【みんな】ハーレムな小説を書くスレ【仲良く】 10P

280 :もちっこ:2007/07/28(土) 02:58:53 ID:tpYHKkbV

大陸を横断するほどの大山脈が連なるギオナ山岳地帯の中腹に、帝国の城塞は威風堂々と聳え立っていた。
周りは絶壁に囲まれ凡そ人が通れそうもないこの天然の要塞は、眼下に見据える大平原に割拠する独立小国家群の軍隊を前にして一度も敗北を喫したことがない
しかしここまで交通の便が悪いと物資の補給なども非常に手がかかるであろう
ならばどうしてこの城はまるで貧困を感じさせないのであろうか?
それは、この山岳地帯の南の端に位置するクシャラ山を住処としている飛竜にあった
彼らは強靭な筋力に支えられた大きな翼を持って空を舞う
そして帝国にはそんな彼らと心を通わせることのできる者――竜騎士と呼ばれる者たちが存在する
この物語の主人公であるテオクもその竜騎士の血を引く若者(見習い)であった



281 :もちっこ:2007/07/28(土) 03:00:27 ID:tpYHKkbV


「お〜、今日も飛竜は元気に飛んでるねぇ」

ごぅんごぅんと音を立てて巨大な風車が回っている
ここはギオナ城塞の端にある工房区にある風車小屋で、その屋根の上にテオクは寝転がっていた
停戦協定が結ばれつかの間の平穏が訪れた今、工房に仕事なぞ殆どない
そんな人気のないここは彼の絶好のサボり場所であった
今日はいつもよりも憂鬱そうに空を見上げている

「竜臨の儀かぁ・・・」

竜臨の儀――それは竜騎士が一人前になるための儀式で、内容はいたって単純
クシャラ山まで自らの足で赴きその地に在る竜と契約するのだ
しかしここの周りは断崖絶壁が続く山岳地帯で、命を落とすことはないが行くのには非常に面倒だった

ゴォーン・・・ゴォーン・・・ゴォーン・・・

集合の合図の鐘が鳴った、それ同時に儀式の始まりのときが訪れた

「さて・・・行きますか」

テオクは屋根を飛び降りて城の会議室のある大広間に向かって歩き出した



282 :もちっこ:2007/07/28(土) 03:02:08 ID:tpYHKkbV

「よく集まったな見習い共!! これから儀式を始める前にいっておくことがある!!」

十数人の若者がその前で目見麗しい女性が声を張り上げている
その横には文官らしき人物が数人並んでいる

「最近大連に不穏な動きがあるらしい、戦は近い! お前らはわが軍の主力部隊である竜騎士の才能を持つ若者たちだ。つらく険しい道のりになるであろうが決してあきらめるな!!
その先には栄光が待っている!」

サラサラと舞うプラチナヘア、切れ長の気の強そうな瞳に完璧なプロポーションを持つ彼女は東方司令官、つまりここのトップに立つ女性だ
名前はマチルダ・レイヴン、竜騎士ではないが上級軍人の家系で彼女自身も剣の腕が立つ
だが彼女の気迫は軍人のそれであった
都市群の中で一番近い大連の不穏な動きに心底怒っているらしい
若者たちが押されてしまうほど彼女は気迫にあふれていた

「強くあれ! 栄光を掴め! 私からはこれだけだ、さぁ出発の時だ!! がんばって来い」

最後に優しい、聖母のような微笑み
彼女がここの司令官を勤めているのは実力だけではない、情に厚い彼女の性格は人に好まれた
若者たちは一瞬見とれていたが、すぐに顔を引き締め各々の荷物を持ち部屋を出ていった

最後にテオクがゆったりとした動作で皮の袋を背負い、まるで緊張してない様子で出て行った





「・・・死ぬなよ」

マチルダが潤んだ瞳を彼の背中に向けそう呟いたのを、誰も気づくことはなかった・・・
 


283 :もちっこ:2007/07/28(土) 03:04:07 ID:tpYHKkbV

「見ぃ〜つけた」

暗い宮殿の奥底で長いローブのようなものを羽織った、たおやかな女性が水晶に映る男を見ていた
ちろちろと長い舌が唇を舐め上げ、妖艶な雰囲気を醸し出す

「妾の主人となりうる才能を持つもの・・・長年探してきたものがやっと、やっと手に入る」

ゾクゾクするような妖艶な笑みを浮かべた女性は水晶を懐に入れおもむろに立ち上がった

「ケイナ! フロウ! 妾は往く、後は任せたぞ」

「はいヴリトラ様」
「お任せください、ヴリトラ様」

ヴリトラと呼ばれたその女性は二人の侍女に何事か頼むとフッと消えてしまった

「さてケイナ」
「何かしらフロウ?」
「任せると言われたが、我らにその任が務まるか?」
「飛竜の皇女と呼ばれたあのお方の侍女である私たちにその位わけはない」
「そうだな・・・婿殿はどんな方なのであろうか?」
「それは知らぬ、だがあのご様子だといたく気に入られたらしい」
「妻子持ちではないといいのだが・・・」

その水晶には山道を歩く青年―テオクが映し出されていた



284 :もちっこ:2007/07/28(土) 03:05:32 ID:tpYHKkbV
始まりのときから四日の時が過ぎた
テオクは今山の中腹あたりの比較的なだらかな坂の上を歩いている
先ほど契約成功の証である竜のいななきを聞いた

「竜が居ない・・?」

彼は適当な竜を選んでとっとと契約するつもりであった
だがおかしい事に彼の前に竜の一匹も現れない
山の中腹には下級の竜の巣がいくつかあるはずで、彼が竜を見かけないのは異常だった
ふと山の上のほうに影が跳んでいるのが見える

「ん・・・?」

見ればその影は竜のようで、真っ直ぐこちらに飛んできているように見える

「んん・・・?」

よく見ると大きすぎるような気がした
下級の竜はだいたい翼を広げても5メートルほどしかない
だが今見える影は10メートル以上ありやしないだろうか?
中級いや上級の竜でさえ10メートルに達するものは稀だ
そうこう考えているうちに竜はどんどん近づいてくる

「・・・っ! やばいあれはでか過ぎる!!」

大きければ大きいほど力は強くまた人語も解するようになる
だがそれ以上に自尊心が高く人間がのこのここの山に登っていると時折殺されることもある
曰く人間くさくて目障りだそうだ
だが傾斜はなだらかでも絶壁に囲まれた坂だ、当然隠れる場所はない

「くそっ! お終いか!」

彼は死を覚悟した
巨大な竜がどんどんと迫ってきており、もう目と鼻の先だ
竜がこちらを見る、そして勢いよく滑空してきた

「う、うわぁぁぁぁ!」
「見つけたぞ! 妾が主に相応しき者よ!」
「え・・・は・・・?」

彼は驚いた
突如竜が女性に姿を変えたと思ったら、その豊満な胸に彼の頭を押し付けた
彼は、緊張と驚きで意識を手放してしまった




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