【ロリも】ハーレムな小説を書くスレ【熟女も】 12P

302 :大きな女の子は好きですか 0/14:2007/11/04(日) 09:21:14 ID:8VagZ/xG
誰も起きていない、投下するなら今のうち。身長ギャップ萌えハーレムを目指して。

■お話
・学園もの
・身長ギャップ萌えハーレム

■注意
・エロあれど、挿入なし
・身長の高い女の子が苦手な紳士はスルー推奨
・45文字改行(専ブラ推奨)

■NG Word
・大きな女の子は好きですか

303 :大きな女の子は好きですか 01/14:2007/11/04(日) 09:22:01 ID:8VagZ/xG
今でもたまに思い出す。中学時代の放課後、忌まわしき瞬間を。

「なあ、タケ。前から思ってたんだけどさ……、〜〜のこと好きだろ」
「ぶっな、なに言い出すんだよ!?」
「いや、それは俺も思ってた、つうかタケ、チラチラよくあいつの事見てるし」
「そうそ、女には興味ないって顔しててバレバレなんだよ、このおチビは」
「み、見てないっつうの、それにどさくさにチビとか言うな!」
「あはは、わりわりぃ。で、どうなの、タケ、好きなん?」
「いや、だからそれは……どーでもいいだろっ」
「タケ、顔真っ赤じゃん。それで否定しても説得力ねーよなったく」

友人達のからかいに逃れられず、竹は冷や汗を流す。逃げようにも自分の机の周りに集まって砦の
ようにぐるっと取り巻いている状況だ。何とかやり過ごそうとして適当に時間を潰そうとしていたが、
間の悪いことに、女子グループが教室に入ってきて
「え、うっそ。タケの惚れてる子ってそうだったの!?」
「うわっ、ほんとにポの字なの。放課後残ってて良かったあ〜」
「ちょっ、何盗み聞きしてるんだよっ」
その騒ぎに気づいてしまう。

「何よ、ポの字って古いって、もぅ! あ、でもタケが真っ赤になってるし、これまじっぽいよ!」
「へえ、意外。それにしてもあのタケがねえ〜、でも丁度良かったわねえ?」
「――え?」
「ねえ、どうするのよ! タケが好きらしいよ、あんたのこと!」
「え……えっと、ほんとに?」

そしてそのグループ中に、今話題の本人がいることにタケは気づくと、サッと血の気が引いていく。
他の女の子より一際身長が高い彼女を、なぜすぐ見つけられなかったのかと悔やんだ。
すぐ見つけたところで状況は変わらなかっただろうが、そこまで思考は至らない。
竹より15cmは大きいだろうその子は、椅子に座ったままのタケを離れた位置から見下ろすような
位置関係にあり、竹の焦りの混じった挙動不審の目は恐る恐る顔をのぞき見る。

――――彼女は竹を見ていた。そして、タケと目があった。

(ば、ばれてしまった……、しかもこんな形で)
真剣に付き合うとかなんてまだ考えていなかったし、ちょっと淡い気持ちで惹かれていただけだった。
それなのに、こんな形で知られてしまうのは想定外もいいとこだ。
3メートル先にいる相手の瞳を見上げていると、緊張でごくりと喉が鳴った。

場の空気が相手の女の子を中心に、タケへどういう返事が来るかを待つかのように、静かになる。
しーーんとした空気の中、やがて女の子は審判を下す。
「えっとごめんね、だってタケってその……」
照れを誤魔化すように女の子の言ったその台詞は

「ちっさすぎて、やっぱ無理。恋愛対象にはちょっと……ね。ミニミニサイズだし」

ピシッ

少年の心に小さくない楔を打ち込むと同時に、周囲の大爆笑を引き起こした。
「アハハハ、言い過ぎ。いや確かにタケって身長低いけどミニって!」
「しかも二回繰り返すってひでえ〜、どっかの賃貸じゃねーんだし」
少年少女が好き勝手に喧噪を繰り広げる中、タケは呆然として椅子からも立ち上がれず、周囲の
友人が笑いながら肩を叩かれるがままになった。全く動けなかった。
(み、ミニ……。俺が、ちっさくてミニ……、わ――分かってたけど……みに、)
やがて周囲の喧噪が耳障りなほど大きくなり、笑いと嘲笑が甲高く響き出す。視界が揺れて、上下の
判別もつかなくなり、渦巻き状に風景が回転しだし、思わず叫びそうになったところで、
「うわああっ!!! ――て、ベッド?」
目が覚めた。


■大きな女の子は好きですか 第1話 「先輩と妹」

304 :大きな女の子は好きですか 02/14:2007/11/04(日) 09:22:39 ID:8VagZ/xG
「……お、おはよう兄さん。……ぎゅ、牛乳いる?」
「……」
「……あ、あう、別に変な意味で言ったんじゃなくて」
「はぁ………………、いる」
「……う、うん。すぐ入れるね」
「それと、藍」
「……な、なに?」
「おはよう」

モジモジと長身の身体をもてあそびながら指先を合わせて窺う長身の妹は、嬉しそうに顔を伏せて
冷蔵庫のドアを開ける。
(そうやって気使われる方が、よっぽど堪えるっての)
タケは今やもう、慣れすぎた一連のやり取りに溜息をつく。

少年の名は小山 竹(こやま たけ)、現在高校二年生である。
そしてチビだ。
陰でミニミニというあだ名が知られるほど、身長が低い。150cmに満たない身長は、小顔も相まって
さらに小さい印象を与えてしまう。
それに対して、妹の藍(あい)は少年とは全く似ておらず、キリッとした顔立ちに長髪のウルフヘア、
そして高校一年生にして170cmを越えるモデル体型。
初めて2人を見た人は、「これって何のギャグ?」と突っ込みを入れるケースが後を絶たない。

だがそれも当然、竹と藍は義理の兄妹にあたるのだ。
数年前、早くして妻を亡くした竹の父親が連れてきたのが、今の義母と藍である。
母子家庭であった2人と生活しだしてからは、共働きの両親はほとんど家に帰らないため、実質的に
2人暮らしの様相を呈している。

もちろん、2人の生活は充分長いのだが、妹である藍はどうも非常に引っ込み思案らしく、いまだに
モジモジしながら義兄と接する事が多い。特に身長関連の話題では。
(別に俺が敏感に反応するからではない、断じて! うん、多分)
竹はたかが牛乳をコップへ注ぐ作業に集中力を高めたままの藍を見ながら、再度溜息をつく。
悪気はないのだろうが、あまり過敏に反応しないで欲しい。でないと、懸命に身長関連の話題を
スルーしようとしている自分が馬鹿みたいだ。

「……はい、兄さん」
「ん、さんきゅ」
並々と注がれたコップを見つめると、グイッと一気に飲み干す。藍はその間にもハムエッグと
トーストを載せたお皿を竹の前に並べ、食事の用意をすませる。
「藍はもう食べたのか?」
「……う、うん」
藍の目が泳ぐ。
「ダイエットとかしてないだろーな?」
「……」
ぶんぶんと首を振る藍を見て、逆に確信を深める。この見た目は怖そうに見えるウルフ系美少女は
意外にも嘘がヘタで、口下手であった。

竹は黙って、自分のトーストを縦に引き裂くと、「食え」と差し出す。
「……た、食べたから」
「倒れてもしらねーぞ」
竹がほらっと目で威嚇すると、渋々ハーフトーストを受け取り、もぐもぐと咀嚼しだす。
その様子を眺めながら、竹は満足げに頷くと黄身とハムをフォークで突き刺して口に運んだ。

「藍、これ以上大きくなりたくないってのは分かるけど」
「……う」
「身体を維持するエネルギーぐらい取れ、心配するだろ。りょーかい?」
「……りょーかい」
控えめに藍は頷く。だが最近の傾向から、おそらくまた藍は同じ事を繰り返すだろうと予想していた。
というのも、高校に入ってから、特に似たやり取りを毎朝繰り返しているにもかかわらず、藍は
いっこうにダイエットを止めようとしないのだ。

305 :大きな女の子は好きですか 03/14:2007/11/04(日) 09:23:20 ID:8VagZ/xG
竹にはその理由がさっぱり理解できない。確かに年頃の女の子が体重を気にするのは当然だろうけど、
自分の妹は贔屓を差し引いても素晴らしいプロポーションの持ち主であり、即モデルとして通用する
と思っている。性格的に無理だとも分かってはいるが。
顔も義母譲りのキリッとした輪郭は美人と言って差し支えなく、不揃いの長髪は同性からあこがれる
ほどの格好良さを体現しており、下手な男より人気がある。
引っ込み思案の性格も、周囲からは「寡黙でクールなのがまたいいのよね!」と色々ポジティブに
受け取られており、赤面しがちな所もごまかせているらしい。

そんな外見に恵まれた彼女でも、ダイエットをしようとするから、女は分からない。
義兄として何度も説教した結果、藍は「……お、大きくなりたくないから」などと呟いたから、竹は
食事を抜くことの悪影響のリスクを延々と聞かしては食事を取らせる日々なのだ。

(だいたい、大きくなりたくないって……まあ、こいつのことだから厭みではないだろうけど)
それでも羨ましい。身長、それは遺伝子と言う名の理不尽な質的因子に彩られた竹のコンプレックス。
ちなみに竹は、環境要因などという曖昧なモノを信じていない。理由は……試したからだ、まあ
色々と。彼は頑張った、だが伸びなかった。それこそが竹にとって唯一の事実だ。

残りのハムエッグを口に放り込むと、食器を流しで洗い出す。
ごっくんと最後のハムを飲み込んだ後、未だトーストをチミチミ食べている藍を急かすと学校への
準備を超特急で用意した。
「あ、そうそう。俺、今日もバスケ部の練習で遅くなるから」
「……また?」
藍の瞳が彼女にしては積極的に(と言っても、違いが分かるのは竹ぐらいだが)疑念の色を露わにする。

「う、うん。ちょっと特訓でな。ご飯待たなくていいから」
「……ま、待つ」
「ばか、夜遅くに食事とったらそれこそ健康に悪い。ダイエットなんかよりそっち気にしろよ」
「……うう」
まだ何か言いたげな藍を無視し、行くぞっと声をかけて、ボウッと突っ立ってスタートの遅い妹の
手を強引に引っ張る。

端から見ると身長差が20cmほど空いた2人は姉と弟にしか見えないので、小さい弟が一生懸命姉の
手を引っ張っていくような光景だが。
だが、その姉、ではなく妹の方は、そんな力強い竹の手を嬉しそうに握りかえし、赤面を無造作な
長髪の中に隠した。

(……この髪型、やっぱり便利。赤いのが隠れるし。……兄さん)


――――――――――――――


小山 竹、17歳は高校のちょっとした有名人だ。

理由は単純、そのチビっぷりにある。
現在高二の彼は一応バスケ部に所属している。バスケ部と言えば、曲がりなりにも球技の花形、
一時期の勢いこそないものの未だにサッカーや野球、テニスと並んで人気のスポーツであり、何より
女子に受けがいい。実際、バスケ部のエース級でなくとも、ちょっと顔が良ければ同級生から
キャアキャアと部活中に手を振ってもらえるものだ。

なら、小山 竹もそうであるかと言えば、どうも様子が違う。身長150cmに満たない彼が運動場で
ランニングをこなすと、確かに女子から声はかかる。かかるのだが、その内容に耳を澄ますと、
「ミニくん、かわいいわあっ! なんかハツカネズミみたい」
「あはは、言い過ぎだよぉ。せめてイタチとかぁ」
「それってましになってんの? でも相変わらずミニミニちょこまか走ってるぅ!」
ときたのものだ。

いわゆる異性に対するグルーピーな歓声ではなく、珍動物へのそれに近い。
こういう歓声を受けるようになったのは、中学生も半ばの頃からだ。

306 :大きな女の子は好きですか 04/14:2007/11/04(日) 09:24:01 ID:8VagZ/xG
この頃になると少年の周囲の友人達は一気に背丈が伸び、肩幅が広がり、のど仏が出て声が低くなり、
いわゆる少年から青年と呼ばれる別人に孵化していった。

竹は焦った、いつまで経っても自分だけ大きくならないと。ただ、第二次性徴が来なかった訳では
ない。変声期も訪れたし、身体は確実に大人へ変化していった。
これは逆に、成長期がこのまま終わるのではないかという少年の焦りを加速させていることになる。

もちろん、周囲はそんな彼の悩みも知らず、ただただ部活の為にちょこまかと鍛える姿を見ては、
くすくすと笑い、そして声をかけるのがいつしか学校全体の風習の1つとなった。
そして、彼が有名な理由の一端に、藍の存在がある。

竹の家庭事情に詳しくない学生にとって、身長が170cmを越える怖面美人の妹は遺伝子の不条理さを
示す例として話の種となった。2人が並んで歩けば、凸凹という漢字はこの2人から生まれたのではと
思わせるコンビっぷり。しかも、なぜか2人は今時の兄妹に珍しく、よく一緒にいることが多いから
噂にならないわけがない。
今は7月。藍が入学して三ヶ月で噂が全校にて周知の事実として扱われてしまう現実に、小山兄妹
でなくとも全く、とぼやきたくもなる。

そして今日も相変わらず、竹は女性陣から稀少動物に手を振る感覚で声をかけられる。
竹は中学時代こそそんな声に苛ついたものの、今ではもう諦めという悟りの心境でやり過ごしながら、
今日もバスケ部の練習に励む。

「ディフェーンス、ディフェーンス!」
「おらおら、サイド甘いぞ、腰が高いっ!」
「一年、声ださんか! セット追加すんぞっ!!」
「「うぃっす!」」
体育館裏のスペースを活かした基礎トレーニングメニューに男子バスケ部員達が汗を流す。
二年生の指導の元、新入生の身体を極限の一歩手前までいじめ抜くのがこのバスケ部の伝統である。
最上級生の三年生は、試合が近いこともあり別メニューをこなし、他のメンバーは新入生と共に基礎
体力と技術をつける塩梅だ。

そして、その基礎トレーニングをこなす集団の中心で指示を出すのが竹である。これはひとえに
竹本来の面倒見の良さからくる。身長こそ新入生に完敗だった彼だったが、その人当たりの良さと
後輩への気遣いは評判が良く、自然と彼にまとめ役の任務が上級生より押しつけられる流れとなった。
竹としても、好きなバスケ部の為ならと気楽に引き受けた。

「よっし! お前ら、後一周校庭の全力疾走でラスト!」
「ええ、まだっすかぁ!」「タケさん、勘弁ッす」
「戻ってきた順で先着五人には、マネージャー特製のレモン蜂蜜漬けやるぞ!」
「「喜んでっ!」」
「ちょ、ちょっと小山くんっ!」
マネージャーの戸惑いも聞かず、竹の釣った餌に全力で食らいつく新入部員達。その様子に苦笑
しながらも、二年生もまた全力で競争し出す。なんだかんだでこの小さな二年生は部員の信頼を勝ち
取っていた。


――――――――――――――


「「お疲れっした!」」
部活を終えた一年生達は、疲労困憊で家路を目指すべくダッシュで更衣室に向かって走っていった。
それを見送った二年生もまばらに戻り出す。
その中、竹がボール入りのワゴンをチェックしだす。本来、マネージャーの役目なのだが、竹はこの
後の私用のために、マネージャーから許可を貰ってこの任務を引き受けている。
ぱっぱとすませるべく、バスケ部の専用倉庫を開けてボール数をチェックし出すと、突然、後ろから
明るい声がかけられた。

「よっ、タケ。今日もお疲れさん!」
「あ、空良先輩。女子の方はもう終わったんですか?」
「終わった終わった、ほんと女はすぐ音を上げるから、とっと練習を切り上げてやったんだよ」

307 :大きな女の子は好きですか 05/14:2007/11/04(日) 09:24:33 ID:8VagZ/xG
「先輩のメニューは特別辛いって、誰かが言ってましたよ」
「へえ。タケぇ、誰が言ってたか教えてもらえるとお姉さんは嬉しいんだけど」
「いや、それはまあ、勘弁してください」

身長が藍と張り合えるほどに大きいこの女性は、女子バレーボール部長の空良明日香(そら あすか)。

すでにバレー部の練習は終えていたのか、とっくに夏服の制服に着替えていた姿で、シャワーを
浴びた後なのだろう、少し湯気を頭に浮かべて上気した頬をしている。
耳の横辺りで揃えたボブカットは水分を含んだ為にしんなりとボリュームが減り、彼女の顔立ちの
良さを強調している。だが、何より目立つのは運動には邪魔じゃないか?と心配されてしまいそうな
胸である。決して牛のようなボリュームではなく、凛として形の良い胸であることが体操服越しにも
分かってしまう。きっと、鍛えられた胸筋で上向きに維持されているのだろう。

彼女の体型は学園内の女子にとって羨望の的であり、きっとバレーをすれば彼女のようになれると
錯覚した者が後を絶たないせいか、新入生の仮入部率は高かった……が、ほとんどがその後、
意外にもスパルタな明日香のしごきに音をあげた。見たまんま、あっけらかんとしごくからなお、
恐ろしい。
そんなわけで、女子バレーボール部は意外にも慢性的な部員不足で悩んでいる。他の部員も事情が
事情だけに諦め気味だ。

そんな彼女に答えつつもこちらを見ずにボールチェックを続行する竹の様子に、明日香はにんまり
すると、そっと背後から近づき、ぎゅっと抱きつく。
そうなると、20cm強の身長差から彼の頭にはその豊満な二峰の胸が押しつけられる訳で
「ちょ、せ、先輩! ふざけすぎです」
「なーにーがーよー、タケをこんな風に可愛がるのは先輩としての特権だ!」
「んなわけないです、ちょ、ちょっと動かさないで」
(こ、この人は、俺を男と思ってないのか? 拷問だああ)
悶えれば悶えるほど後頭部に感じる熱くて柔らかい存在に、竹の心は千々に乱れるものの、しかし、
すぐさまスーハーと深呼吸を繰り返して気分を整える。非常に困ったことに、これが初めてではない
ので対処も考えているのだ。思春期少年の葛藤が見て取れる学習と言える。

「で、先輩。今日はどうしたんですか?」
「いや、別に用と言うほどのことじゃないんだけどねぇ」
そう言って、相変わらず後ろから抱きしめたままの明日香は、そのまま膝を曲げて竹の耳許まで口を
寄せると、
「今日も居残り特訓すんの?」
「……なんで知ってんすか?」
驚いて後ろを振り返ろう……として、胸の存在を思い出して竹はまた前に慌ててむき直す。

明日香の言うとおり、一ヶ月前から彼は一人居残っての特訓をするようになっていた。
理由は単純。うまくなりたいからだ。
ただ問題がある。彼はチビだ。それもバスケ部の過去に例を見ないほどらしい。
技術があれば、ある程度のレベルまでは張り合える。
だが、大会の一定レベル以上になると、そうもいかない。どうしてもフィジカル面でのハンディが
ものを言う世界となる。身体が大きいというのはそれだけで才能なのだ。

明日香は相変わらず柔らかい胸をうりうりと押しつけながら、さらに尋問する。
「でさ、どういう特訓してんの?」
「えっと、スリーポイントショットを」
「へえ! あれでしょ? 外枠の線から打つシュート。体育でやったよぉ」
「はい、長距離で難易度は高いから、なかなか上達しづらいんですけどね」
「ふーん、でもタケ、いちおー考えてるんだ。それなら身体の大きさとか関係なさげだしね〜」

308 :大きな女の子は好きですか 06/14:2007/11/04(日) 09:27:42 ID:8VagZ/xG
スリーポイントショットは、通常より精度の高いスロー技術が必要とされるが、遠距離からの
シュートゆえに、他のシュートより身長の影響が小さい。
竹は自分を出来るだけ冷静に分析した結果、バスケ部で生き残る道としてスリーポインターを
選択したのだ。それでも茨の道に変わりはないが、竹としては藁製の希望でもすがりたい。

「えっと、そう言うことなんで、そろそろ腕外してくれません?」
「じゃあさじゃあさ、私が練習手伝ってあげよっか?」
「って聞いてます俺の話?」
「ええ、こんな美人のお姉さんが傍で尽くしてあげるってのにタケは断るんだあ、うりうり」
「ちょ、何も言ってないし! というか、押しつけるのストップ!」
思春期の男子には辛い攻撃に、竹は必死に逃れようとするが、相手も女子とはいえバレー部のエース、
力もあり、さらにうまく間接を極めるようにしているため、一切の抵抗も通じない。そしてもちろん
相手の話も一切聞かないゴーイングマイウェイ。こうなると陥落するが負け、ではなく勝ちである。

「わ、分かりました。手伝ってください! だからもう!」
「オーライ! よしよし、これからは二言目に即、そういう返事をするように」
解放された竹は羞恥と息苦しさからゼエゼエと息を吐いた。
男を男とも思わないこの扱いに複雑な思いはあるが、明日香には悪気がないことも分かっている。
満足げに腰に手を当ててニコニコしている明日香を見ると、何も言えなくなるのもあるが。

「じゃあ、この籠の移動を手伝ってください」
「よし、任された!」
何よりこの屈託のない笑顔が好きなせいで、竹はこの先輩をいつも憎めないのだ。


――――――――――――――


バサッ ダン! ダンダン…

ゴールネットの揺れる音が規則的に響く。
人のいない体育館では、1つ1つの音がよく反響する。
他に音と言えば、明日香がボールを集める際に出すボールのドリブル音と、竹の少し荒い呼吸のみ。
1時間はずっと打ち続けて、そろそろ疲労もたまってきたのを見て取ったのか、
「ねえ、タケ! そろそろ終わりにしない?」
「あ、はい。りょーかいっす」

明日香の言葉に、素直に竹も頷く。実際、そろそろ集中力が下がってきたので、竹にとっても良い
タイミングだったようだ。

「はい、ポカリ。感謝して、受け取りたまへ」
「あざっす」
「うむ、くるしゅーない」

壁際に座り込む竹に、ペットボトルの清涼飲料を放り投げると、明日香は満足げに隣に腰を下ろした。
呼吸を整えつつ、よく冷えた液体をグッと注ぎ込む。
竹はスポーツ後のこの瞬間が一番好きで、胃袋のヒンヤリ感に思わずにんまりしてしまう。
ふうっと一息入れて視線をチラッと横にずらすと、ジッと明日香が見続けていた。
「せ、先輩?」
「タケってさ」
小さい子供を可愛がるような――いや、実際に竹は小さいのだが、そんな感じの声色で、
「相変わらずかわいいなぁ」
「嬉しくないんで」
げんなりした竹の頬を、明日香がくくっと笑いながら頬をつんつんとついてくる。
竹としては可愛いというのを止めて欲しいのだが、この年代の女の子は止めろと言うとむしろ
面白がってさらに囃し立てるのが常な為、ふくれっ面でも放置する。
まあ、基本的に明日香の言葉に悪気はないため、竹としても一々反応しない、いやしたくもない。

「やっぱ、こういう時は青春少女漫画みたいに男の肩に頭を乗っけて語尾にハートつけてだね。
きゃはは、うふふって感じにイチャイチャするべきかな?」

309 :大きな女の子は好きですか 07/14:2007/11/04(日) 09:28:51 ID:8VagZ/xG
「わざと言ってるでしょ……俺の頭の位置より先輩の肩の方が高いのに」
「ああ、怒っちゃやだなあもう! そんな顔もイイ感じだけどネ」
と言っても、明日香の方が役者が上手なので、どうしても反応してしまい、竹としては己の未熟さを
痛感するしかない。

ひとしきりにやにや笑ったあと、「それにしてもさ」と明日香は壁にもたれかかる。
「ここ最近ずっと特訓してるって聞いたけど、なんで?」
「いや、特訓の理由なんて、単純なものっすよ」
「ん、そうだけど、そうじゃなくて。タケには思うところある気がするんだけどなあ」
「……ま、一応」

タケは唸る。普段軽いノリで絡んでくる彼女がこういう事を聞いてくるのが意外でもあったし、
これまで誰かに答える事を前提で返事を用意していなかったので、黙ってしまう。
(理由は、……ある。それもよく悩んでるアレが)
しかし、それを明日香に話して良いものか。
チラッと横目で盗み見すると、明日香は相変わらずニコニコしているが、しかし、じっとこちらの
次の言葉を待っている。

――――自分の言葉を待ってくれている

ああ、この人なら話しても大丈夫、と思うよりも先に竹の口は動いていた。

「俺って、身体小さいじゃないですか」
「ん、そだね」
最低限の相づち。それが竹のリズムを作った。
「自虐とかじゃなくて、自分の身体のことはよく分かってるつもりです。それと同じくらい、他の
部員の身体のことも自分なりに分析して頭に入れてきました。俺、結構今の部活が好きですから、
勝ち上がるためにはどの部員がどのようにフォーメーション組んで、苦手な部分で勝負せずに
得意分野で相手チームと戦うにはどうしたらいいかとか、しょっちゅう考えるたりするんです。
あの先輩ってディフェンスは弱いけど、スロー能力があるからココに、あの人は体力が20分はもつが
それ以降の活動が本調子の70%ぐらいに抑えられるから、交代時間を配慮してとか、新入部員の
30人中12人は身長が170cmを越えているけどその内垂直方向へのジャンプがこれから伸びそうなのは
7人とか「ちょっと待った!」えっ?」
「もしかしてタケ、新入部員含めて全員の身体データとか頭に入れてるの?」
「ま、まあ、一応」
「……」
「あ――続けていいっすか?」
「う、うん」

ニコニコ顔が消えて一瞬、真顔になった明日香が気になりもしたが、今は説明を優先させた。

「で、そこまで色々とチーム分析し出すと、自分の身体能力も客観的に見ざるを得なくなって。
今、うちのバスケ部は男子が新入生含めると80人いるんですけど、その中の1人として自分の戦力と
しての活用例を検討すると……」

ちょっとはにかみながら
「なかったんです。よく身体が小さくても素早さで、とか漫画でありますけど、それは身長160cm
ぐらいの事を言ってるわけで。おそらくこのまま行けば、間違いなく俺はずっと、応援席メンバー
です」
「……」
「別にそれが悪いとは思いませんが、やっぱ試合に出ることを前提に入りましたし……」

310 :大きな女の子は好きですか 08/14:2007/11/04(日) 09:29:36 ID:8VagZ/xG
「んん、そだね」
「それで、じゃあ何が出来るかって考えて。1%ぐらいの可能性として俺がサブでも残れる道が、
身長に左右されずポイントを取れるスリーポインターかなっと。まあ、よくある結論ですけど」
「……そっかあ」
「はい、おおざっぱに、そんな感じです」

内面をさらけ出すという思春期にとっては恥ずかしいことこの上ない体験を終えて、竹は真っ赤に
なって俯いた。普段はそこそこ気の強いキャラで通してはいても、この手のイベントは苦手らしい。

「でも、タケさ。ずっとこのままのペースでやるの? そのナリじゃいずれ限界で身体壊すし、
おっきな妹さんも心配するよ?」
「おっきな、は余計です。あんな無愛想でもあいつ、結構気にしてるっぽいんで」
藍は気にしているのは事実だが、おそらくそれがばれているのは竹だけであることに、竹は気づいて
いない。

「でも……そっすね、特訓はつまり、踏ん切りみたいなものです」
「踏ん切り? え、もしかしてバスケ止めたりするの?」
「いやいや、そうじゃなくて。これで無理なら、応援席にいってもいいっていう切っ掛けです」

そう言うと、竹はよっこらせっと立ち上がり、ボールを片付け出した。
それに応じて明日香もひょいと立ち上がると、竹の背後についていく。

「とりあえず、これだけ頑張ってみて自分が伸びてこないようならそれまで。
もし伸びたなら、特訓のペースは落としてもこの路線で頑張ってみるかなっと。
そういう分岐点を作ったという感じです」
「にゃるへそ、男の一大勝負だね!」
「いや、なんすかそれ。んなたいしたものじゃないです」

籠の中にボールを収納し終わると、体育倉庫の引き戸をスライドさせて籠を奥に転がしていく。
倉庫内のボールをチェックして外に出るために振り返ると、

「ねえ、タケ」
「うわっ急に背後に立たないでくださいよ!」

構図としては大樹の陰に埋もれるリスのようである。
ガシッと竹の両肩を文字通り上から押さえつけ、逃げられないように固定した。

(え? なにこの体勢)

竹の内心は冷や汗でダラダラだ。普段から突飛な行動をするとは思っていたが……。

「あのさ……ようは取引なんだけど」
「は、はあ」
「私が君の踏ん切りに付き合ってあげようか?」
「えっと、つまり」
「うん、特訓の助っ人だよ! いたら便利でしょ?」
「先輩が? そりゃまあ」

ありがたいけど、と言いつつも、考えてみると助っ人と言っても明日香はバスケ経験者でもない。
バレー部のエースという実力者とはいえ、やれることと言ったらボール出しにボール集めぐらい。
まさに雑用だ。
もし明日香ファンの取り巻きにその事が知られたら、非難囂々(ごうごう)なのは間違いない。

「ただの雑用を任せられないですよ、それに先輩は三年で受験勉強じゃないですか」
「む、私の成績を見くびられては困るよ、タケ君。これでも校内ランキング5位以内はキープしてる
のだよ、ふっふっふ」
「え、まじで……」
竹は驚く。普段から行動の読めない人とは思っていたが、もしや自分の頭が凡人だから天才型人間の
行動が読めないだけだろうか、などと悩んでしまう。


311 :大きな女の子は好きですか 09/14:2007/11/04(日) 09:30:28 ID:8VagZ/xG
と、そんな竹を現実に引き戻すように、明日香は両肩をがっちり捕まえた手に力をさらに込めて、
「で、どうされる? タケ。私はお買い得だよ?」
「……物好きっすね。たいして面白くもなくていいなら」
観念した。実際、いてくれると助かるだけでなく、単調な練習も楽しくなりそうだとも思うと、
竹の顔にも微笑が浮かんだ。

「うんうんわかった承ろうおねえさんにまかせたまへ!
と言うことでタケ、そなたに見返りを要求する!」
「――――――はい?」

理解の遅い後輩を促すかの如く、掴んだ両肩をぐわんぐわん揺らす。
「だ、か、ら、見返りだよ見返り! 代償、報酬、お給金、おっけー?」
「ゆーらーさーなーいーでー、了解です了解! ゲホッゲホッ」
「よっし。じゃあ、第一回目の報酬をもらおっかな」
「ゲホッ、相変わらずですね、もう……」

竹と明日香は高校入部した当初にすぐ知り合った。それ以来、彼女は何かと強引なペースで竹を
引きずりまわすのが日常となった。その関係は今もこうして続いている。

(そういや……背丈のでかい女子ってだけで当初は拒否反応が出てたのにな……)

初恋の散々な結末は、竹に女子への消極性と同時に、いわゆる「デカ女」へのアレルギーという種を
彼の心のパックリ開いた傷跡に植え付けた。そのおかげで、中学校の後半は野郎共とのクラブ活動と
いう男臭い思い出しか残っていない。
その中で明日香の存在は例外と言っていいものだ。そういう意味では、この人は凄いかもしれないと
竹は改めて先輩を見上げる。

もっとも明日香は竹が逃げる前にひっつかまえて、強固に手放さないだけかもしれない。
「で、報酬って何ですか? 学食とか? あまり高くないものならオッケーですよ」
「ううん、後輩から金をとるなんてしないさ。それに、元手はかからないよ」
「?」
「タケは動かなくていい」
「え」

と、明日香がにんまり微笑みながらも、膝を曲げて竹の目の前まで顔を下ろす。
その瞳は悪戯っぽさと、ほんの少しの純情さの混じった輝きをしていた。

「ちょ、――――っ!!?」

んぷ、くちゅっ

竹の思考がホワイトアウトした。唇に触れる感触は柔らかいのだけれど、人のものでないような
弾力に富んでいて、自分の唇に唾をなすりつける。
目の前にはギュッと目を閉じた明日香の長い睫毛がピクピクと揺らぎ、意外にも激しく出入りする
鼻の息が自分の頬を熱く撫でた。

(き、キスしてる? 俺と、先輩が?)

徐々に、意識を取り戻しだすと、自分のしでかした――と言っても実際には明日香が迫ったのだが、
今の竹にとってそんなことは関係なく――事の重大さに落ち着かなくなる。
だがこういう行為も初めてなので対処など知る由もなく、唇同士で合わさったまま動く事もできない。

と、明日香の唇がピクリと動いた。
竹の下唇にヌルリとずらし、はむっと甘噛みする。外側の輪郭を軟らかい肉で上下から揉みしだくと、
舌先でぬるぬると濡らしだす。
明日香は明日香で、何度も甘噛みを繰り返すうちにその感触が気に入ったらしく、まるで甘えるかの
ように何度も何度も舌先で下唇の皺をなぞって、鼻息を荒くする。
その息が竹の頬にかかるので、くすぐったさと背筋を走る興奮で徐々に唇が半開きになってきて、
じわりと涎が垂れてきてしまう。
「んふっ、じゅ……あふぅ、じゅる――」

312 :大きな女の子は好きですか 10/14:2007/11/04(日) 09:31:07 ID:8VagZ/xG
すると、すかさず明日香がその涎を啜り、そしてそのまま、

「っ!――んむ、しぇ、せんぱ、うむ」
「じゅる……、た、たふぇ…、あむぅ」

一気に、明日香の舌が竹の唇を割って入った。

(な、なんだこれ……、これが女の子の舌?)

衝撃だった。竹のショックする間にも、彼の舌先をツンツンと突いたかと思うと、まるで絡め取る
ような動きで明日香の舌が擦りつく。
それは生暖かくて、びくびくと震えながらも口内の中で存在をアピールするようにのたうち回る。
お互いの鼻息が完全にかかる位置で竹は切なげに薄目をこちらに向けてくる明日香と見つめ合う。
常に自分をからかってくるさっぱりとしたお姉さんという印象の明日香が、内向的な少女のように
こちらを窺っているという事実に、竹の中でもっと明日香を責め立てたいという欲求が生まれた。

ずっと責められっぱなしだった竹の舌が明日香の口内に迫り出し、一気に彼女の舌ごと押し返す。
そして明日香の歯茎や口の内壁に涎を塗りたくって挨拶すると、明日香が驚いたように身体を
びくびくと震わせた。

「う、あむぅう、むふぅ……ふぁ、ちゃけぇ、じゅるるじゅる、ぬちょ…」
(タケが、求めてきてる。私の舌を、私を。んもう、しょーがないなあ――嬉しいじゃない)

長い睫毛を何度も上下に揺らして嬉しさを表現すると、興奮で鼻息が荒くなるのも気にせず、
責め立ててくる舌に一生懸命応えるべく舌先を動かす。
求められる、それだけで心から湧きあがる快感に背筋を震わせ、屈伸の途中で固まった体勢の膝が
フルフルと震え出した。バスケ部のエースだけにこのような体勢でもすぐ辛くなるような筋力では
ないが、今は精神面でいっそ腰砕けになってしまいたくなっているようだ。

だが、その震えを体勢が辛いからとタケは判断し、もっと舌を絡ませたい欲求を強引に振り切ると、
明日香の唇を引き剥がした。

「あん――あ、涎が……じゅるる」
「はぁはぁ、せ、先輩……」

アーチのように唇の間に掛かった2人の混合液を、明日香は勿体ないと言わんばかりに啜る。
ついでに竹の唇から垂れた涎も濃厚に舌先でねぶることで絡め取ると、最後にチュッと唇に挨拶した。

「あはっ……思った以上にこれって恥ずかしいな、うん」
「あ、あのねぇ……」
自分の行為に照れ笑いを浮かべる明日香に、竹は少し呆れつつも、彼女の瞳が興奮で潤んでいるのを
見ると意見する気も失せてくる。お互いに立った今体験した唇の感触に、テンションがおかしいのを
共に分かっているので、うまく言葉にできずにモジモジしあう。

この場を誤魔化すべく必死で言葉を探すうちに、そもそもなんでこういう事に、と竹は当初の発端を
思い出した。
「もしかして、あの、これが報酬――ですか?」
「ええっと、う、うん。こういう事。駄目かな?」

こういう事。
こういう事?
こういう事とはどういう事だろうと思っても、竹には毅然と問いただせない。

そもそもこれは青少年にとってむしろ性的すぎてむしろ、こちらがご褒美を受けているようで複雑で
だいたい彼女はこういう事をして平気なのだろうか好奇心だけでないなら好意も抱いてくれている
のだろうかいやしかし彼女の性格なら純粋な興味という線も捨てきれないし男の自意識過剰な勘違い
は惨めで恥ずかしいというか純粋に痛々しいしああああもう訳が分からない!

という、万感の思いを込めて明日香を見返すも、当の彼女は見つめられると何を勘違いしたのか
ニッコリと微笑んできた。

313 :大きな女の子は好きですか 11/14:2007/11/04(日) 09:31:41 ID:8VagZ/xG
それを見たとき、この状況はもう逃れられない、と竹は悟った。こういう彼女に勝てた記憶がない。
「取引、成立?」
「――はい。よろしく、です」
「あはっ、よしよし!」

ぐいっ

竹の腕がグイッと引き寄せられると、150cm未満の彼の身体を175cmの豊満な身体が包み込んだ。
もちろん竹には見えない上方の位置で見せる明日香の顔には、ニンマリという言葉がよく似合う
したたかな笑顔が浮かんでいた。
そして、口の中だけで明日香は恥ずかしげに呟くも、それは竹の耳には届かなかった。

小山 竹。
ミニミニ高校生の平凡な生活は、徐々におかしな方向へと転がり出した。


――――――――――――――

ガチャッ

「ただいまー」
「……お、お帰り」


ドアの開閉音に即座に反応したのか、ドタドタと二階の部屋から藍が降りてくる。
これはいつも通りの行動なのだが、今日はいつもと違い、竹の顔を見るなりそのまま動かない。
だがその様子にきづくこともなく、竹は真っ直ぐ風呂場に向かいだし、ついでに歩きながら服を
脱ぎ出す。

「藍、風呂って沸いてる? 先入りたいんだけど」
「……う、うん。……あのね、兄さん……」
「ん?」

ここでようやく、妹の、ウルフヘアに隠れた顔が真っ赤になっていることに気づいた。

「どうかしたのか」
「……き、今日、誰かと……き、き……」
「――き?」
「……キス、した?」
「なっ!? な、なんで?」

竹はなんでそう思う?と言いたかったようだが、藍には「なんで分かった?」と伝わったらしく、
「……だ、だって下の唇の端とか、……ふ、不自然に腫れてる……」
という指摘。
竹が慌てて玄関の横に置いてある鏡を覗くと、確かにそこには不自然な斑点が点々とある。
どうやら明日香は彼の唇周辺を強烈に吸っていたようで、確かに見る人が見ればそれと分かる跡が
くっきりとついていた。
だが、義妹の前で正直で言うのは恥ずかしく、必死に言い訳を考える。
「こ、これは別にキスマークとかじゃなくて、その今日はちょっと口を擦りすぎたんだよ、うん!」
「……じいいいい」
「ほんとだって! ああもう、風呂入るから」

逃げるように風呂場へ駆け込んだ竹をジッと見つめると、藍は不安げに瞳をウルウルさせる。
これまで同年代の女子達が竹を男扱いするなんて、皆無だったはずだ。
高校での噂を聞いてもそれは周知の事実。
女の本音がぶっちゃける義兄の「男として見れないよね」というまさにどん底の評価を耳にする度、
抗議したくなる衝動と併せて、自分だけが義兄の魅力を知っているという密かな優越感を抱きもした。

それに、何より竹自身が女性を、それも大きな女性を苦手とする傾向があった。
それはおそらく、彼の中学生時代の失恋に起因することも藍は知っている。

314 :大きな女の子は好きですか 12/14:2007/11/04(日) 09:34:14 ID:8VagZ/xG

――――だからこそ、大きく成長してしまった自分が恨めしかったのに

自分が義兄にとって苦手な部類の女性に含められるのは悲しかったが、それ以上にしばらく恋人は
作らないだろうとどこか安心もしていた。
それがこんな簡単に崩されるとは。

(……どんな人、だろう。義兄さんの彼女……小さな人、なのかな、やっぱり……)

廊下には彼が脱ぎ捨てた制服が点々と散らばっている。
藍は彼の脱ぎ捨てた制服の白いカッターシャツを廊下で拾うと、真っ赤になりながらも一気に顔に
押し当てた。くらくらするほどの汗の臭いに混じって、義兄の布団に混じる暖かい臭いが鼻をつく。

「……やっぱり私は、駄目なのかな。おっきいし、うじうじしてるし……兄さん……」
初めは控えめに顔を埋めるだけだったのが、徐々に鼻をくんかくんか動かし、いけないことをして
いるという背徳心から興奮しだす。

義兄と一緒に暮らすようになったのは、小学生五年の時。

当時はまだそんなに大きくなかった藍を、ぐいぐいと引っ張って新しい家庭に馴染むように気を
遣ってくれた姿は、今でも彼女の中で特別な思い出だ。

元々、あまり人と話すのがうまくない。
それに、目つきが鋭くて無口なせいか、怖い子だと誤解されることも多いので、友達も少ない。
それなのに、竹は出会った当時から、怖がるどころか新しい家族でうまくやれるかどうかのみが
関心事で、全く躊躇いなく藍の手を握ってくれた。
その頃からずっと、藍は彼の後ろ姿を追ってきたのだ。
敬愛する義兄は、歳をとってもあまり大きくならなかったが、彼女にとってはその背中より大きな
男を知らない。そんな彼の背中を覆っていたシャツが今――胸の中にある。

はぁはぁと徐々に呼吸が乱れ、触れてもいないのに内股を摺り合わせるように動かすと、ズルズルと
廊下の壁にもたれかかった。

「……兄さん、兄さん……んふ、くふう」

大きな体の割には控えめな胸に右手を這わし、服越しから胸の輪郭をくすぐるように刺激する。
ゆっくりと何度も丹念になぞりながら、義兄のシャツから発散される臭いを全て吸い込もうとする
ように、左手でシャツを顔に、胸に、腕に押しつける。

「……さ、触って……にい、さん……あう、んぁ、いゃあ」

藍の中では、妄想の竹が自分をなで回し、全身に口づけしてくれている。
長いウルフヘアを小刻みに震わせながら、ジーンズのチャックをもどかしげに下ろし、いよいよ
ウズウズして仕方のない内股に右手を忍ばせる。

「……濡れて、濡れてるよぅ。……にいさん、のせい、……あぁん!」

妄想の中の義兄を勝手に非難しつつも、むしろ自分の右手はすでに充血しきった筋に一気に迫り、
中指が躊躇いなく割れ目に押し入る。
それが合図となって、ジュルッと音を立てて愛液がこぼれ落ちる。量があるわけではないが、すでに
興奮しきっているという事実が、趣致心となってさらに藍をゾクゾクと煽りたてる。

ちゅぷっ、ちゅぷっ……、にゅぷ……にゅる…

「……んんんっ!! あふぅ……」

液をこねる音さえも藍を煽る性的な刺激となる。もう、彼女にとって、この指は自分の指でなく、
竹の指だ。おそらく、竹の手は、指は、自分のよりも小さいに違いない。もしかしたら、膣の奥に
届かないのではなどとも勝手に想像してしまうが、藍にとってそれは残念なことではない。
むしろ、それならどのへんを重点的に弄ってくれるのかを想像するだけでゾクゾクしてしまう。

315 :大きな女の子は好きですか 13/14:2007/11/04(日) 09:34:46 ID:8VagZ/xG
「……こ、この辺かな……に、兄さんのゆ、指が、ひぃやっ! あぅ、あ、熱い……」

深ければ快感が得られる訳ではない。ここを、他でもない竹の指が小刻みになで回しているという
妄想だけで、軽く達してしまいそうな程のゾクゾクとした情欲が溢れてくる。
廊下の壁に倒れ込んでズルズルと座り込んでしまった後は、より快感を得られるようにジーンズを
膝まで下げて股を開く。自分のその淫らな行為に真っ赤になりながらもそれでもさらに竹を求める
ように、唇を噛み締めながら愛しい義兄の名を呼ぶ。

「……に、にいさ、……こ、こすって、は、はげしく、ぅ、ああっ、あ、あ、んんっ!!」

くちゅっくちゅ……、にゅぷ、ちゅぷ……

中指で浅めの膣壁をえぐるように刺激しながら、人差し指と薬指で淫靡にテカテカと濡れた肉の唇を
さすり、一気に自分自身を引き上げる。自分の指でありながら自分の指でない感覚に、口が半開きに
なったまま涎を垂らしたままよがり狂う。

興奮に任せて左腕を閉じた中にしわくちゃになった竹の白いシャツを一層抱きしめる。同年代の
女子より高いと羨ましがられるスマートな鼻を擦りつけ、義兄の残り香をくんくんと吸い込む。
まるで彼の胸に頬を寄せている感覚に囚われた瞬間、

「……ん、ん、ん、ぁ、ああっ、んんんんん!!」

びくっびくっと二度小刻みに痙攣した後、じゅわっと膣口から潮があふれ出すのも放置するままに
ギュッとシャツを抱きしめながら達した余韻を味わった。


――――――――――――――


義妹が扉1つ隔てた廊下で自慰に耽っているとも知らず、竹はというと湯船にどっぷり浸かって、
一日の疲れをほぐしていた。

「はああああ、今日は疲れたな、色々な意味で……」

彼の頭にあるのはもちろん、明日香のキス。
人生初の性体験なのだ、たかがキスと言われても竹の脳内は唇から伝わる女性の柔らかさについて
一杯になってしまう。
思春期の男子はサルのようだとよく言われるが、女性を苦手としてきた竹にとってこれまで理解でき
なかった。彼にとっては性欲の対象と言うよりもむしろ、トラウマの引き金以上のものではなかった。
それに竹の意向に関係なく、女子の大部分にとって身長の低すぎる彼は恋愛の対象となることもない
ため、過度に親しい付き合いに発展するはずもなく。

そんな状態だから、恋愛話に盛り上がる同年代の男子の輪にいたことはない。
しかし、今なら彼らの気持ちがよく分かる。先ほどから明日香とのキスが思考から払えないことに
うんざりするほどだから当然と言えば当然だが。
竹より身長が20センチも高い彼女は上から覆い被さるようにギュッと肩を掴み、貪欲に舌を絡めて
くる姿が何度も何度も脳裏に浮かんでしまい、竹は恥ずかしくなって湯船に顔を半分沈める。

(そういえば、あの時の女子も……大きかったんだよな)

『ちっさすぎて、やっぱ無理。恋愛対象にはちょっと……ね』

胸がずきんと痛む。
思えば、あの日以来、中学時代の残りは生き地獄と化したと言っていい。クラス全員どころか学年中
の噂となったため、どこに行ってもニヤニヤとからかわれるし、初対面の人からも「ああ、あの小山
さんね」とニヤニヤされる始末。
特に教室にいるのが彼にとって苦痛となった。何より当事者を中心とした女子達がいる場では、
過敏に反応しすぎと言われようとも心臓の休まる日はなくなり、授業以外はほとんど部活に入り浸る
ようになっていった。


316 :大きな女の子は好きですか 14/14:2007/11/04(日) 09:36:25 ID:8VagZ/xG
そして何よりも、竹は女子、特に身長の大きい女子との関わりは最小限に留めてきた。
ひとえに初恋のトラウマのせいである。昔より程度は和らいだと言え、症状は未だに残っている。
そのはずなのに、

「そんな俺が、よりによってあんなでっかい人と……自分で自分が理解できん」
ジャブジャブと湯面を荒立てて、気を紛らわす。
と、そこで竹は根本的な問題に気づく。

「……空良先輩、どういうつもりなんだろ……」

報酬にキスなんて、聞いたことがない。男が要求するならともかく、向こうは彼女が声をかけたら
打率0.950の確率でナンパに成功すること間違いなしな容姿をしたモデル体型の女子高生だ。
あのさっぱりした性格を知ってしまうとまあ、多少その率は低下するだろうが、むしろ同性からの
支持率は高まるかもしれない。

そんな彼女のことだ、恋愛経験も豊富に違いないのでキスも挨拶程度の娯楽かもしれない、と竹は
想像するものの、その考えに胸にモヤモヤした不快感を覚えて打ち消す。
確かに明日香は過度のスキンシップを竹に仕掛けては、反応を楽しんでいる節があるし、余裕も
感じられる。

だが、思春期の少年にとって、性体験の入り口であるキスが遊びのように振る舞われているという
妄想は気分の良いものではない。特に明日香は、高校入学以来何かと親しくしてきたのでなおさら。

(単に先輩がそんな人だと思いたくないだけかもな……勝手な願望だ、まったく)

キス1つするだけで、人はここまで変わるものかと、自嘲する。
自分の中で生まれた明日香に対する勝手な欲望と願望を戒めたいが、なかなかうまくいかない。

「……ああ、すっきりしねえ!」

ゴボゴボッ

いっそのこと、頭のモヤモヤした葛藤を吹きとばさんとするかのように、
一気に湯船の中に頭を沈めた竹は――

「……わ、に、にいさん、ま、真っ赤だ、ど、どうしよどうしよ」
風呂上がりに血が上りすぎてフラフラとなり、藍のオロオロした看病を受けることになる。
朦朧とした意識の中、自分を振り回す先輩が大きな瞳をキュッと細めて顔に迫ってきたときにどう
反応すればいいか、などとまとまらない悩みに囚われ続けた。


だがその悩みは、意外な形でうやむやとなる。
次の日の昼休み、バスケ部の顧問から呼び出しを受けた竹は、

「……それって、平たく言えば引退勧告、ですか?」

部活動存続そのものの岐路に立たされてしまう。


つづく




保管庫へ戻る