【ロリも】ハーレムな小説を書くスレ【熟女も】 12P

471 :リトルナイト(1/5):2007/11/11(日) 16:42:28 ID:LyVRlshk

なんで俺はこんなところにいるんだろう?
本日四十二回目の溜息を心の中でつきつつ御凪蒼矢(みなぎそうや)はさっと眼下を見回した。
目に映るのは好奇心に溢れた顔、顔、顔。
男女比はほぼ均等ではあるが、彼らの表情は自分への興味に満ち溢れている。
ちょっとしたアイドル状態だな。
基本的に真面目人間である蒼矢をしてそんな馬鹿馬鹿しい発想が浮かぶのだから注目度合いは相当のものである。

「……御凪蒼矢です。よろしくお願いします」

ぺこ、と頭を深々と下げる。
ひねりもなにもない型通りの自己紹介。
これで俺の第一印象はつまらない奴だと思われただろうな。
そう考えつつ蒼矢は「続きは?」と言いたげな隣の女性の視線を無視し再び前方に視線を走らせた。

(今ので興味を失った奴が大半か。目論見通りだな)

対人関係において第一印象というものは非常に重要である。
一度植えつけられたイメージはそう簡単には覆らないからだ。
そういった意味では転校生の自己紹介というのはクラスというコミュニティに受け入れられるための最初の関門だといえる。
だが、蒼矢はあえて突き放すような物言いをした。
やろうと思えばひょうきんに振舞うことも、さわやかプレイボーイのように振舞うことも可能だった。
だが、そんなのは自分のキャラクターではないし、何より意味がない。
演じる、という点では既にこの『転校生』という設定でお腹いっぱいなのだ。
この上性格まで大幅に変更してこれからすごさねばならないなど冗談ではない。
それに、自分の目的上あまり目の前の人物たちと親しくなるのは望ましいことではなかった。

(クソ親父が)

蒼矢はこっそりと歯を噛み締め、朗らかに笑う脳内の養父を罵倒した。
元々彼は学生という身分ではない。
もっと言えば、学校というものに通った経験すらない人間である。

御凪蒼矢。
彼は都心に居を構えるプロフェッショナルガードカンパニー(略してPGC)の一員だった。
その仕事はストーカー退治から政財界人の警護まで及ぶといわれ、依頼の達成率は実に九割を超える。
仕事の性質上その内部の情報は人材を含めて秘匿事項とされ、一般人からすれば正に『謎の正義組織』という会社である。
その依頼達成率故に政財界にも幅を利かせており、彼らは日本、いや世界でも有数の警護集団と畏怖されている集団だった。


472 :リトルナイト(2/5):2007/11/11(日) 16:43:51 ID:LyVRlshk

蒼矢は若干十六歳という年齢でありながらPGCの一員として働いていた。
経験や精神面のケアといった面ではまだまだ足りないものがある彼ではあるが、こと戦闘面では既に一流の仲間入りを果たしている。

『アイツに勝つのはもう俺でも難しいかのしれないな』

これは蒼矢の養父であり、PGCの現エース格である御凪青海の言葉である。
普段はおちゃらけた面ばかり見せ、とても一流のガードには見えない男ではあるが、蒼矢は彼をガードとして尊敬していた。
それだけに、養父のその言葉は蒼矢にとって最高の賛辞であり、更なる精進を目指させる引き金だった。

(恩人で、目標で、尊敬するガードで、後はあの性格さえなければな…)

四十三度目の溜息をつきつつ蒼矢は一週間前のことを思い出していた。
いつものようにトレーニングを終えた自分の耳に届いた呼び出しの放送。
上司である養父の執務室に向かった彼に与えられたのは警護の仕事だった。

「色彩学院?」
「うむ、知っているか?」
「政財界の子息子女ばっかりが通ってるっていう学校だろ?」
「ああ、まあ知っているなら話は早い。今回の仕事場はこの学院だ」
「内容は?」
「護衛、敵対者の排除、警戒……まあ、全部だ」
「…は?」

蒼矢は思わず間の抜けた声で聞き返していた。
だが、青海はその反応は予想通りだといわんばかりに大きく頷くと続きを話し始める。

「お前も知っての通り色彩学院はいいとこの坊ちゃん嬢ちゃんが通ってる。つまりだ、普通の学校よりも問題の発生率が高い」
「…脅迫状でも届いたのか?」
「ビンゴだ。話は一ヶ月前に遡るがな、一通の脅迫状が学院理事の元に届いた。内容は要約すると『お前の所の生徒に危害加えてやる』だ。
 まあ後は説明するまでもなくオチが読めたとは思うが…」
「悪戯だと思ってたらマジで事件が起きた?」
「その通りだ。誘拐未遂や学院の器物の破損。ったくドラマや小説じゃないんだからそうポンポンと事件を起こすんじゃねーっての」
「その事件のおかげで俺たちはメシを食えるんだけどな」
「…身も蓋もないことを言うなよ。まあ、それでだな、対策に困った学院がうちに依頼してきたんだ」
「警察は?」
「わかってるだろ? 学院側にも面子ってもんがある」
「それで迷惑をこうむるのは実際に被害に会う生徒だろうに…」


473 :リトルナイト(3/5):2007/11/11(日) 16:45:28 ID:LyVRlshk

顔をしかめる蒼矢に青海は「青いねえ」と茶化しながら茶菓子に手を伸ばした。

「ま、それはともかくだ。依頼を受けた俺たちとしては最善を尽くすしかない。で、今回白羽の矢がたったのがお前ってわけだ」
「それはわかった。で、期間は? それと、詳しいことは後で聞くけど俺一人ってことはないんだろ?」
「期間はまあ事件解決と向こうが判断するまでだな。後学院に潜入するのはお前一人だ」
「ちょっと待て。護衛対象が学院生徒全員とか無理に決まってるだろう」
「わかってるって。でもPGCも人手不足なんだよ。それに今回の仕事はどちらかというと抑止力を期待されているわけだし」
「それにしたって俺一人は…」
「まあ学院には警備員がいるわけだし、ずっと全体を見てろとは言わん。
 つーかぶっちゃけお前一人でどうにかなるとはこっちも学院側も思ってない。
 あくまでお前の存在は保険にすぎん」
「…仕事だというなら断る理由はない」
「難く考えるなよ。ま、期間不定の休暇のようなもんだと思えばいい。お前ここのところずっと仕事入ってただろ?」
「仕事は仕事だ。手を抜けるか」
「かーっ! もう少し肩の力を抜けよ! そんなんじゃ彼女でできねーぞ?」
「で、俺は生徒として潜入すればいいのか?」
「無視かよオイ。ああそうだ。お前は生徒として潜入しろ、一週間後には開始だからそれまでに普通の学生の知識を入れとけ」
「了解、他には?」
「後は書類だ。お前の部屋に届けとく」
「了解」

聞きたいことを聞き終えた蒼矢はさっさと部屋を出て行く。
だが、それゆえに彼は気がつかなかった。

「くっくく…が、頑張れよ蒼矢『君』」

ドアを閉める際に青海がやけにニヤついた顔で自分の背中を見つめていたことを。
そして時間は現在にたどり着く。

(騙された…何が学生としてだ。学生は学生でも…)

教室に並ぶ机。
その横には四角形の鞄が引っ掛けられている。
そう、一般的にランドセルと呼ばれる鞄だった。

(小学生とはどういうことだっ!?)


474 :リトルナイト(4/5):2007/11/11(日) 16:47:01 ID:LyVRlshk

脳内の養父に三角締めを極めながら蒼矢は怒りを喉元で押し殺していた。
彼が現在いるのは色彩学院『付属』だったのだ。
当然、通っているのは小学生ばかり。
右を見ても左を見てもローティーンの子供ばかり。
唯一の大人は真横で困った表情を浮かべる担任教師だけ。

(おかしいと思ったんだ。依頼を受けてから同僚の視線がなんか生暖かったし、なんか半ズボンをプレゼントされたし)

数分前、教室の入り口のドアの上に『六の二』と書かれた表札を見つけたときに衝撃と絶望は今も余韻を残している。
蒼矢はチビだった、それはもうチビだった。
具体的に言うと、十六歳という高校生年齢でありながら、小学生に間違われるのが当たり前というくらいチビだった。
それゆえにこうして小学生の教室に生徒として紛れ込んでも誰一人として疑いは持たない。
だがそれに何の救いがあるのだろうか?
仮にも手に職を持つ自分が仕事とはいえ小学生をやらされることになったのだ。
蒼矢の怒りと絶望は計り知れなかった。

(普通の高校生活を少しだけとはいえ楽しみにしていた自分をぶん殴ってやりたい)

キリキリと痛む胃と共に目が釣りあがっていく。
蒼矢の周囲には真っ黒なオーラが漂い始めていた。

「え、えっとその御凪君?」
「先生、俺…いや、僕の席は?」
「あ。あそこよ。え、ええとそれじゃあ皆さん、これから彼と仲良くしてあげてくださいね」

ギン!
そんな擬音がつくような鋭い視線を受けた担任教師こと舞園美土里(まいぞのみどり)女史。
彼女はひっと短い悲鳴をあげながら空いた席を指さした。
新卒にして社会人一年目の彼女には蒼矢の眼光は耐えられなかったようだ。

ざわざわ…

モーゼのごとく蒼矢が歩く道ができていく。
とはいっても、蒼矢の眼光にビビった生徒たちが勝手に机と椅子を引いているだけなのだが。

「そ、それでは授業をはじめますっ」

蒼矢が席に座ったことを確認した美土里は半泣きで授業の開始を宣言した。
教師生活一年目にして担任。
しかも色彩学院付属という優良学校。
順風満帆と思われていた彼女の教師生活は、数ヶ月にして暗礁に乗り上げていた。


475 :リトルナイト(5/5):2007/11/11(日) 16:48:43 ID:LyVRlshk

(御凪…蒼矢?)

誰もが蒼矢と目を合わせまいと授業に集中しはじめた数分後。
蒼矢の俺に触れるなオーラを無視して三つの視線が彼に集まっていた。
その視線のうちの一つの持ち主、穂波白(ほなみしろ)は首をひねって蒼矢の後頭部を見つめた。

(どこかで見たことがあるような…)

見覚えのある容貌に白はうーんと可愛らしく悩む。
隣を見やれば双子の妹である桃衣(ももい)も同様の表情だった。

((……え?))

カチリ、と過去の歯車がかみ合った。
思い浮かぶのは姉妹の『兄』の顔。
優しくて、強くて、頼りになって、大好きだった顔。
チャイムが鳴った。
クラスメートたちがめいめいに立ち上がる中、白と桃衣はふらふらと蒼矢の席へと歩み寄る。

「…なんだ?」

微妙にドスの効いた蒼矢の声。
だが、姉妹はひるむことなく彼の前にたった。
その視線はまっすぐに蒼矢を見つめ、捉えて放さない。

「やっぱり…」
「そうだ…」

呆然と呟く姉妹の声に蒼矢は困惑する。
見れば周囲のクラスメートたちはいつの間にか自分たちに注目していた。
まずいな、と蒼矢は舌打ちし二人を追い払おうと立ち上がり

『お兄ちゃんっ!!』
「んなっ!?」

怒涛の勢いで飛びついてきた二人の少女に押し倒されるのだった。
――視界に、頬をぷくっと膨らませた見覚えのある一人の少女を収めながら。


530 :リトルナイト(1/5):2007/11/12(月) 21:16:10 ID:O/DD5HbL

「お兄ちゃん…♪」

べたべたすりすり。
蒼矢が色彩学院付属に通い始めて一週間。
彼の周りにはお決まりとなった風景が浮かんでいた。
平たく言うと、白が蒼矢にべたべたと引っ付いているのである。

「なあ、シロ」
「なあに?」
「離れてくれ」
「…やだもんっ」

ぎゅっと自分をつかむ手に力がこもったことを認識し、蒼矢は溜息をついた。
視線を隣に向ければ怒りと寂しさと、そして羨ましさを同居させたような表情の桃衣がいる。

(…こいつらがいるとは、どういう偶然だ)

姉妹の苗字である穂波に蒼矢は聞き覚えはなかった。
だが、姉妹の名前には覚えがあった。
その名前は、三年前に別れた義妹達の名前だったのだから。

蒼矢の名前は元々は宗耶だった。
宗耶は中流の家庭に生まれ、片親ではあったものの何不自由なく過ごしていた普通の少年だった。
それが狂い始めたのは四年前。
父親が再婚し、全ては狂いだした。
義母となった母は美人だったが、金遣いが荒く、子供のことを顧みない女だったのだ。
かさむ借金、家にいない母。
そんな中、宗耶の心を癒してくれたのは義母の連れ子である白と桃衣の姉妹だった。
姉妹は宗耶によく懐き、いつも一緒に遊んでいた。
が、そんな日々も長くは続かない。
父が再婚して一年程がたったある日、突然義母が姉妹を連れて蒸発したのだ――借金と離婚届を残して。

(で、ショックのあまり父さんは身体を壊してそのままポックリ。孤児院に行くしかない状態だった俺は)

たまたま通りかかった青海に拾われ、今に至る。
正直、自分でもなかなか波乱万丈な人生を送っているのではないかと思わないでもない。
だが、蒼矢はそれでも自分の人生を悲観しなかった。
過程はどうであれ、自分は今こうして生きているのだし、何よりも、唯一の心残りだった姉妹とも再会できたのだから。


531 :リトルナイト(2/5):2007/11/12(月) 21:18:07 ID:O/DD5HbL

(しかしあの女が死んでいたとはな…)

右腕に感じる女の子特有の柔らかな感触と鼻腔をくすぐるふんわりとした甘い匂い。
慣れないそれらの感覚に少しばかりの動揺を覚えつつ蒼矢はつい先日姉妹から聞いた話を思い出していた。
姉妹の母親にして蒼矢の義母であった女は蒸発後、富豪の男に見初められて結婚、所謂玉の輿に成功したらしい。
当然、姉妹は富豪の娘ということになり、何不自由しない暮らしを手に入れたわけなのだが、ここで一つ問題が発生した。
姉妹の母親があっさりと事故で死んでしまったのである。
とはいえ、元々姉妹は母のことを好んでいなかったし、義父は優しい男でだった。
ゆえに、幸いにして姉妹は豊かな生活と愛を注いでくれる家族を手に入れ、今に至るとのことだった。

(ま、今が幸せだって言うなら俺から言うことはないけどな)

別に蒼矢は姉妹に対して何か負の感情を持っているというわけではない。
唯一、思うところがあった義母も死んでしまった以上はどうしようもないのだ。
まあ、ざまあみろと心の中で呟くくらいのことはしたのだが。

閑話休題。

とにもかくにも、お互いの無事を確かめ合った兄妹は素直に再会を喜んだ。
蒼矢は流石に自分の境遇を話すわけには行かなかったので嘘を交えての会話だったのではあるが。

(というか何故俺の歳について突っ込んでこないんだこいつらは)

何故か年上だったはずの兄が同じ学年のクラスに転入してきたことに一切の言及がなかったことが気になるところではある。
再開の嬉しさが先立ってそこに思い当たる余裕がないのか、それともわかっていて事情を慮ってくれているのか。
あるいは、自分の外見ゆえに元々同い年だったのだと勘違いしているのか。
そのあたりを聞いてみたい蒼矢だったが、止めた。
もしも最後の理由だったとしたらへこむからだ。

「シロ、いい加減離れろ。暑い」
「私は暑くない」
「俺は暑いんだ。今何月だと思ってるんだ、六月だぞ六月、しかも下旬」
「お兄ちゃんは暑がりだもんね」
「わかってるなら離れろ、マジで」
「やー」

ぐりぐり、と抵抗するように頬と胴体を押し付けてくる白に蒼矢は困惑する。
小さいながらも、女の子らしく膨らんだ二つの丘がぷにぷにと右腕を刺激するのだ。
基本的に女の子とのスキンシップに免疫のない蒼矢にとってはいかに相手が小学生だとはいえ、気まずいものがある。


532 :リトルナイト(3/5):2007/11/12(月) 21:19:58 ID:O/DD5HbL

穂波白、小学六年生。
髪をツインテールでまとめ、小動物っぽい雰囲気を持つ少女は蒼矢の記憶の中の少女とほぼ変わりはなかった。
しかし、記憶はあくまで三年前のもの。
成長期である彼女は記憶よりも背丈が伸び、体格も『つるぺったん』から『つるぷにっ』くらいに成長している。
青海に拾われて以来、あまり同年代および下の年代と接することがなかったため、正確な判断はできない。
が、いまどきの小学六年生の体格はこんなもんだろうなといった感じの少女に育っていた白に蒼矢は目を細めた。

「…ふん、デレデレしちゃって、みっともない」

そんな様子を見て目じりを吊り上げているのは妹の桃衣だった。
ポニーテールの髪型に、見るものを明るい気分にさせる陽性の雰囲気はやはり記憶の中の少女と一致する。
ただ、彼女は姉とは違い再会の時以降露骨な好意を見せることはなくなっていた。
三年前は姉妹そろって自分に飛びついてきたのだが、今それをするのは白のほうだけ。
まあ、年齢的なものを考えるとむしろそっちのほうが自然で白のほうが子供から脱し切れていないといえるのではあるが。
とはいえ、腰に当てられた両手が微妙にうずうずしているあたり白と同じようにしたい衝動はあるようだ。

(反抗期か? いやこれが漫画で見たツンデレという奴なのか?)

同僚に薦められて読んだ漫画に出てきた単語をふと思い浮かべながら蒼矢は桃衣をじっと見つめる。
桃衣は蒼矢の視線にビクッとわかりやすくうろたえながらも目をそらさずに眼光を強めた。
目をそらしたら負けだとでも思っているのだろうか。
頬を赤らめながらもその眼差しはしっかりと強い意思を放っている。

「な、何見てるのよ?」
「いや、お前も成長したなぁって」
「成長期だもん、当たり前じゃない」

ふふん、と背をそらす桃衣。
褒められた(?)のが嬉しかったのかその表情は得意そうだった。

(いや、育ちすぎだろ…)

蒼矢は視線を少し下げた。
そこにあるのは少女の胸。
りんごでもいれてるのか? と首を傾げたくなるようなサイズのおっぱいがそこには鎮座していた。
身長は蒼矢よりちょっと下、つまり白とほぼ同じくらいなのにも関わらず、その部分だけは圧倒的な差がついている。
直接裸を見たわけではないので断言はできないが、あるいは担任の美土里よりも大きいかもしれない。


533 :リトルナイト(4/5):2007/11/12(月) 21:21:50 ID:O/DD5HbL

(っと、何を考えているんだ俺は)

女に縁がなかった生活を送っていたとはいえ、小学生の身体に興味を示すというのはあまりよろしくない。
年齢差にすればたかが四歳差ではあるが、その言葉が適用されるのはあと十年後の話である。
きょうびの小学生の発育がいいことは桃衣を例に挙げるまでもないことだが、発育がよければ興味を向けて良い訳ではない。
自嘲する蒼矢だったが、その視線は吸い付いたように桃衣の胸から離れない。
いかに理性を働かせようと、彼とて思春期の男子であることは間違いなかったのである。

「あっ、ど、どこ見てるのよ!」

が、長時間一点を見つめていれば当然それはバレる。
あっさりと両手で隠される二つの果実。
残されたのは、気まずい沈黙と射るような桃衣の視線だった。

『えっち』

その言葉を発したのは桃衣、そして白だった。
前者は恥ずかしげな、後者は非難を向けての声音。
双子ならではのハモリに蒼矢は思わずうろたえてしまう。

「おに、蒼矢も男の子だったってことね」
「ちょっとがっかり」
「い、いやちょっと待て。俺はただ」
「ただ何? 乙女の胸に見とれていただけ?」

誰が乙女だ。
そう突っ込みたかった蒼矢だったが、この状況では自分のほうが圧倒的に分が悪い。
ゆえに沈黙を保ち続けるしか蒼矢には手段はなかった。
正直、『気持ちはわかるぜ!』といわんばかりのクラスメート(男子)の眼差しが嫌だったからという部分もあったりする。

「ふんっ」

蒼矢から反抗の気がなくなったのを見て取ってか、桃衣は勝ち誇るように腕を組む。
そうすることによって胸が強調されてしまうのだが、本人の様子を見る限りわざとやっているようではなかった。
この天然エロ娘め。
蒼矢は心中で毒づいた。


534 :リトルナイト(5/5):2007/11/12(月) 21:23:32 ID:O/DD5HbL

「それにしても、おにい…蒼矢もクラスに馴染んできたわね」
「そうか? あといちいち言い直すならお兄ちゃんでも構わんぞ」
「嫌よ。この歳でお兄ちゃんだなんて恥ずかしい」
「お前の姉は普通に言っているが」
「シロ姉は例外。子供っぽいもの」
「あ、モモちゃんったら酷いっ。それにモモちゃんだって人のこといえないと思うな」
「なんでよ」
「私しってるんだからね、モモちゃん今でもお兄ちゃんからもらった猫のぬいぐる」
「わーっ!?」

最後までいうことを許さず、桃衣は慌てて白の口をふさいだ。
むぐむぐと抑えられながらも暴れる白だったが、あっさりと蒼矢から引き離されていく。

「ちょ、ちょっとシロ姉、何を言うの!?」
「本当のことじゃない。いつも寝る時あのぬいぐるみ抱いて寝てるの私知ってるんだから」
「ちょっ、声大きい! お兄ちゃんに聞こえちゃうじゃない!」
「ふーんだ」
「な、何よ! シロ姉だってうさちゃんのぬいぐるみに毎朝キスしてるくせに!」
「ええっ? な、なんで知ってるの!?」
「ふふん、この前たまたまシロ姉の部屋の前を通りかかったらドアが開いてたのよ。聞いたわよ、『お兄ちゃん、私――』」
「な、ななななっ!? そ、それ以上言っちゃだめーっ」

教室の隅っこで姉妹喧嘩が勃発した。
だが、小声で話しているようで全くそうなっていない会話の中身はクラス中に丸聞こえだった。
当然、蒼矢の耳にも嬉は恥ずかしな姉妹の暴露話は聞こえている。

「あのバカどもが…声を抑えろ」

苦々しく呟く蒼矢の表情は言葉とは裏腹にだらしなく緩みかけていた。
会話の内容からは、別れてからも姉妹が自分を慕ってくれていたことがよくわかる。
ずっと姉妹の心配をしていて、それでいてどうすることもできなかった身としてはこんなに嬉しいことはない。
勿論、それをバカ正直に表に現すのもみっともないのでなんかとか表情には出さないように努めてはいたのだが。

つんつん

と、姉妹喧嘩を微笑ましく見物していた蒼矢の肩が叩かれた。
いや、叩かれたというよりは突付かれたといった方が正しいだろう。
なんせそれをした張本人は精一杯の背伸びをして蒼矢の肩に手を伸ばしていたのだから。

「そーや」

肩への感触と自分の名を呼ぶ声。
振り向いたその先には一人のゴスロリ少女が立っていた。





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