【スキスキ】ハーレムな小説を書くスレ【独占】
207 :ヴァン記 1/28 帝都ヴァネッサ・謁見の間にて :2006/10/30(月) 00:38:24 ID:j+7a0Xru
 玉座は空白だった。
 帝都ヴァネッサの誇る堅城・アシュクラーズ。
 その中央に位置する王不在の謁見の間で、皇族の証である紫のマントを羽織った若い男の声が
荘厳に響き渡る。
「では、エルメリウス准将。君には西方の蛮族共を蹴散らすという任を与える」
 遙かな高みからの命令。
 准将と呼ばれた、玉座よりも二段下の絨毯にひざまずく女性は、躊躇う事もなく、
「承知いたしました。マドラス殿下」
 と、小鳥のさえずるような美声で答えた。
 すると、紫衣の男はその冷え切った瞳でエルメリウスを一瞥し、それから隅で難しい顔をしている
老人に尋ねた。
「そう言えば、南方でちゃちな貴族の反乱があったそうだな?」
「は、数は数百程度との事ですが」
 参謀らしき老人は歳の割にはしっかりした声で答える。
「ふん、屑共が。エルメリウス准将、適当に君の権限で兵士を送れ」
「了解、いたしました」
 そうして再び美声を返したエルメリウス准将は、一礼を済まし、謁見の間を出るのであった。
「数は数百……か。ならば、『ヴァン大尉』が適任か……」
 等と、思案の声を漏らしながら。

208 :ヴァン記 2/28 世界設定の説明にて :2006/10/30(月) 00:41:43 ID:j+7a0Xru
 時はロズウェル歴876年。
 世界に一つしかないとされる広大な大陸、グランディア。
 その最大の軍事国家であるグランツ帝国は、賢帝ウィルヘルム・マドラス14世の下、各地に点在する
小国家の征伐を繰り返していた。
 グランツ帝国は他の国家が用いていた単独将軍制ーーーたった一人の大将軍が指揮権を統帥して、軍全てを操る
方式ーーーを捨て、全十数階級からなる将官制を使うことにより、戦術の多様性を強め、その軍事力を更に強固な物としていた。
 また、ここ数年で使われ始めた新兵器、鉄槍の独占も戦力強化に拍車を掛けていた。
 従来の盾と同時に持って戦うスピアと違い、鉄槍は完全に盾と一体化した外観を成しており、なおかつその盾自体も
鉄製であった。つまり、鉄槍兵は弩に盾を砕かれる心配なく戦えるのだ。
 最大数の人員と、豊富な指揮官、とどめに強力な新兵器。
 これら全てを併せ持つグランツ帝国に敵う国など、ありはしなかった。
 そしてヴァン・リーヴァイス大尉。
 彼こそは、グランツ帝国においてたった十二しか編成されていない鉄槍兵単独編成部隊の一つ、第八鉄槍
中隊の指揮官であった。


209 :ヴァン記 3/28 北方遠征・森中行軍中にて :2006/10/30(月) 00:44:46 ID:j+7a0Xru
 鬱蒼と生い茂る草木を先行隊が切り払いながら、私達は道無き道を行軍していた。
 前後に並ぶ歴戦の鉄槍兵達は、みな弱音を吐く事もなく険路を歩き、輜重品を載せた馬車の走る後方からも、
疲れの声は聞こえない。
 姫将軍と名高いエルメリウス准将から直々に命令され、討伐遠征を開始してから早三日。
「全くもって順調、向かう所に敵は無し、と言った所だな」
 兵士の疲労をつぶさに確かめながら、私は独りごちたーーーつもりだったのだが、それを耳聡くも捉えた
隣を歩く副官補佐、イングリッド・ネオバランセ准尉が言葉を返してきた。 
「……順調すぎて怖いぐらい、ですか? 大尉、レーブック軍曹では無いのですし、少しは嬉しがって下さい」
 准尉は何処か不機嫌らしく、その猫みたいに縦長な碧眼の双眸をジトッとさせて私を睨みながら、腰まで
伸ばしたブロンドをサラリとはためかし、ぷい、とそっぽを向いてしまった。
 ふむ、失言だったか。
 皮肉めいた言葉を喋っているつもりは無かったのだが、部隊の中では最も実戦経験の少ない彼女の事だ。
きっと緊張過多で、色々と気を揉んでいるのだろう。
 少し眼をやれば、ネオバランセ准尉は私と眼を合わせようとはせぬまま、堂々と胸を張り歩いていた。
 ん? そういえば……准尉はどうして従軍しているのだろうか? 実践経験が乏しく、鉄剣を扱う筋力
すらない彼女には、征伐隊に同行せよ等との指示は無かった。
 そもそも彼女は兵士には向いていないのだ。弓を引かせようにも、その軍服のボタンを一つ開けさせてしまう
ほどに大きな胸が邪魔になるから、戦いでは何もできない。
「まぁ、それは考えても仕方のない事か」
 私は諦観気味に溜息を吐き、それから僅かに先行する位置にいる副官に声を掛けた。


210 :ヴァン記 4/28 副官シャルラ・ニケー推参にて :2006/10/30(月) 00:47:07 ID:j+7a0Xru
「ニケー少尉、悪いが、ちょっと来てくれないかー」
 私がそう呼びかけると、十数メートル先で緑の短髪をふらふらさせながら歩いていたシャルラ・ニケー少尉
は、ハキハキした返事と共にこちらを振り向いた。
「あ、ヴァン隊長! 分かりましたー! 今行きます!」
 全体的に幼さの残るボーイッシュな顔に、ちょっとだけ真剣味の色を加えてから、シャルラは行軍する
兵士の隙間を雌豹のようにすり抜け、あっという間に私の隣にやってきた。
 ……しかし、ちょっと近すぎやしないか?
 腕に絡みついてくる必要もないだろうに。というか何だか殺意を感じる気がする……私から必死に両眼を
逸らしているイングリッド准尉の辺りから。
 ま、気のせいだろう。私はそのままニケー少尉に告げる。
「ニケー少尉、先行隊に突撃の準備をするように言ってくれ給え」
 その言葉に、はい? とシャルラは小首を傾げた。
 若干、二十一才。しかも将官学校の出ではないという悪条件の中で、少尉にまで上り詰めた頼れる副官
シャルラ・ニケー少尉だが、流石に行軍中に突撃準備をさせられるとは思っていなかったらしい。
 私の腕の横、頭一つ半ぐらい下で、思案するようにしながら返事をした。
「あ、はい、了解しました。けど、突撃ですか?」
 やはり、思惑が読み取れない、といった感じだ。
 後方に移動したイングリッド准尉も同じ気持ちなのか、盛んに首を傾げている。
 そんな彼女達にゴーサインを出す為に、私は軽く頷いて、

「うん、そろそろ奇襲が来るからね」

 と、敢えて断定的に言った。


211 :ヴァン記 5/28 森中、迎撃準備を計るにて :2006/10/30(月) 00:49:40 ID:j+7a0Xru
「き、奇襲ですか!?」
 途端、弾かれたように背筋を伸ばしーーー無論、私の腕からも剥がれた。ああ、ようやく肩が楽になったー
ーー機敏に辺りを見回すシャルラ。
 ちなみに、見るまでもなく分かっていた事だが、イングリッド准尉は『良くは分からない驚異』について
後方で警戒をしていた。一目で経験が無いと分かる構え方だ。
 まあ、ここに奇襲が来る事はないだろうし、別にいいのだけれど。
 私はシャルラを手招くようにして呼び寄せ、道の先を指差した。
「ニケー少尉。だから先行隊に突撃準備と行っただろう? 奇襲の基本は『敵の出鼻をくじく事』。白昼に
本隊を攻めるのは特攻に同じ。前に教えたはずだぞ?」
「あ! すいません! そうでした!」
 彼女はすぐさま頭をぺこりと下げて、それからすぐに先行隊の方へと駆け出していく。
 相変わらずのスピードで兵士の間をすり抜けていく副官に、私は最後のアドバイスを送ろうと右手を振った。
「『シャルラ少尉』! 突撃はーーー」
「道を拓くんだけ、ですよね!? そして、帰りは方陣! 分かってます!」
 ……先を言われてしまった。
 流石は年数だけなら私よりも長く戦場にいるだけある。知識ではなく、経験から体得した物が大きいようだ。
 何はともあれ、これでどう転ぼうと敗北は消えたな。
 あっという間に行軍の一角を抜けた、緑髪の副官の後ろ姿を眺めながら、私がそんな事を思案していると、
目端にイングリッド・ネオバランセ准尉の姿が映る。
 何だか、不思議そうな表情をしていた。


212 :ヴァン記 6/28 イングリッド准尉の好奇心にて :2006/10/30(月) 00:52:25 ID:j+7a0Xru
「……あの、ヴァン大尉。何故、ここで奇襲が来ると思うんです?」
 どうやら不機嫌よりも好奇心が勝ったらしい。経験の足りない准尉の言葉に、私は軽く笑いをこぼしてから尋ねた。
「ネオバランセ准尉。君の『大好きな』レーブック軍曹に、今どんな命令が出ている?」
 レーブック軍曹。
 その名を聞いた途端に、彼女の顔は一気に不機嫌度を増した。軍曹も君も同じ私の部下なのだから、仲良く
して貰いたいのだが、実に悲しい事だ。
「……現在、レーブック軍曹は情報斥候として、単身で反乱貴族の土地へと進入しています」
 よし、模範解答だねーーー。 
 と、褒めようとしたら、准尉は苦虫でも噛み潰したかのような表情で、そこから更に付け加えた。
「大尉、覚えておいて下さい。レーブック軍曹は、私からすればキャベツ畑を荒らす芋虫のような存在、
とどのつまりはーーー害悪なのだと言う事を、です」
 深い深い怒りを込めて、イングリッド准尉は言い切った。
 ああ……仲違いここに極まれり。
 情報解析ができるネオバランセ准尉と、情報収集が得意なキュリエ・レーブック軍曹が組んでくれると、
私はとっても楽になるのだが、そう上手くは行かないらしい。
 イングリッド准尉の肩と胸の震え具合からしても、かなり不機嫌ゲージを上げてしまったようだし、
もうここでの説得は諦める事としよう。
 そして私はとっとと解答発表へと移った。


213 :ヴァン記 7/28 奇襲予知の真相にて :2006/10/30(月) 00:55:07 ID:j+7a0Xru
 真実なんて、たいていの場合は下らない物だ。
 私はそう前置きして、
「実は、もう少し進んだ所に、伏撃には絶好の場所があるんだよ。反乱貴族の郎党が、手ぐすね引いて待って
いてくれそうな場所が、ね」
「……しかし、貴族達がそう上手く動くのでしょうか? 私達が来た事すら知られていない可能性もあります」
 イングリッド・ネオバランセ副官補佐はあくまで慎重な展望を広げる。
 うん、こういう考えが出来るんだし、才能はあるんだろうな。足りないのは経験だけか。
 私は先程の話を引っ張り出して、
「レーブック軍曹を先に現地入りさせたと言っただろう?」
 ええ、とイングリッドは頷いた。
 だが、まだ最後の真実までは届かないらしい。
 私はそこでラストカードを切った。
「軍曹には、『我々の情報を適当にバラしてこい』と、そう頼んだんだよ。反乱貴族が戦い方を知っている
なら、先手を取る為、確実にここで奇襲に来る」
 そう言って准尉の顔を覗き込むと、ようやく全てを理解した彼女は、心の底からうんざりしたように、
「奇襲に来ないならば、敵はその程度の輩、と言う事ですね?」
「全くその通りだよ、ネオバランセ准尉」
 自身の不覚にうなだれる彼女に、私は笑って頷いた。


214 :ヴァン記 8/28 奇襲開始にて :2006/10/30(月) 00:57:22 ID:j+7a0Xru
 木々のざわめきに混じって流れてきた風切り音を聞き、私は眼前の准尉に告げる。
「始まったみたいだね。敵は短弓かな? 弩が来なければ無傷で済みそうなんだが」
「そうですね。全く……貴方の掌の上だというのに」
 疲れたように軽蔑の呟きをこぼす金髪の美女。
 そんな彼女の肩を叩いて、私は子供にお使いでも頼むかのように告げた。
「はは、それじゃあネオバランセ准尉。ここの指揮を頼んだよ」
 そうして、何事もなかったかのように後方へと歩みを進めようとしたらーーー、
「あ、了解です……って、待ちなさい」
 がっちりと、捕まえられてしまった。
「どうしたんだい? 奇襲には手早い対応が大事なんだが」
「私は文官だって事、覚えておられますよねぇ?」
「勿論だとも。けど、レーブック軍曹を出したから、将官が足りないんだ」
 後方の輜重部隊にはもう一人だけ軍曹がいるけれど、あれを呼ぶのは流石に二度手間だろう。
「と言うわけで、頼んだよ『イングリッド准尉』?」
「はぁ、了解ですよ、ヴァン大尉。でも、失敗しても……知りませんからね?」
 こうして、何だかんだで一挙両得の説得ーーー私はサボれる、准尉は経験が積める。完璧じゃないかー
ーーを終えた私は、鉄槍を構えて意気軒昂に前進を始めた鉄槍兵達にエールを送りながら、後方へと
てくてく歩いて退避するのだった。
「じゃ、歴戦の鉄槍兵の皆さん。彼女の護衛と敵との戦闘、頼んだよ?」
「へいよ、隊長を護るよりかはよっぽど士気があがりますぜ。がははははは!」
 豪快に笑う部下達。
 うん、全くもって、率い甲斐の無い奴らだなぁ。


215 :ヴァン記 9/28 後方部隊待機地点にて :2006/10/30(月) 00:59:56 ID:j+7a0Xru
 森の中にしては珍しく、木も花も生い茂っては居ない、空虚とでも言うべき場所。
 輜重を積んだ馬車が三台、眠った馬と共にぽつんと置かれている。
 そして私は、その三台から僅かに離れた石の上で、彼女を見つけた。
「やあ、ミノーズ軍曹。様子を見に来たんだけど……元気みたいだね?」
 敵兵が一人もいないのを見て、私は明るい声を出した。
 すると、その声を聞いてようやく私に気付いたようにしてーーー実際には私が馬車を見つけた時点で、
彼女は私を捕捉していただろうがーーーくるりと、こちらを見た。
 セイラン・ミノーズ。
 『切り裂き聖女』の異名を持つ彼女が、私の視界に、その全身を表す。
 やや東洋系の混じった瞳の色は、茶と黒の間の色。
 彼女もまた中性的な面立ちだが、シャルラの少年らしい顔とは違いーーーそれこそ真に中性的とでも言う
べきーーー性別がどっちだか分からないような美しい顔の造形をしている。
 そして何よりも目立つのは、その衣装だ。勿論、それは他の皆が着ている粗忽な軍服などではなく、かといって
最新の戦闘服というわけでもない。
 左右どころか天地も無用にべたべたと十字架の印が貼り付けられた、ピッタリとした漆黒のレオタードの
ような衣と、薄手のコート。『聖女』の二文字がここから来ている事を、全てに知らせるような装束だ。
 そして徒名のもう半分、『切り裂き』を表す二本のロングソードは、両腰に携えた鞘の中に、しっかり納めてある。
 立ち上がった彼女は、額をぬぐい、凛とした空気を背負ったまま私を見ていた。


216 :ヴァン記 10/28 漆黒の『切り裂き聖女』にて :2006/10/30(月) 01:02:09 ID:j+7a0Xru
 漆黒の衣に軽く汗を弾かせながら、セイラン・ミノーズ軍曹は口を開いた。
「よぅ、隊長。随分だなぁ、おい」
 明らかに不機嫌な声音。しかし、イングリッドと言い彼女と言い、ウチの部隊は不機嫌な人が多すぎるような
気がする。何故かは考えないけれど。
 あ、ちなみにセイランの男勝りな喋り口は生来の物なので、気にしてはいけない。
「随分だなぁ……? ミノーズ軍曹、今のところ、私は特に何もしてないが」
 眠そうな半眼でこちらを睨むセイランに対し、私はありのままの真実を返した。
 この奇襲に対して、私は本当に殆ど何もしていない。
「ンなコト言ってんじゃねえよ! ボケがッ!」
 怒られてしまった。しかし上官への口の利き方はもう少し覚えた方が良いと思うぞ?
「はッ! 礼儀なんつーもんはお袋の子宮に置いてきちまったよ」
「お袋のフクロ、か。うん、八十点あげよう」
「ンなこたどーでもいいっつってんだろ! アタシが言いたいのはな、隊長」
 そして彼女は一呼吸吐いて、
「アンタ、『アタシを囮にした』つもりだっただろ? あぁ?」
「うん」
「ふん、しらばっくれるか。でもな、とうの昔にネタは割れてんだよ! ウチの部隊で馬車三台なんてのが、
そもそもおかしかったんだ。アンタは奇襲を想定して、一番危険な後方防衛をアタシ一人に押しつけたんだ!
 違うか!? あぁん!? けど甘かったな! アタシの方に奇襲なんざ来なかったんだよ!」
「説明は要らないよ。うん、と言っただろう」
「…………………………………えぁ?」
 素っ頓狂な声が、漏れ出るようにして彼女の口から発せられた。


217 :ヴァン記 11/28 困惑の『切り裂き聖女』にて :2006/10/30(月) 01:04:35 ID:j+7a0Xru
 止まる時間。
 私としては、セイランを戦わせて、後はここで高見の見物と洒落込みたいのだが、下手につついて
蛇を出すのも御免なので、じっと待つ。
「……………………あー、隊長。マジで、うん、って言った?」
「言ったよ。最初にね」
「………………………」
 再び沈黙。
 俯くセイラン・ミノーズの顔は、心なしか、いや、めちゃくちゃに赤い。まるで好きな先輩に告白をして返事を
待っている女学生のようだ。
 相変わらず打たれ弱いなぁ。
 前線ではまだ戦の音が響いているのだが、こちらは呑気な物だ。
「……………うがぁああああーー!!!」
 おっと、何かが切れたな。
「ちきしょう! 隊長! ナニ答えてンだこのボケがぁッ!! お陰でアタシは一人でピエロじゃねえかッ!!
 返せ! あの長科白の瞬間の輝きを返せ!」
「まあ、良くある事だよ」
「ねえよ!!」
「お、あそこから来ているのはシャルラか? なんだ、もう敵は殲滅したのか。奇襲を仕掛けてくる割に、
随分と脆い連中だな。反乱をする気はあるのかね」
「だから、聞けって言ってんだろおがぁああああ!!!!」
 いや、言ってないよ。間違いなく、言ってない。断じて、言ってない。


218 :ヴァン記 12/28 副官の帰還とノリで進む会話にて :2006/10/30(月) 01:07:04 ID:j+7a0Xru
「あ、たいちょー!! ここに居ましたか!!」
「やあ、シャルラ少尉。実はミノーズ軍曹の子守をしててね」
「おい! 待てこら!! 誰が誰の子守だと!?」
「随分と早かったけど、もう終わったの?」
「はい、容量の都合で」
「容量って何なんだよ! いきなりメタ会話してんじゃねえ!! ってか聞け! マジで聞け! 切り刻むぞコラ!」
「だってエロシーンに辿り着かないんだもん」
「誰だよ!? ていうか作者だな! そうだな!? 答えろ! おい、それからアタシの役回りについて
言いたい事が」
「残党はどうした?」
「ほとんど捕らえたはずです。数はイングリッド准尉に聞いて下さい」
「あ! 勝手に話を進めんな! ちょっと待ってろ! いいな!」
「じゃあ、兵を平原まで戻して天幕を張ろう。早めに兵を休ませたい」
「了解しました。ヴァン隊長。それで、哨戒は誰にやらせます?」
「おい! 分かったぞ! ここでアタシに見張りをやらせる気だろ! 生憎だが」
「んー、じゃあ騒ぐ元気のあるミノーズ軍曹に全部やらせよう」
「よし! 貴様等そこに並べ! 切り刻んでやる! って、示し合わせたかのように逃げ出してんじゃねぇえええ!
 待てボケがぁッ!! 切り刻んでやる! 殺してやる!」
 聞こえません。待ちません。聞く気のかけらもありません。


219 :ヴァン記 13/28 司令部大天幕にて :2006/10/30(月) 01:10:24 ID:j+7a0Xru
 日中は過ぎてもまだギラギラと熱い日の光を遮る天幕の中。
 薄暗闇を払拭するカンテラに照らされた簡易机の上には、軍用地図が一枚。
 そして、その机を取り囲んで、私達3人は顔を突き合わせていた。
 私の席を十二時とすると、三時には副官のニケー少尉、そして六時にネオバランセ准尉だ。
 ミノーズ軍曹も哨戒と言って追い出したし、準備は万全だ。
「それではネオバランセ准尉、報告を頼む」
 こつん、と軽く指で机を叩いて私が言うと、向かいの席でじっとしていたイングリッド准尉は机の上に
三枚の書類を広げた。
 一枚は羊皮紙製の帝都宛戦闘報告書。
 残り二枚はこの度の戦果をイングリッド准尉が書きまとめた木札だった。
 そしていつもの通り、重要度の高いはずの羊皮紙を端へと追いやり、彼女は木札の方を読み上げる。
 あ、これはただの私の方針だから深い意味はない。
「こちらの被害は軽傷者が五名、内訳はニケー少尉の直属が二名で、激怒したミノーズ軍曹に撥ねられたのが
三名です。他に被害はありません」
 う〜ん、ちょっと遊びすぎたな。反省しておこう。三秒ぐらい。
「そして敵の方ですが、死者四十名、重傷者七十八名、捕虜として森に縛り付けてきたのが八十二名、総勢二百名
です。どうやら、敵はほとんどの戦力を注ぎ込んだようです」
 分かった、と私は頷く。そして、大体の想像は付いているが、一応の確認の為にネオバランセ准尉に尋ねる。
「反乱の元凶らしい貴族とやらは?」
 すると冷静沈着なはずの准尉は口を濁して、
「……敵陣に居たのですが、護衛の部下二人を連れたニケー少尉が、その……」
「突撃し、切り裂いた、か」
 今回のような状況で、ウチの鉄槍兵が負傷するなど、独断で先行した時以外には考えられないのだから、
当然と言えば当然だが、それでも荒技過ぎる。


220 :ヴァン記 14/28 エロの始まり?にて :2006/10/30(月) 01:12:56 ID:j+7a0Xru
「シャルラ……」
 横目で軽く睨み付けて、私が愚痴をこぼすように言うと、
「え? い、いや、ほら、敵は頭から潰せと言うじゃないですか……ええ、その……」
 しどろもどろになって、最後の方の科白を口内でシャルラは噛み潰す。
 全く、普段の元気は何処へやら、だ。
「まあいい、今回は見逃そう」
 溜息混じりに私はそう告げーーーシャルラは今にもイスの上を飛び跳ねそうなぐらいに喜色満面の元気な笑みを
浮かべていたーーー木札を覗き込むようにしながら准尉の方へと向き直った。
 端正に整えられた人形のようなイングリッドの顔が、こちらを頭の上から見下ろす形だ。
 私は書面の上の数字に目を通しながら、
「ネオバランセ准尉、捕虜の扱いは君に任せる。ニケー少尉、君はレーブック軍曹との合流地点へ向かい、
彼女を回収。到着は明日まで、出発は今すぐだ。いいね?」
 味方死者0の数字を見て、私は胸の梳くような思いを感じながら二人に命令を下した。
「了解しました! 行ってきます!」
「……了解……です……」
 元気いっぱいに敬礼をかざして天幕を掛け出て行ったシャルラを見て、あちらは心配ないなと私は副官への
信頼を新たにする。
 イングリッド准尉の返事が、何だかぼうっとしていたような気もするが、まあいい。
 やるべき仕事が、まだ腐るほど残っている。
「私は近隣の街から補給物資を集めてくる。持ってきた馬車三台だけでは、捕虜を餓死させかねない」
 そう言って、私はネオバランセ准尉よりも一足先に天幕の入り口へと向かう。
 ーーーが、急にその歩みを、止めた。
「……………………あー、准尉?」
 たらりと、こめかみから汗を垂らしながら、私は聞いた。
「……何でしょうか。ヴァン大尉」
「離しては、くれないかな?」


221 :ヴァン記 15/28 多分ここからエロにて :2006/10/30(月) 01:15:18 ID:j+7a0Xru
 天幕から出るのには、後二歩も必要ない。
 という位置で、イングリッド准尉の溢れ出さんばかりの胸を押しつけられた状態で、そんなお願いをしてみた。
「イヤです」
 やっぱりキッパリしっかり断られた。
「いや、だけどね? 私は忙し」
「今を逃せば、大尉は、行ってしまいます」
 決然とした科白の中にも、何処か甘えるような声音が混じっていた。
 ……………あー、据え膳を食わないのは男の恥らしい。
 けれども、ここで私が妥協をすれば、捕虜160名が飢え、重傷者が死ぬのはほぼ確定だ。
 男としての失格よりも、私は将としての合格を取りたい。
 そう言おうとしたら、
「あんな馬鹿共、死んじゃえばいいんです」
 ギュッと私を抱きしめたままの准尉から、凄い科白が返ってきた。
 マズい。これは完全に覚悟を決めている。
 殺るかヤラれるか。
 そんな気配が全開だ。
 考慮している間にも、私と准尉の間では、その柔らかい双球がうにゃうにゃ、なんて擬音を立てんばかりに
変形している。
 マズい、私の理性が砕け散る前に何とかしなくては。
 よし! こうなればこっちも覚悟を決めよう。
 振り向き、肩を押さえ強引に言いくるめてダッシュで逃げ。
 それしかない。
 そして、私が准尉の方へと向き直ったらーーー
「もう、これ以上は……我慢が利かないんです。ヴァン………」
 その言葉と共に、私は肩をがっちりと固定されて、
「え? っーーーー」
 熱い接吻をされた。


222 :ヴァン記 16/28 蛇足っぽい展開にて :2006/10/30(月) 01:16:56 ID:j+7a0Xru
 僅か数センチ先で、彼女の瞳は情欲に濡れていた。
「ん、んちゅ……あむっ、んっ、はぁ」
 舌をねじ込み、唾液をすする、熱烈なディープキス。
 余りに唐突な出来事だった為に、私は呆然と彼女の舌を受け入れながら、発情した猫のように顔を火照らせる
彼女を、ただ見ている事しかできなかった。
「ヴァン、ヴァン……」
 うわごとのように私の名前を呼びながら、彼女は私の口の中で舌なめずりする。
 ざらついたイングリッド准尉の舌の味が、じんわりと広がった。
 
 とても司令天幕とは思えない光景。
 膠着してしまった現状。
 こうなれば仕方がない。今の内(理性が飛ぶ前)に彼女との関係を説明だ。

 初めに言っておくと彼女と私は籍を入れているわけではない。
 まあ、性が違うのだから当然と言えば当然だ。
 そして、分かっているとは思うが、私は彼女を抱いた事がある。
 後、このスレの住人ならこれも分かっているだろうが、
 シャルラ・ニケー少尉、キュリエ・レーブック軍曹、セイラン・ミノーズ軍曹。
 彼女達も、抱いた事がある。
 理由は面倒なのでここには記さないが、まあ色々と込み入った事情があったと思ってくれれば幸いだ。
 とりあえず、そう言う物だと思ってくれ。
 それから、私の理性は僅か九行でもう限界だと言う事をここに記しておく。


223 :ヴァン記 17/28 鈍感男が気付くときにて :2006/10/30(月) 01:18:54 ID:j+7a0Xru
 毒を食らわば皿まで、その慣用句に言い訳を込めてから、彼女のキスに合わせるようにこちらからも舌を合わせた。
「ん、甘い……な」
 今まで気付かなかったが、仄かに柑橘類の味がする。蜜柑でも食べたのだろうか。

 んちゅ、ぬちゅ、ちゅるる

 お互いに強く抱きしめ合うような体勢で、私達は舌を絡ませ合う。
「あぁ……ヴァン……」
 陶酔の表情と淫欲の双眸をこちらに向けるイングリッド。
 その目の端に僅かに浮いた涙の玉を見つけて、最近の彼女の不機嫌の原因が自分にあった事に、私はようやく、
余りに遅ればせながら思い至った。
「そういえば、この前の『君との日』は行軍命令で飛ばされたのだったな」
「ええ、やっぱり……忘れてたんですね。酷い人」
 お叱りの言葉と共に、彼女は肩の辺りを力強くつねってくる。
 痛い、が彼女の寂しさは、きっとそれを上回っているのだろう。ならば私も男として、この痛みに甘んじ、
いや、やっぱり痛い、千切れそうだ、勘弁してくれ。
「ふふっ、大尉、可愛いです」
 泣いた彼女がすぐに笑っているあたりに、私の甲斐性の無さを感じてくれれば結構だ。それより、可愛い
という形容詞は、褒め言葉なのだろうか?
 気になったが、ここで彼女から思考を離すのは、無礼に当たろう。
「あー、『イングリッド』」
 私は彼女の名前だけを、ハッキリと呼んでから、言った。
「そろそろ、脱がないかな?」


224 :ヴァン記 18/28 イングリッドはご満悦にて :2006/10/30(月) 01:22:02 ID:j+7a0Xru
 襟に階級章の付いた軍服は、通常かなりゴワゴワしており、頑丈さは高いが脱ぎにくさは凄まじい。シャルラの
ように極限まで使い込み、ボロ雑巾になっているのならともかく、文官の彼女の軍服を、しかも自分のを脱ぎながら
脱がすなど、とてもじゃないが不可能だ。
 よって、わざわざお互いを目の前にしてストリップショーとなる訳だが、気恥ずかしい私とは対照的に、
彼女は偉く満足げ、かつ開放的だった。
「うふふ、大尉ってば何が恥ずかしいんです? もう私の身体の中で、大尉が見てない場所も触れてない場所も
一つとして無いんですよ?」
 そうは言われても、恥ずかしいのだから仕方がない。
 等と、ある種の開き直りを呟きながら、私はようやく最後の一枚をすとんと下ろした。
 勿論、彼女の方はとっくに生まれたままの姿だ。何を隠す事もなく、右手を腰に当てたまま、左手人差し指を
真っ白なほっぺたに当てて思案に耽っている。
「……ベッドが無いから、立位かイスの上ですね」
 と、大真面目に体位の話を振られて、私はますます気恥ずかしくなった。
 デリカシーの強そうなイングリッドにこんな科白を吐かせるなんて、過去の私は何をやってきたのだろうか?
 全く記憶にないぞ。というか、彼女は普段に比べて饒舌すぎないか?
「ん〜、じゃあ、コートを敷いて、私が下になればいいだろう」
「イヤです。さんざ待たされたんですから、激しくして下さい」
 ズバッと言い切ってから、やっぱり立位ですね、などと言っている彼女。
 ああ、ものすごく楽しそうだ。
「それで、大尉。準備は出来てます?」
 唐突に聞いてきた彼女。ここでの準備とは、やっぱり下の方なのだろうな。
 私は下を見て答える。
「ん、万全、かな」


225 :ヴァン記 19/28 男のプライドと女の策謀にて :2006/10/30(月) 01:25:00 ID:j+7a0Xru
 しかし、その答えには賛同は得られなかった。
 イングリッドは、ひょいと私の股を覗き込み、
「……半勃ちじゃないですか」
 待て、待ち給え。
 それはどういう意味だね?
 今の私の愚息は、主に君のおっぱいによる刺激とディープキスに、行軍疲れも相まって、ジャンプK点越えは間近な
状態なのだが。というか、君も何度も見ているだろう?
 これは急に小さくなるものでもなし、一体、何をーーー
「ーーーそれじゃあ、仕方ないですね」
 彼女は悲壮ぶってそう言った。ぶって、と付けたのは、その声の裏側に、隠しきれないほどの愉悦が見えたからだ。
「……シて、あげましょうか? 私の、コレで」
 腰に当てていた右手を、お腹を滑らすようにして上まで到達させ、さらり、とその長い金髪を風に揺らした。
ついでに、コレがぶるんと震える。
 私はようやく彼女の思惑に気が付いた。
 無論、コレとは彼女の母性豊かな巨乳の事で、するのは何かなどとは言うまでもない。
 一発先に抜いて次が長持ちするようにしてから、『彼女の日』を飛ばした分を取り戻すぐらいの激しさで
ヤッて貰いたい、そう言う事なのだろう。
 表面上では軽蔑した振りをしておきながら、瞳の奥のギラギラと光る野望の色を隠し切れていないあたりが、
実に彼女らしい。
 しかし、それならば反発は失礼か。
 私ははにかみながら彼女に尋ねる。
「そうか、まだダメかね。それでは、お願いしても良いかな?」
「勿論です、ヴァン。貴方の為ならば、幾らでも」
 そうして私は、先程まで座していたイスへと腰を下ろすのだった。


226 :ヴァン記 20/28 おっぱい、おっぱい、にて :2006/10/30(月) 01:26:23 ID:j+7a0Xru
 どちらも裸体を晒したまま、まだ暖かみの残る軍用イスにどっかりと座る私と、その足下にひざまずいて
胸を持ち上げるイングリッド。
 背筋をさらさらと通る背徳感が中々いい。
「それでは、イきますよ?」
 その言葉と同時、私の不肖の息子が先端を残してすっぽりと彼女のおっぱいに覆い隠される。私のモノは、
そう小さい方ではないのだが、これは彼女の胸が大きいのだろう。
 うぅっ、しかし相変わらず気持ちいいな。
 滑りはまだ悪いが、僅かにしたたる生ぬるい汗が、妙にポイントにマッチして快感を与えてくる。
 このまま放っておいても、そのうちに達してしまいそうだ。
「ヴァン、気持ちいいですか? でも、まだまだ半勃ちですよ、ね?」
 小悪魔のように微笑んで、魔王のような言葉を投げかけてくるイングリッド。
 私が何も言えずにいると、彼女はその上目遣いのまま舌をのばした。……豊満な双球からどうにか脱出を果たし、
安全地帯にいた亀頭へと。
「……私を激しく打ち貫けるようになるまで、たっぷりシてあげますから」
 そして彼女は、軽く舌先で裏筋をなぞるように味わってから、

 はむっ

 私の愚息を一気にほおばった。


227 :ヴァン記 21/28 どうにも准尉は床上手にて :2006/10/30(月) 01:28:06 ID:j+7a0Xru
「くっ、むっ……」
 椅子に座ったままの私から、苦悶する忍耐の声が漏れる。

 ぐちゅ、ぬちゃ、むにゅ、ぴちゃ、

 イングリッドは、亀頭の中でも特に敏感な裏筋や尿道口といった部分を巧みに舌でこねくり回しながら、
挟んだだけで止めていた巨乳も、一気に上下させ始めた。
 
「んぐっ、ぷはっ……えろっ、れろっ」

 頭を深く沈み込ませたときは、先端が喉奥にコツンと達するまで飲み込み、口から出したときには、グリグリと
おっぱいでねじるように刺激する。
 口からこぼれ、擦り付けられた唾液はしっかりとムスコの根本までを湿らせ、それが更にパイズリの感度を上げていた。
 そして何より、私の顔をうっとりしたような表情で上目遣いに覗き込む、その縦長の瞳が反則的なまでに
エロチックだ。男が見れば、それだけで前屈みになってしまいそうなほどに。

「ん、ヴアン、んぐっ、どうでふ……かぁ?」
「く、くわえたまま喋らないでくれ、イングリッド。そろそろ、出るぞ!」

 私のその言葉がスイッチになったのだろう。
 彼女は今までになく瞳を輝かせると、
 一気に喉の最奥、普通ならば戻してしまいそうな所まで、私のモノを呑み込んだ。

 それを引き金に、私は彼女の口の奥深くへと、熱く煮たぎる精液を注ぎ込んだ……。


228 :ヴァン記 22/28 弱アルカリ性飲料にて :2006/10/30(月) 01:30:56 ID:j+7a0Xru
 んぐ、ごくっ、ごきゅっ、ごくっごくっ、

 私のイチモツが脈動を繰り返し、粘性の高い精液がイングリッドの喉深くへと飲み込まれていく音が聞こえる。
 その後、幾度目かの迸りで最後の射精を終えたのを確認してから、彼女は私のペニスから口を離して、
ぷはっ、と深呼吸を一つ。
 
 ゆっくりと立ち上がり、呼吸を整えながら、イングリッドは言う。
「はぁ、はぁ……けぷ。ヴァン、多過ぎです。飲み終える前に窒息死するかと思いました。それに、貴方のは絶対に
大きすぎです。他の人のをこうした経験はありませんが、アゴが外れそうになるのですから、人並みよりかは
大きいのでしょう? ……はぁ」
 半勃ちじゃなかったのか、と聞きたい所だったが、ぐっと我慢して私は次の言葉を待った。
 すると、彼女も自分の失言に気付いたらしい。
 ぴくぴくと身体を震わせ、それから取り繕うように、
「……は、早いです……よ。ま、まだ私を激しく打ち貫いてもいないのですから。それでは、この分も合わせて、
今度は私にシて下さい……ね?」
「声が裏返ってるよ?」
 私のその言葉に、彼女の美貌は真っ赤に染まった。
「な、なななな、何を、言ってるんですか!? その、えと……」
 予想だにしてなかった事態なのか、彼女は挙動不審な動きを見せる。
 軽い復讐を終えた私は笑い、すうっとイングリッドの金髪を手に取るようにして持ち上げた。
「ふふ、イングリッドは可愛いなぁ。それで、今度は私の番、だったかな?」
 イングリッドは落雷に撃たれたかのようにびくりとした後、小さな声で、確かに頷いた。


229 :ヴァン記 23/28 細かい点は御都合主義にて :2006/10/30(月) 01:32:34 ID:j+7a0Xru
 彼女を抱きしめながら、少し手の先で触れてみれば、そこは既に洪水の態を成していた。
「……まだ、前戯もろくにしてないんだが」
 パイズリというのは女性も感じるのだろうか? 私がした彼女への接触はディープキスと軽い愛撫だけで、
まだ殆ど何もしてないに等しいのだが。
 イングリッドは、私の思いを見透かしたかのように、
「私が濡れやすいのは知ってるでしょう?」
 と、耳のそばで挑発的に語りかけてくる。
 そして、未だ元気ハツラツな私の暴力的なそれに手を掛けて、
「今日は、前戯なんて要りません。ただ、激しく……して下さい」
 ちょっと恥ずかしそうに言って俯くイングリッドは、とても可愛かった。
 彼女の秘裂に私は軽く手を添え、インサートの準備を整える。
「ああー、イングリッド? 先に言っておくけど、止まれなかったら御免ね?」
 口にするのは、彼女への最後の確認。
 男としては軟弱な科白だが、心配性な私には必要な言葉だ。
「ヴァン、そんなの女性に聞いちゃダメです」
 ああ、やっぱり怒られた。
 全て知っていますから、とでも言いたげに微笑む彼女を、私はただ、打ち貫いた。


230 :ヴァン記 24/28 ヴァンは意外と余裕有り?にて :2006/10/30(月) 01:34:30 ID:j+7a0Xru
 天幕の中に、ぱんぱんぱんと小気味良い音が響く。
 もしかしたら外にも響いてしまっているかも知れないが、今の私にそんな心配をしている余裕はない。

「んっ!! ヴァン、そこ……激し、いぃっ!!」

 つま先までをピンと伸ばしたまま、ノイズ混じりに撒き散らされる嬌声をBGMに、私は止まる気配もなく
ひたすら腰を打つ事に専念する。
 豊満な彼女の体躯をもってしてもやや大きいと言える私のペニスだが、しかし彼女の膣内は時に包み込み、
時に締め付け、私にも快感を与えてくれる。
 これが名器と言われる物なのか、私には良く分からないが、痛みを感じずに愛し合えるのは良い事だと思う。

「イングリッド。舌を、出したまえ」

 うっすらと涙まで浮かべ、快感を享受する彼女に、私はちろちろと舌先で唇を舐めながらそう言った。

「キスも無しでは、寂しいだろう?」
「ヴァン、んっ……」

 瞼を下ろして、私を更に強く抱きしめて彼女は口を寄せた。
 私も応えて、互いに互いを思いながら、唇を合わせ舌を絡める。

 ぱんぱんと、切れることなく刻まれるリズムの中、私とイングリッドは幸福だった。


231 :ヴァン記 25/28 時間を経ても、にて :2006/10/30(月) 01:36:59 ID:j+7a0Xru
 それからどれほど経ったかは分からない。
 だが、肉欲の貪り合いは、未だに続いていた。

 ぐちゅぬちゅ、みちゃ、

 もはや精液なのか愛液なのかも分からぬ、けったいな物を潤滑油に、私はピストンを続ける。
 彼女との体位は、立位から二度ほどの変更を済ませ、現在では後背位だーーー軍用机に両手でしがみつき、
膝を揺らして白い尻を揺らすイングリッドを犯している。
 個人的にこの体位は何だか無理強いているような気分になるので、私好みとは言えない。
 しかし、それを補って余りあるイングリッドの膣内の締め付けと、腰を半ば抜かしながらも麗しい声を上げる
彼女の惚けた美貌が、私を燃えさせる。

「あんっ! ヴァン……激し、い……んんっ!!」

 ピストンする腰の角度を僅かばかりに変えるたび、彼女は至上の快楽を味わったかのように鳴き、それに
反応して私への刺激も強めてくれる。
 男子として、これ以上の至福が有ろうか?
 
「イングリッド、愛している……」

 背中から彼女に覆い被さり、耳元でそんな言葉を囁いた。

「私もですよ。ヴァン」

 彼女は私の位置からでも分かるように微笑むと、そっと、私と手を合わせた。
 皆を愛すと嘯く私に、こうやって許しをくれる彼女は、とても優しいのだと思った。 


232 :ヴァン記 26/28 エロは大体ここまでにて :2006/10/30(月) 01:39:31 ID:j+7a0Xru
 人がいつかは死ぬように、幸福にもやがて終わりが来る。
 ーーー等と格好付けても、つまりは私に限界が訪れたと、まあそれだけの話なので様にはならないのだが、
そこは勘弁して貰いたい。

 彼女の肉体を抉りながら、もう何百回目になるか分からないピストンを、更に速めて叫ぶように告げる。

「イングリッド! 出すぞ!!」
 その言葉に、彼女の締め付けは頂点を極める。
「ヴァン! 中に、中に出して! 貴方の精子を、私にーーー!!」

 そして、これまた幾度目か分からぬ決壊の時が訪れて。

 びくっ、どくどくどくどく

 瞬間、ひときわ大きく膨らんだ亀頭から、彼女の最奥へと、精液を流し込んだ。

「あ、あぁぁぁあああああ……」

 愉悦とも満足とも知れぬ美声を上げて、彼女は机から手を離し、崩れて落ちる。
 それを慌てて受け止める私。
 お陰で背中には埃と土が付き、すっかりしぼんだペニスが抜けた膣から溢れた液体が、私の股間を更に
盛大にねっとりと濡らしたりした。

「まぁ、これでイングリッドの機嫌も直るだろうし、良しとするか」
 今度からは順番抜かしについても決めとかなくてはな、心の中で私は独りそんな考えをまとめながら
イングリッド准尉をイスに預けた。


233 :ヴァン記 27/28 登場するオチ担当にて :2006/10/30(月) 01:43:43 ID:j+7a0Xru
 冷たいのを我慢して、備蓄されている清掃用水ーーー鉄槍の切れ味を保つために用意されている物。飲むことは
できないーーーで股間から情事の跡を流し落として軍服を着込む。
 彼女との交接が余りにハードだった為か、腰からはセルフストップが要求されたが、泣く泣く却下する。
 かなり遅延してしまったが、補給物資を取りに行かなくては。

 そうして、天幕を開けたらーーー、

「よぉ、大将。随分と、『お楽しみ』だったようじゃないか。あぁ?」
 
 ロングソードを十字に構えてそう言うのは、『切り裂き聖女』のセイラン・ミノーズ軍曹。
 彼女は顔は私に向けながらも、その視線の先には明らかに素っ裸(コートはかけた)でイスにつっぷす
イングリッド准尉を捉えている。
 まずい。この流れは、死亡フラグか任務失敗フラグかどちらかだ!

「なぁ、それでよぉ、そこのと同じようにアタシにも、権利はあるよなぁ? その、『順番を飛ばされた』
って分の、支払いがよぉ」
 あぁ、任務失敗フラグの方か……。
 溜息一つにうっすら星の浮かび始めた空を見上げるも、彼女の瞳は爛々と輝くままで逸れる気配もない。
「いや、ほら、見張りがいなくな」
「あぁ、それなら別の奴を立たせたさ。それに、知ってンだろう? アタシがいる限り、三里四方に敵が気付かず
忍び込むのは、不可能さ」
「……ならば、仕方がないな」
 しかめっ面をしてみせる私は、セイランを正面から見据え、互いに視線を合わせた。


234 :ヴァン記 28/28 ノリだけのオチにて :2006/10/30(月) 01:44:54 ID:j+7a0Xru
 私は告げる。

「隙を突いて、眼からビーム!!」
 突如、私の眼球から打ち出された謎の光線が彼女の瞳を焼く!!
「ぎゃぁあああああああ!!! 何じゃこらぁあああ!!! 眼が、眼がぁああ!」
「隙を突いて、ダッシュでとんずら!!」
 セイランの隣をすり抜け、部下達の休む兵舎へと逃げる私!!
「何なんだよコラァ!! ここまでの軍記っぽさ台無しじゃねえかぁああ!!」
「容量の都合です」
「またそれかぁ! ざけんな! ていうか誰だテメエは!」
「ヨウリョウ・ノ・ツゴウです」
「黙れやぁああああ!!!!」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「マジで黙ってんじゃねぇええ!!! アタシの出番はどうしたぁああ!!」
「謝れ! 当初は出る予定だったキュリエに謝れ!!」
「うるせぇええええええ!!!」


 天幕から響いてくる怒号を微かに聞き止めながら、私は哨戒に立つ兵士に言った。
「今から補給を集めに行ってくる。総員待機しておけ」
「あいよ、大将。でも、もう日は落ちやすぜ?」
「色々あってね。所で、ちゃんと全員いるのかい?」
 そう言うと、ヒゲもじゃの鉄槍兵は豪快に笑った。

「がっははははは!! 大将、『たった五〇人』の中隊に、何を言ってるんですかね!?」
 私は彼の言葉の意味が掴めず、首を傾げ、それから走って逃げた。
 迫り来る『切り裂き聖女』が、それはもう恐ろしかったのだよ。

 続けば続く!



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