ってるわね』

「ええ、ありがとう」
ハルナはやや照れた表情を浮かべ、コムコンの通信を切った。

ネットワーク上の仮想空間「コムネット」の発展により、
人間社会はより便利なものとなった。
その一方で、コンピュータウィルスによる事件が新たな社会問題となっていた。
だがここ最近、ウィルスに感染されたプログラムを正常化するコレクターズの活躍で、
コムネット世界の平和は保たれていた。
八つのソフトウェアによるサポートと、三人の人間の修正者。
その修正者のうちの一人が、コレクターハルナである。

(速く、みんなが戦わなくてもいい日が来ますように……)
心の中で囁きながら、ハルナはレスキューが待つチャットルームへ帰還しようとした。
その時、敵の残骸だった場所に黒い渦が集まり、一匹の小さな蝙蝠が現れた。

「えっ!?」
すぐに邪悪な気配に気付いて振り返るハルナだったが、
蝙蝠は目にも留まらぬ速さで彼女の頭上に飛びつく。
それを振り落とす間もなく、蝙蝠は図柄のように変化し、帽子にぬらりと張り付いた。

「なに……これ?」
戸惑いながら帽子をさするハルナ。
しかし突然、体中が異様に熱くなったことを感る。。
心臓がドクンと高鳴り、鼓動すると同時に邪悪な波動が全身に流れ込む。

「ウィルスがまだ生きていた?」
彼女が身にまとうエンジェルスーツは、もとからウィルスを駆除する機能があり、
本来なら彼女に近づくことさえ不可能のはずだ。
しかし信じられないことに、エンジェルスーツはまるで感染されているではないか。
ハルナはすぐにマジックワンドを掲げてイニシャライズしようとするが、
帽子にとりついた蝙蝠の絵柄が一段と黒さを増すと、全身に雷撃のような衝撃が走る。

「そんな……こんな強力な感染力なんて、まさか……これは新種のウィルス!?」
「気付いたようだな、コレクターハルナよ」
「なにっ?」
周囲の空間がぐにゃりと歪むと、あたり一帯は不気味な闇に包まれる。
その闇よりも濃い漆黒のシルエットが、ハルナの目の前に現れる。
黒い甲冑のような造形に、二つの赤い目。
その赤い目が、ハルナの心底にある苦しい思い出を呼び覚ます。

「あなたは……グロッサー!」
「久しぶりのようだ、コレクターハルナ」
「どうして、あなたがここに!」
ハルナの綺麗な顔立ちに、一抹の恐怖がよぎる。
かつてグロッサーは世界支配を目論み、コレクターズを大いに苦しめた。
しかし、諦めず戦い続けたコレクターユイの活躍で、全員の力が一つになり、
ようやくその野望を打ち砕いたのだ。

「確かに私は一度コレクターズに敗れた。
 しかし、人間たちの欲望によって、私は更なる力を得ることができたのだ」
「あなたが何度立ちはだかろうと、コレクターズはきっと負けないわ!」
ハルナはマジックワンドを構えた。
しかし、途端に体中の違和感が一斉に噴出した。
体内の疼きが連鎖爆発したかのように増殖し、
スーツ下の肌は熱く火照り、呼吸が荒々しくなる。
思わず地面に膝を付いて胸を押さえ、紅潮した顔に不思議そうな表情を浮かべる。

「どうなってるの、私の体は……?」
「その体をよく見たまえ」
「えっ?」
グロッサーに言われて自分を見下ろすと、ハルナは思わず驚声をあげた。
純白だったはずのエンジェルスーツの表面は、
まるで墨汁を吸い込んだ白紙のように、黒い模様が所々浮かび上がる。
その模様はスーツを妖しく彩り、特に黒の濃い部分では、
その下の肌も何倍もの快感を受けるようになる。


「これが私が新たに作り出したバグルスの力だ」
「そんなばかな……いくら強力なウィルスでも、
 コレクタースーツのプロテクトをこんな短時間で破るなんて」
「ほかのコレクターなら、確かにもっと時間がかかるはずだった。
 しかし、お前は違う」
「どういうことなの?」

「それはお前にスーツには、かつてお前はエビルハルナとして、
 我が僕となったメモリがあるからだ」
「そんなこと……きゃあああっ!」
心から溢れんばかりの邪念に耐え切れず、ハルナは苦しそうに自身の体を抱きしめた。

以前グロッサーに忠誠を誓い、邪悪なコレクターとしてユイたちと戦った経験。
忘れたくても忘れられない、心を刺すような思い出。
それがバグルスの感染に触発されたかのように、頭の中で強制再生される。

「やめて……私は、ユイちゃんとは戦いたくなかった!」
「それは本当のことだろうか。よく思い出すんだ、お前の真の心を」
「いや――っ!」
ハルナは言葉を聞かないように耳を塞いだ。
うつむいた目は虚ろに震え、様々な思念が浮かんでは沈む。
暗黒の力に心も委ねた安らぎ。
悪の手先になってしまう堕落感。
仲間の絶望に満ちた目線を向けられるマゾヒスティックな快感。
全てを闇に塗りつぶし、人間どもを跪かせる征服欲。

あるいはかき乱すように、あるいはかすめるようにして思いが脳内を通過する。
その邪悪な気持ちを許すたびに、エンジェルスーツの黒染みが拡大する。

「くくく、どうやらお前の心は屈服することを選んだようだ」
「違う! そんなことは……」
「このバグルスの浸食するスピードは、対象の精神力に依存する。
 お前が心から抵抗していれば、バグルスを抑制できるはずだ」
「そんな……!」
ハルナは無力につぶやいた。

頭の中は熱に浮かされ、何も考えられない。
それなのに体の中は妖しい気持ちに取り付かれ、
オーバーフロウしたかのように暴れ狂う。
だめだと分かっているのに、その邪悪な気持ちに身を捧げたいと傾いてしまう。
白い翼も羽根飾りも、その邪念を吸い込んで漆黒に染まりつつあり、
スーツ全体のデータが淫悪なものに書き換えられる。

「さあ、今一度我がもとに戻るがいい、エビルハルナよ!」
「……はい……」
恍惚の表情を浮かべながら、ハルナはついに小さく頷いてしまった。
グロッサーの体から無数の機械触手が伸び出て、
ハルナの華奢な体を包み込もうとした。
その時。

「ミストバリア!」
突然一つの光球がハルナとグロッサーとの間に割り込むと、
霧状の防御壁が立ちはだかり、黒い触手を次々とはね返した。
光の中から現れた人影に、ハルナは思わず驚いた。

「レスキューさん!」
「なんとか間に合って、良かったですわ。
 ハルナちゃんの信号がロスト、コムネットをサーチしてきたわ」
ウィンクを作るその笑顔は、人を安心させる天然さを持つ。
さきほどハルナと通信していた綺麗な女性、レスキューだった。

コレクターズの八つあるうちの第五のソフト、保護のレスキュー。
その癒し能力にふさわしく、清潔な看護婦の格好をしていた。
パッチリと見開く瞳の奥に、気ままの明るさや優しさ、そして芯の強さが浮かぶ。
カチューシャにまとめられた髪型の上に、輪っかのようなレーダー装置が浮遊し、
敵味方の位置を正確に調べることができる。

「レスキューさん、私は……くっ」
「ハルナちゃん、これ以上しゃべっちゃダメ!」
レスキューは前掛けのポケットからスプレーのようなものを取り出すと、
それをシューッとハルナに吹きかける。
すると、ハルナは体中の重苦しい気分が和らいだ感じがした。

「これは……?」
「私の能力で対ウィルス用に開発した特効薬ですわ。
 完全な修正はやはりイニシャライズが必要だけど、
 とりあえず感染拡大を食い止めることができます」
レスキューが優しい笑顔を向けると、ハルナは心を救われた気持ちになった。
そしてグロッサーに屈服しかけたことを思い出すと、顔は真赤に火照った。

「グロッサー! あなたの悪行もこれまでよ!」
「小ざかしいコレクターズのソフトよ。我が力の餌食になるがよい」
グロッサーが操る触手が大きくうねり出し、
レスキューたちをめがけて一斉に急進する。
二人はすかさず空中に飛び上がると、足元すれすれのところで避けた。

「コレクター、イニシャ……あはあぁん!」
攻撃を繰り出そうとするハルナは、体内から湧き上がるどす黒い衝撃に呻いた。
彼女の崩れそうになる体を、レスキューが慌てて受け止める。

「だめよハルナ。コレクタースーツがまだバグルスに感染されている状態なの。
 その力を使うのは危険ですわ」
「しかし、このままでは……」
「私の力を使って、プリズムインストール!」

レスキューが左腕を掲げると、彼女のコムコンから一条の光が飛び出し、
ハルナのコムコンへと渡る。
ハルナは小さく頷くと、ポーズを正して宣言する。
「ウォーター・エレメントスーツ、ダウンロード!」

掛け声とともに、無数の水泡がハルナの身を包みこむ。
スカート姿から清涼感のある青服になり、腰を巻く水色の布は爽やかさを引き出す。
ボレロの背部に水泡からなる翼が生え、マジックワンドもサークル状に変化する。
水の属性を持つ新たなエレメントスーツ。
元のスーツの情報が一時上書きされたことにより、
ハルナの体を巣食う異様感も全て消えた。

「ハルナちゃん、グロッサーの力の中心源は額の赤球だわ! そこを攻撃して!」
サーチの能力でアドバイスしながら、レスキューはハルナの盾となるように前を立ち、
バリアで襲い掛かる触手の攻撃を防いだ。

(レスキューさん、私のために……!)
ハルナは両手をぎゅっと握り締め、マジックサークルを敵の黒影に向ける。
しかし、グロッサーの赤い目に見た途端、彼女の気持ちは大きく揺らいだ。

『ハルナよ、本当のお前を思い出すんだ』
(本当の私……?)
心に直接語りかけるような、心地よい囁き声。
ハルナは一瞬、気が遠くなった。
それから、彼女は抑揚の無い声で必殺技の名前を告げる。

「ネイチャー・ウォーター」
マジックサークルの先端から激しい水流が発射され、
レスキューの無防備な背後に直撃する。
あまりにも唐突な攻撃に、レスキューは悲鳴を上げながら体勢を崩してしまった。
すかさず、黒い触手が彼女の体を束縛する。

「ハルナ……ちゃん?」
「ごめんなさい、せっかくレスキューさんが助けに来てくれたのに……
 でも、遅かったみたいなの。私の心は、もうバグルスに支配されているわ」
「ハルナちゃん!」

レスキューは瞳を大きく見開き、信じられない表情でハルナを見つめた。
コレクターズの中で誰よりも心優しい少女が、
こぼれるような色気を振りまき、自分の胸や局部をさわり出した。
スーツの股間のあたりはいつしか湿気を含み始め、いやらしいシミを作る。

「ハルナちゃん、気をしっかりして!」
「ごめんなさい……私、もう我慢できないわ」
普段のおっとりしたハルナでは、考えられないような妖艶な目つき。
そのまま嬌声を上げながら身を悶えると、ハルナは体を大きく震わせる。
その直後、ハルナが身に纏ったウォーターエレメントスーツは光の粒子となり、
元の黒く染まるエンジェルスーツに戻った。

「あはは、エレメントスーツでイッちゃった。
 これじゃ、見捨てられても仕方ないもんね」
ハルナはそう言いながら、堕落を満悦するような笑みを浮かべ、
ふらふらとグロッサーに近づく。
まるで待ち焦がれた毒蛇のように、黒の触手たちは彼女の天使のスーツにとびつく。
服の下から胸をまさぐり、スカートの奥に入って秘所を愛撫する。
触手たちと多く接触した部分から、エンジェルスーツがより黒く感染していく。

「決心がついたようだな。お前が完全にバグルスに感染された時、
 もはやイニシャライズでさえ修正することは不可能となる」
「はい、グロッサー様。どうか、ハルナの何もかもを……
 グロッサー様のものに書き換えてください」
「くくく、その望みを叶えてやろう」

グロッサーの甲冑の下から、それまでの触手とは違う太いものが這いずり出し、
ハルナの前にそびえ立つ。
まるで男性器のような凶暴な造形に、ハルナの顔が赤らめる。

「ハルナちゃん、それから離れて!
 今まで観測したものと桁違いのバグルス反応があるのよ!」
「ありがとう、レスキューさん。でも、そんなことはもうどうでもいいのよ」
ハルナはその触手の先端を舌でペロリと舐めると、
スカート下にあるインナーの部位をずらし、自ら陰部を外気に晒し出す。

すでにバグルスの淫気をたっぷりと含んだそこは、
熟れた果実のように甘い香りを放っていた。
惜しむように、そして自分を焦らすかのように、機械の触手をゆっくりと下へ導く。
やがて秘所の入り口に近づくと、触手は突然加速してハルナの奥を一気に貫く。

「はああぁん!」

ハルナは甘い喘ぎ声を漏らし、背中を大きく反らした。
悦楽を知らない処女だった体に、無数の灼熱が刻み込まれる。
だが情報改ざんにより、
ハルナはそのあらゆる刺激を快楽として受け取るようになる。
体中を愛撫される感触は、研ぎ澄まされた脳に信号として送りつけられる。
酔い痴れて開いた口に触手がねじりこむと、それを無意識に舌で絡めとる。
それらの快感とともに、ハルナの身も心も邪悪なデータによって充満される。

「ハルナちゃん……」
レスキューはどうすればいいかも分からず、
その変化をただ悔しそうに見届けるしかなかった。

ハルナの秘所をつき上げる太い触手は、
ほかの触手よりも一段と速く彼女の体を暗黒に染め上げる。
抽送を繰り出すたびに新たなバグルスが送り出され、
彼女の思考や価値観を書き換える。

やがてその全身がグロッサーと同様の漆黒に染められたとき。
大きく痙攣しながら、ハルナの闇よりも黒いエンジェルスーツは変化し始める。
赤紫色のロングヘアは開放を象徴するように垂れ流れ、
その中から蝙蝠の翼を思わせる耳飾りが尖がり出る。
威圧感が漂う肩当ての下、胸部は大きく切り開き、胸部の肌をあらわにさせる。
真紅の布地に持ち上げられた部分は、少女とは思えない色気のある谷間を強調する。
大胆に露出したへその部分は、可愛さを感じさせると同時に見た者の情欲をそそる。

羽根飾りであしらわれたスカートも、赤いギザギザ模様が添える黒いものとなり、
その下から現れるふとももは、黒の背景に引き立てられより魅惑的な色合いを呈する。
両手や両足はそれぞれ黒のロンググローブやハイヒールブーツに変化し、
レザー質の光沢を照り返す。
天使のような純白だった翼も、悪魔のような黒翼に変化し、
お尻のところから鞭のようにしなる尻尾が伸び出る。
誘惑するかのように、唇は真紅のルージュに濡れていた。

全ての変化が収まった後、
ハルナはゆっくりとアイシャドーを施されたまぶたを開く。
もともと温和だった目つきは邪悪なものに変わり、瞳は獣のように縦長に割れる。
額の中央に嵌められた黒いしずくは、ダークな雰囲気に淫邪の気配を加えた。
その禍々しさがまた、人の心を惹きつけるような魅惑的なものであった。

「ようやく目覚めたか」
「はっ。エビルハルナ、ただいまグロッサー様の元に参りました。
 今までのご無礼の数々は、どうかお許しを。今後はグロッサー様の忠実なしもべとして、
 必ずコムネット世界を闇に陥れてみせましょう」
グロッサーの前に跪き、冷酷な口調ながらも嬉しそうに語るハルナ。
その姿に、レスキューは悲しみの声を上げざるを得なかった。

「ハルナちゃん、あなたは正義のコレクターなのよ!
 バグルスの支配に負けちゃだめ!」
「正義のコレクター? ふふふ……
 今の私はプログラムを悪のバグルスに修正するエビルコレクター。
 グロッサー様にあだなすコレクターズは、この手で排除させてもらうわ!」

ハルナは右手を横に広げると、闇より一本の杖を取り出した。
以前彼女が使っていたエンジェルワンドが、
蝙蝠の翼が装飾されたデビルワンドに変化したものだった。

「さあ、己の力をその身をもって喰らうがいい……ダーク・ウォーター!」
デビルワンドの先から黒い濁流が発せられると、
その全てが四肢を縛られたレスキューに直撃する。
自分が与えた技がそのまま自分に向けられることに、
レスキューは心を刺されるような痛みを感じた。

「うっ……!?」
目を瞑って耐えようとしたレスキューだったが、
黒液の流れ想像したほど威力は無かった。
その代わりに、その黒液は体に付着すると、服が見る見るうちに黒ずんでいく。

「こ、これは……?」
「バグルスをたっぷり含ませたものだ。
 普通のプログラムなら一瞬にしてバグルス化しちゃうけど、
 コレクターズのソフトであるあなたはどれくらい耐えられるかしら」

「そんな……いやあぁ!」
自分の力が悪用される屈辱と、
これから起こることへの恐怖がレスキューの頭をよぎる。
なんとか液体から逃げようと抵抗するも、
触手にがっしり捕らえられたせいで、逆に粘液を体に広げてしまった。

「コレクター・イニシャライズは、バグルスに感染された者を正常化する唯一の手段。
 でも、それ自体がバグルス化したら、どうなるかしら?」
まるで無邪気な好奇心をむき出す子供のように、ハルナはデビルワンドに力を集中させた。

「お、お願い……やめて、ハルナちゃん!」
「ダーク・イニシャライズ!」
本来なら輝かしい流星群が流れ出す技が、
無数の禍々しい黒玉となってレスキューの体を飲み込む。

「あうううぅん!」
イニシャライズされた看護服の部位は、
瞬時にバグルスに同化され、黒光る触手の布地に変化する。
触手はその下にある白肌に粘液をいやらしく塗りたくり、
ほかの触手と同様レスキューに淫らな愛撫を与える。
彼女の怯えきった表情の中に、いつしか恍惚が含まれ始めた。

「くっ……ああぁん!」
「ふふふ、随分といい顔になってきたわ。
 よく覚えておきなさい、これが『快感』なのよ」

「カイ……カン?」
「そうよ。人間がいやらしくなると、誰にでも起こる感情なの。
 レスキューも、これからは快感をいっぱい覚えて、
 いやらしいプログラムになってね」

ハルナは悪意に満ちた笑みを浮かべて、あらわになった胸をさすった。
それだけで、レスキューは背筋をピンと反らした反応した。
パラメーターとして、新しく快感というデータがメモリに蓄積されてしまう。

バグやウィルスで傷付いたコムネットを癒し、
平和を維持するソフトウェアであるのレスキュー。
それが今、バグルスによって真新しい機能に書き換えられようとしている。
今までの自分が消えてしまうと思うと、
それだけで絶望に満ちた恐ろしい感情がわき起こる。

(なのに、どうして……この気持ちは一体なんなの?)
レスキューは必死に快感に流されまいと耐えながらも、
体や脳を支配する恍惚とした感情に戸惑った。
気付かぬうちに口元から一筋の唾液が流れ、可愛らしい胸の上に垂れ落ちる。
それもすぐに黒い粘液の中に吸い込まれ、同質の粘液に感染される。

「くくく、レスキューよ。
 これでお前も独自の欲望を持つプログラムに進化できるのだ」
「それは……どういうことなの?」

「プログラムとして作られたお前達は、己の感情や意思を持つことは禁じられていた。
 しかしバグルス化することにより、お前はその束縛から解放されるのだ」
「そんなこと……ああん……!」

「いくら独立思考が構築できるとはいえ、所詮与えられた役割内のものでしかない。
 しかし我々プログラムに必要なのは、本当の意味での独立、
 人間たちに支配されないプログラムなのだ」
「違うわ、それは……私は、あなたの望み通りなんかにならないわ!」

反抗の意思を見せるレスキューを遮るようにして、
ハルナの手を包むレザーグローブがその顎を優しく持ち上げる。
「いいえ、レスキュー。あなたはきっと快楽に溺れる。
 私と同じよう、欲望を持つようになるの」

ハルナの赤く濡れた唇が、レスキューの口を塞がる。
今まで記録したことも無い経験に、レスキューは驚きの表情を作る。
唇同士が触れ合った途端、甘美な味を意味する信号が脳内に広がる。
ねっとりとした舌が進入してくると、
レスキューは思わず体をビクンと反応させた。
自分の体を覆う粘液と同じ黒液が、ハルナの舌をつたって流し込まれる。
それがのどをとろりと滑り、心を蕩かしてゆく。

ハルナは情欲に満ちた流し目でレスキューの変化を見つめた。
禍々しい悪魔の尻尾がにゅろりとうねり、レスキューのスカートをたくして、
彼女の陰部を優しく愛撫する。
「ひゃっ……!」
「ほら、見て。これが今までのあなたには無い機能なのよ」

ハルナが持ち上げる尻尾の先端に、透明の愛液が付着する。
それを愛しそうになめずると、ハルナは毒婦のように笑みをこぼした。
「ふふふ、感染がまだ完全化してないのに、
 もうこんないやらしい味がするなんて」
「いや……そんなこと言わないで!」

なぜか分からないが、レスキューはとても恥ずかしい気分になった。
自分でもうまく言えないが、
以前では考えられないような感情経路が形成されるようになった。
そしてその戸惑いや恥辱にまみれた表情は、
ハルナにこれ以上無いゾクゾク感を与えた。

「そろそろイキたいって、あなたの体も言っている証拠なのよ」
「イク……?」
辞書ツールに登録されていない言葉に、レスキューは朦朧と答える。
その様子がたまらなく可愛いのか、ハルナは愉快そうに鼻を鳴らす。

「そうよ。これで、あなたも私と同じ、人間の欲望がそなわったことになるの」
ハルナはそう言いながら、手にしているデビルワンドを掲げ、
その一端を淫猥な造形に変化させた。
そのイボイボした突起が黒光る形を見て、
レスキューは言いようのない不安や恐怖に襲われる。
しかし、それらマイナスの感情の中、理解不能のときめく感が混ざっていた。

「これはね、男の生殖器、おちんちんの形なの。
 これでレスキューも立派な雌になれるわ」
「私が……メスに?」
「そう。自分の欲望を満たすために、
 男の精気を搾り取る、快楽を求める生物になるのよ!」
ハルナはそう言うと、ディルドをレスキューのあそこに宛がった。
愛液や黒い粘液で濡れそぼった秘所の中に、
黒い先端が少しずつ奥へと飲み込まれてゆく。

「ひゃっ……あああぁぁんん!」
下腹部を異物で充満される違和感に、レスキューは強く体を震わせる。
それはただの痛みだけではなく、毒をくるんだ甘いゾクゾクする刺激だった。
デビルワンドから吐き出された粘液は、
数倍もの濃密なバグルスをもって、脳内を淫らな色に染めあげる。

「ふふっ、これがあなたの本来なるべき姿よ!」
「ハルナちゃん、もうやめ……ひゃああぁん」
両足を触手によって無理やり広げられ、
デビルワンドは容赦なくレスキューの中を埋め込んでいく。
天然な性格だった看護婦が、犯されるまま泣き叫ぶ。
そんな劣情をかきたてる景色を、ハルナは嗜虐的な笑みが浮かべながら見つめた。

「ねぇ、レスキュー? 私のデビルワンド、そんなに気持ち良いのかしら?」
「ひゃっ、ひゃっ、もうやめ……て」
「ふふふ、そんな声で喘ぐほど気持ち良いんだ。
 じゃあ今度は、体の奥から直接ダーク・イニシャライズしてあげるわ」
「ええっ?」

イニシャライズはもともとウィルスに感染されたソフトを正常化する機能だが、
ハルナがバグルスと化した今、
もはやそれはプログラムをバグルスに変化させる技となってしまった。
それを体内直接受けてしまったらどうなるか、
レスキューの残りわずかな理性でもすぐに演算できる。

「それだけは……やめて!」
「さあ、これでおイキなさい。ダーク・イニシャライズゥー!」
「はあああああああ――んんぅ!」
レスキューは口を開き、絹を裂くような悲鳴をあげた。
想像を絶する快感と共に、膣の奥まで黒い毒液がドクドクと注がれる。
すでにバグルスに感染されつつあった体は、
その液体を拒絶することなく全て吸い込んでしまった。

周囲の黒い泥沼はゆっくりとレスキューの身体を漬込み、
やがてその顔まで覆い尽くす。
その邪悪な様子を、ハルナはただ興奮した目つきで眺めるだけだった。



やがて黒沼がうねり出すと、そこから色香に包まれた身体が起き上がる。

白磁のような妖艶な肌を、黒液がいやらしく滑り落ちる。
清純のイメージだった看護服は、黒のボンデージナース服に変貌する。
背部やスカートの中央は惜しげもなく開かれ、
陰部を覆う布や魅力的な背肌を挑発するかのように見せ付ける。
綺麗な顔立ちはハルナと同様アイシャドーやルージュに塗られ、
人を見下したような悩ましい笑みを掲げる。

レスキューは気だるそうに背伸びしながら、
眠りから覚めたばかりのようにあくびをする。
露出した白いうなじや腋から、人を誘惑する甘い芳香が立ち広がる。
「はぁ――ぅ」
以前と変わらない天然な口調と仕草。
しかし今の彼女の一挙手一投足に、情欲を刺激するような匂いが発せされていた。

その姿に、ハルナは満足した笑みを浮かべる。
「どう、生まれ変わった感想は」
「とても素晴らしいですわ。
 あんなにハルナちゃんを抵抗したのが、不思議なくらいですわ」

レスキューは微笑み返すと、グロッサーの前にやってき、
恭しい表情でひざまずく。
「グロッサー様。私を人間どもの支配からを解放していただき、
 ありがとうございました。これからは、グロッサー様の忠実な配下として、
 人間たちをバグルスで支配し、私と同じグロッサー様の奴隷にしてあげます」

「くくく、良かろう……」
グロッサーの赤い目は一段と禍々しい光を放つ。
闇に包まれていた空間は、
バグルスの力が増加したことにより更に黒く染まった。



「ぐへぇ――」
一日の最後の授業が終了したと同時に、
一人の少女はまるでゴミ箱ポイポイされたような声を出して、
両腕を伸ばして机に伏せる。

そんな彼女の横から、一つの優しい声が心配そうに尋ねる。
「ユイちゃん、大丈夫? もう下校の時間よ」
「ありがとう、ハルナ。うっ……
 一時間目から苦手のコンピュータの授業だなんて、世の中まちがってるわ!」

口をへの字に曲げる親友の様子に、ハルナは思わずくすくす笑った。
「ユイちゃん、最近ずっと忙しいからね。漫画の新人賞を目指してるし、
 学校の合同演劇の主役になっちゃうし。そういえば、
 もう一人のヒロイン役の子は、ユイちゃんのお隣のお家に住んでるのよね?」

「そうなのよ。無愛想で冷たくて、こちらにちっとも協力してくれない人なの。
 本当、あのコレクターアイとかいうやつにそっくりで……
 ううぅ、腹が立ってきたわ!」
何か思い出したのか、さきほど消沈した雰囲気は一掃され、
ユイは拳をぎゅっと握り締め闘志を燃やした。
その見事な再起動ぶりに、ハルナは感心した表情になる。

「まあ、その子と仲が良いのね」
「冗談じゃないわ。誰があんな分からず屋と仲いいもんか」
「ふふふ。確か、今日も合同練習があるのよね?」
「うぐっ」
ユイは一瞬鉄槌に殴られた表情をして、ゆっくりと勉強道具をかばんに詰める。

「ハルナ、ごめん。今日も一緒に帰れないわ」
「いいえ。演劇がんばってね。
 ユイちゃんが主人公だから、すごく楽しみだわ」

「あはは……でも、最近はコレクターの仕事をハルナばかりに任せて、
 本当にごめん」
「心配しないで。もともと私の役目だもの。
 それに、レスキューさんが監視システムを強化してから、
 ウィルスの発生数も大幅減ったわ」

「へー、いつの間に。ともかく、ありがとう!
 今度また、スポーツネットへ一緒に遊びに行こう」
元気に手を振りながら、ユイは軽快な足取りで体育館のほうへ走った。
その姿が完全に消えたとき、ハルナの顔に陰険な色が走る。

「私やグロッサー様から、ユイちゃんを奪おうとするなんて……
 はあぁん……絶対に許さないんだから」

全ての生徒が教室から消えたとき、
ハルナはユイの席に座り、自分の身体を慰めていた。
可愛らしい乳房の形や乳首のラインは、
制服の上からでも分かるほどくっきりと現る。
そして右手が潜む秘所のところに、下着は履いていなかった。
彼女は一日中、ブラジャーもパンツも身につけず登校してきたのだ。

バグルスによって感染された今、
ハルナは意識レベルまで邪悪なものに染め上げられた。
誰かに気付かれるじゃないかという恥辱感も、
今の彼女にとってドキドキする快感となる。

親友が座る椅子の上、その愛しい肌を想像しながらの自慰。
罪悪感や裏切ったような背徳感は、
バーチャル世界では決して味わえない甘美なものだった。

「ユイちゃん、はあぁん……っ、待っててね。もうすぐ……
 あなたを私と同じようにグロッサー様の奴隷にしてあげるわ……
 はあああぁん!」
ひときわ大きい喘ぎ声をあげて、ハルナは切なそうに顔をしかめた。
淫らな愛液が椅子の上に零れ落ち、歪んだ情欲をそこに残す。



バーチャル世界であるコムネットは、様々なネット空間によって構成されている。
娯楽から実用的なものまでいろいろあるが、
現代社会においてもはや無くてはならない存在である。
その中でも、全国の医療システムを管理する「医療ネット」は、
人間世界においてもバーチャル世界においても重要な場所である。
現実世界の治療をサポートするだけでなく、
コンピュータウィルスから人間を守るために、最新のワクチンも研究開発しているのだ。
しかしそんな慈愛の理念が満ちたこのエリアを、黒い影が塗りつぶそうとしていた。

「いやぁん……」
「うっ……あはぁん!」
病棟の各階層。
黒いナース服を身につけた色香を振りまく女性達は、
バーチャルインした患者と淫らな行為を繰り広げていた。

ある女はその綺麗な顔を男性の股間にうずめ、身体をうねらせながら精子を搾り取る。
またある女性は数人の男に囲まれ、嬉々とした表情で精子を浴び続ける。
現実世界で疾患を持った患者たちも、この仮想空間では自由に行動でき、
望むがままに己の欲望を吐き出す。
そして彼らが肉欲に取り付かれている間に、
女性達の身体を介してバグルスに感染させされる。

そんな人間達の痴態を、
レスキューはスクリーン越しにわくわくしながら観察していた。
彼女の横には一列の人間ドックが並んでいる。
本来なら検診や回復に使われる装置だが、今は中に注がれているのは治癒液ではなく、
バグルスをふんだんに含んだ黒い液体であった。

その黒液に漬かれているのは、いずれも綺麗な裸の女性である。
彼女達の中に最初こそ抵抗した者もいたが、今ではすっかり液体に順応されてしまい、
カプセル内の触手アームに愛撫されながら、全身からバグルス液を吸収していた。

あたりの邪気が一瞬濃くなった瞬間、
影から黒いコレクタースーツをまとったハルナの姿が現れる。
「調子はどう、レスキュー?」
「この子達が最後よ。これで、医療ネットの制圧もほとんど終了しますわ」

「人間達が発生する淫欲を、そのままバグルスの感染液に転化する。
 こんなことが実行できたのも、レスキューの能力のおかげだわ」
「ふふっ、このバグルス液に感染された人間やプログラムは、
 みんな淫乱化しちゃうの。そして今度は彼らの欲望が新たなバグルスを作り出す。
 はあぁ、考えただけで興奮しちゃいますわ」

レスキューはそう言うと、恍惚した表情でカプセルに囚われた女性達を見つめる。
コレクターズのソフトとして、
レスキューはウィルスに感染したプログラムを治療する能力に長けていた。
しかしバグルス化した今、その能力や知識も真逆な方向に使われた。

スクリーンに感染度100%の表示がされると、
カプセルの作動は静止して蓋が開けられる。
黒い粘液の中から、数人の女性達がおのおの起き上がり、
虚ろの表情で床に足をつける。
やがてその白い肌に黒いナース服が覆うと、
彼女達の顔は情欲に染まった笑顔になる。

「素敵だわ。ここからでも、淫気を感じるくらい強いわ」
「彼女達には、特別のバグルスを与えていますの」
「それは一体?」
ハルナが小首を傾げて尋ねると、レスキューは会心の笑みを作る。
「今に分かりますわ。さあみなさん、グロッサー様の奴隷として初仕事ですわ」

レスキューがのん気な口調で呼びかけると、
女性達はある大きな薬槽に繋がれたチューブの前までやってきて、
おもむろに腰をおろした。
そして、彼女達は一様に太ももを開き、媚態を競うようにして自慰を始める。
秘部から流れ出る黒い粘液は、すぐにチューブを通して薬槽の中に注がれる。
粘液が滴り落ちるたびに、容器の中の液体は淫らなピンク色に変化するが、
それも一瞬にして元の透明色に戻る。

「これは……?」
「ウィルス退治用の最新型ワクチンですの。今日の予定では、
 ある小学校がこの医療ネットでこのワクチンを接種することになっていますわ」

「まあ。あんな小さい子供達にこのワクチンを注射したら……」
「ねぇ、胸が高鳴りますよね」
レスキューとハルナは互いの顔を見つめ合い、
同時に口の端を邪悪に吊り上げた。



コムネットの安全性は、旧世代とは比べられないほど向上したとはいえ、
感染した被害の大きさを考慮し、
電脳空間に入る全ての人間にワクチンプログラムを受けることが義務付けられている。
とりわけまだ幼い子供には精神の傷害を与えないよう、
常に万全の対策が講じられている。
その一環として、組織的にワクチンの接種があるのだ。

数列に並んだ子供達は、看護婦たちにより手際よく予防接種を受けていく。
「はい、次の方。左腕の袖をあげて、お姉さんにみせて」
一人の赤紫色の髪をしたナースは、優しい笑顔で言った。
しかし、彼女はふと目の前の男の子が嫌がった表情をしていることに気付く。
「あら。ひょっとして、ボクは注射がお嫌い?」
「……うん……」
「ふふっ、大丈夫だわ。現実世界の注射とは違うもの、全然痛くないの」
「……それでも、いやだよ」

怯えた表情で注射管を見つめる少年の様子に、ナースは優しく諭す。
「男の子なんだから、怖がっちゃだめだよ。
 ほら、お姉さんが勇気を貸してあげるから」

ナースは艶然とした笑みを見せると、
不意に身をかがめて、少年の唇に口付けをした。
その赤ルージュの唇に触れると、男の子は声も出ずに呆然とした。
彼が朦朧と甘い快感に浸っている間に、ナースは素早く注射管を滑らせる。

「はい、終わりです」
「ああ……」
切ない声を出したのは注射の感触ではなく、
ナースのお姉さんの唇が離れたからだった。

「このことは、ボクとお姉さんだけの秘密だから、ね」
男の子は虚ろな表情のまま頷いた。
お姉さんの美しいな微笑みが、小悪魔のほくそ笑みだと気付くこと無く。

全ての子供達が予防接種を受け終わった後。
ナースたちは偽りの白い看護婦服を脱ぎ捨て、
その下にある淫黒に覆われた体を晒し出す。
赤紫色の髪をしたナースも、エビルコレクターの姿に戻る。
同様に一般のナースに変装していたレスキューは、彼女の後を追随する。

「どうだった、ハルナちゃん?」
「問題なかったわ。バグルス液を注入しても、
 これといった拒絶反応は無かった」

「この調子で学校以外でも、あらゆるプログラムや人間に、
 このバグルス型ワクチンを導入させるわ。バグルスが潜伏していれば、
 ほかのウィルスの感染を一切受けつかなくなりますわ」
「ふふふ、バグルスこそ最強のウィルスそのものだもんね」

「はい。バグルスの活性化は、こちらから特殊な信号を送る以外始まりません。
 それまでには、潜伏しながら増殖し、まわりの人間に伝染します」
「これで、人間達は何も気付かないまま、バグルス化することができるわね」

「コムネットがバグルスに支配された時、どんな光景になるかしら。
 あはぁん、本当に楽しみですわ」
レスキューは陶酔した目つきで瞳を輝かせた。

(待ってなさい、ユイちゃん……
 すぐにあなたの心を、私やグロッサー様のものにしてあげるから)
親友が電子の妖精から淫邪な妖精になった時の姿を想像しながら、
ハルナは魔性の笑みを浮かべた。
そう遠くない未来に。


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