Bitter Choco Liqueur
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ビターチョコリキュール
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「魔法少女キアラ」
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epilogue
くたびれた蛍光灯の灯りが、狭い空間を照らしている。かすかに漂うすえたアンモニア臭と、申し訳程度の芳香剤の匂いが混ざりあう。私はそこ……公園の公衆トイレ内に誰もいないことを確かめると、女子トイレの個室の一つに身を滑り込ませた。そのまま、後ろ手で鍵を閉める。
私は、薄汚れてくすんだ壁に背中を預けた。かすかに一息つくと、制服のスカートをまくりあげる。頬が紅潮するのを感じた。太股の付け根に指を伸ばし、下着の替わりに身につけている白いレオタード状のアンダーウェアに触れる。クロッチのところに指を引っかけ横にずらすと、陰毛の薄い幼い容姿の秘唇が露わになる。
「……んっ」
私は唇をかみしめながら、淫らな裂け目に指をはわせた。すぐにあふれだした雫が股間をぬらし、背筋をかける甘い感触にため息をこぼす。次第に私の自慰行為はエスカレートしていく。指を下の口にくわえ込ませ、時折、自ら肉芽を弾いた。
「おにいちゃ……んっ」
私の喉が、言葉を紡いだ。その単語に体が反応し、よりいっそう神経がたかぶっていく。青い欲望に身をゆだねて行われる一人きりの戯れは、いつも空想状の兄をお相手に進められていく。脳裏に描いた兄が私の耳元に生ぬるい吐息を吹きかける。兄の胸板が私の肌と密着し、二人の鼓動が重なりあう。兄の大きな手が私の未発達な乳房をまさぐっていく。いつしか、濡れた肉唇をいじる指も兄のものへと姿を変える。
「ぁ……あぅっ!!」
指が、少しだけ強く淫核を弾いた。私は思わず、強く目をつむる。その甘味な衝撃に、瞼の裏が白くなった。前進がこわばり、背筋がびくびくと震える。肉の裂け目から振きだした愛蜜が滴り落ちて、私の臭いが淀んだ空気に溶け込んでいく。
「あふぅ……」
私は壁に体重を預けたまま、しばし、快楽の充足とかすかな嫌悪感に身をゆだねた。肉欲の波が引くと、ようやく閉じていた瞼を開く。トイレットペーパーで名残惜しげな秘唇を拭い、レオタードインナーを戻し、制服を整えた。私は何事もなかったかのように女子トイレを後にした。
外に出ると、夜の冷たい空気が私の顔を包み込んだ。夜露を含んだ風が、まとわりついた淀んだ臭いを清めていく。ぽつんぽつんとたたずむ街灯に、植木の陰が黒く浮かぶ。繁華街の喧噪が、遠くこだましている。もの寂しい深夜の児童公園の風景が、漠然と広がっていた。
私は軽く頭を振って、意識をはっきりさせる。続いて、外していた極小のイヤホンを耳にはめ、首元に仕込んである小型通信機のスイッチをオンにした。
「……お兄ちゃん。聞こえる? ごめん。お待たせ」
私は喉元でささやくように、しゃべった。少しの間をおいて、返事が来る。
「……聞こえているよ、キアラ……」
砂嵐のようなノイズに重ねて、兄の声が耳に響く。
「……ずいぶんと長いトイレだったな……」
「デリカシーのないこと言わないで!」
私は顔を赤くして、大声を上げていた。通信機の向こうから、兄の笑い声が聞こえてくる。私は怒ったふりをしながら、内心、先ほどの痴態が兄にばれていないことに安堵した。
「……今日の作戦は重要だぞ。もちろん、わかっているよな……」
一転して、兄の声が真剣なものとなる。私は、兄に返事をする代わりに小さくうなずいた。
児童公園のすぐ向かいは、道路を挟んで私の通う学校となっている。夜はだいぶ更け、人通りは全くと言っていいほどない。それでも私は、さらに人気のない学校の裏手側に回り込んだ。道路と敷地を遮るフェンスをつかむと、そのままよじ登る。我ながら身軽に飛び降りて、校庭側に着地した。深夜の学校はいったん侵入してしまえば、誰かに見咎められる可能性は限りなく低くなる。私は用具倉庫の陰に、小走りで駆け込んだ。
「……ん」
周囲からの死角に身を潜ませた私は、手を組み、目を閉じた。静かに呼吸を整え、精神を集中させる。
――聖なる魔法よ。私の願いをチカラに変えて。
建物の隙間に流れ込んだ夜闇の中に、ぽっと光が浮かんだ。光の粒はいくつも浮かび、その大きさを増していく。柔らかい煌めきが私の体を包み込み、学校の制服を輝きに取り込んでいく。制服も光の粒へと姿を変えて、私は白いレオタード型のインナーだけの格好になった。そのまま意識を集中し続けると、今度は光の粒が実体へと変わり始める。私の体をまとうように動いた輝きは、やがて、私の願いに応じて赤とピンクを基調としたドレスへと姿を変えた。
ふわりとしたスカートはリボンとフリルで装飾されたややミニサイズ。胸元には、ルビーのように赤く輝くブローチがあしらわれている。頭と腰には、かわいらしい大きなピンク色のリボンが着いていた。手首と足下には、銀色のリングと、同じくピンク色のリボンがアクセントになっている。これが、もう一つの私の姿。魔法少女としての私の姿だった。この町には、人に仇なし、狂わせる魔物が住み着いている。そんな魔物を退治することが夜の私の仕事だった。
――私の願い……
もう一度、私はイメージを脳裏に描いた。それに応じて、背のリボンが輝きながら姿を変える。それは、まるで空を舞う蝶のような翼となった。私は、輝く鱗粉をこぼす羽を広げ、ふわりと夜の校庭に舞い上がった。
羽の調子を確かめるように軽く宙を舞って、校舎の屋上へと着地した。吹き抜ける夜の冷たい風が、ここでは一層強く感じられる。私は、空を仰いだ。ヴェールのように薄い雲が星空を覆い隠していた。時折、隙間から月明かりがこぼれている。雲の流れが速い。
「お兄ちゃん、本当にこの上空に魔女のアジトがあるの……?」
喉元でささやくような声を、超小型の通信機が拾い、無線に乗せて自宅にいる兄の元に届ける。兄は、いつも私の魔法少女としての仕事を、遠隔でサポートしてくれているのだ。そもそもこの通信機も兄が自作したものだ。
「……十中七、八といったところかな。今までの事件がそいつの仕業なら、被害の場所や時間から考えて、航空機のようなものを拠点にしている可能性が高いと思うんだ。それに……」
理系出身らしく理論的に兄が解説する。機械工学系の大学を卒業した兄は、今はコンピュータ関係の企業に技術者として勤めている。
「……ニアミスや事故を防ぐために航空機の管理は結構厳密に行われているんだよ。試しに、空港のシステムに侵入してデータを調べてみたら、この町の上空の情報に関して、不自然な改竄があったんだ……」
兄は情報を分析し、私が行う作戦を考えてくれる。時には、コンピュータの知識を生かしてハッキングをしてまで情報を集めてくれることもあった。今夜の作戦は、兄が敵のアジトを分析し、そこを私が直接やっつけるという重大なミッションなのだ。
「うん。わかったよ。お兄ちゃん」
「……キアラ、気をつけてな……」
私は、この仕事が好きだった。兄が、仕事で疲れているにも関わらず、一生懸命に協力してくれる。兄のナビゲートを受けながら夜の街を舞うと、まるで兄と一体になったかのような感覚を味わえる。
きゅん、と柔らかい感情が胸からわき起こる。連動するように、残り香のような甘い感触が私の股間によみがえった。私は一度だけ頭を降って、意識を切り替える。薄曇りの夜空を見上げた。雲の合間から、わずかに欠けた月が見えた。
私は屋上のコンクリートを蹴って、跳躍した。背の蝶の羽が輝く鱗粉をまき散らす。もっと高く、もっと強く……
空を舞いながら、願う私の想いがチカラに変わる。たおやかな蝶の羽は、少しずつ姿を変えて、やがて力強く羽ばたく巨鳥の翼へと化身する。一度大きく光の翼をふるわせると、私はさらに加速して上空を目指す。上昇気流を掴まえると、高度はぐんぐん上昇した。雲の中につっこみ、視界がふさがれる。それでも、構うことなく上を目指していく。すると、ぱっと目の前が広がった。
地面から見上げれば街の灯りにかき消されていただろう星々が、上空にきらびやかに輝いていた。視線を降ろすと、月光を反射した雲海が青白く浮かび上がり、どこまでも広がっている。私は雲を突き抜けて、その上に飛翔していた。思ったよりも風の勢いが強い。髪の毛とドレスのスカートがばたばたと音を立ててはためいている。
「お兄ちゃん。雲の上に出たよ!」
「……キ……アラ……や……は……」
電波の状況が悪いのだろうか。強い雑音にかき消されて、兄の声がよく聞こえない。このままでは、兄のサポートを受けられないかもしれない……そういう想いが去来して、不安がわき起こる。私は首を振った。いや、魔法少女として戦っているのはこの私なのだ。たまには、私一人でも立派にできることを兄に見せなければ。
私は、身にたたきつける強風をやり過ごしながら、360度の様子を探る。すると、視界の隅に妙なものを発見した。小さな黒い影が、月光にほのめく雲海の上をなめるように滑っていた。私は身をひねると、翼の向きを変えて、影の方角へと滑空した。
近づくにつれ、それは飛行船であることがわかった。やや離れた場所から見ると、のんびりとした速度で動くその乗り物は、牧歌的な印象を与える。だが、間近で見ると、その印象は正反対のものとなった。
巨大な船体が、威圧感を持って私を見下ろす。薄暗い色で塗られた外装は、月の光を怪しく反射している。ヘリウムガスが詰まっているであろうバルーンも、その表面は妙に硬質的だ。音も立てずにプロペラが回り動き続けるそれは、雲の上をはい回る甲虫を連想させた。私が接近したにも関わらず、全く反応を示さないことも不気味だった。
私は、飛行船よりも下、雲海をかすめるように飛びながら船体に肉薄する。周囲を旋回しながら、侵入路を探そうと思ったが、入り口は拍子抜けするほどすぐに見つかった。デッキの部分が、吹きさらしのオープンな造りになっているのだ。ずいぶんと趣味的なデザインだと思う。
私は、デッキの上に降り立つ。足音は、吹き抜ける風の音にかき消された。デッキに人影はない。ただ、隠しきれない禍々しさがあふれている。多分、この飛行船で間違いない。私は両足に自分の体重を任せると、背中の翼の化身を解いてリボンに戻した。キッと、船体の奥をにらみつける。
船内に満ちた悪意らしきものが、束ねた針のように肌をつく。私は心を臨戦態勢に切り替えた。それに応じて、両手首のリボンがするすると動く。二本のリボンはより合わさりながら伸びて、銀色に輝く一本のステッキになる。
「隠れているのはわかっているのよ! おとなしく出てきなさい!!」
私はステッキを構えながら、大声を上げた。返事はない。ただ、周囲の黒い気配がざわめいている。緊迫した沈黙が続く。やがて、その静寂は音もなく現れた影によって打ち消された。
「……ッ!?」
デッキの縁から、うごめく何かがはいだしてくる。わずかに差し込む月明かりに、くすんだ体表がてかっている。明らかに人外の様相のそれらは、私を包囲するほどの数がいた。私は銀の杖を強く握りしめる。
「聖なる魔法よ! 私の願いを、チカラに変えてッ!!」
私は、叫ぶ。ステッキの先端に、光の粒子が浮かぶ。輝く粒は凝集し、すぐに光でできた刃の形状となる。同時に、化け物たちは触手状の体をうねらせ、私に向かって飛びかかってくる。私は、後ろに飛びのきながら、なぎなたのように杖を振るう。名状しがたい叫び声をあげながら、白濁した体液をまき散らし、のたうつ身体の一部がばらばらになる。
……違う! コイツ等じゃない!!
私は、そう直感した。私を包囲するこの化け物は、確かに倒すべき敵だが、親玉に操られる手駒にすぎない。だいたい、こんな知性を感じさせない存在が、飛行船なんて凝ったアジトを用意できるわけがない。
「キシャアアァァァッ!!」
金切り声のような叫びをあげて、化け物の一匹が体液を吐く。考えごとをしていた私は、わずかに反応が遅れてしまう。とっさに身をかわすが、飛び散る体液がスカートのフリルをかすめる。じゅっという音と、焦げたような嫌な臭いを立てて、私の衣装の一部が溶解する。
「こ……のッ!」
私は輝く切っ先を向けて、杖を突き出す。光に貫かれた触手は断末魔のうめきをあげて、弾け飛ぶ。間髪あけずに次の目標に斬りかからんと、踏み込もうとする。そのとき、片足が動かない。触手の一匹が、私の右足に巻き付いていた。やむを得ず私は、杖の石突きでぬらつく胴体を叩きつぶす。気色の悪い肉片が飛び散り、弾け飛んだ体液でふくらはぎが汚れる。
「うぁ……ッ!?」
途端、右足に激痛が走る。片足が燃えるように熱い。折れそうになるひざを必死に支え、私を包囲する怪物をにらみ返す。残った数は、多くはない。
「えぇい!」
私はかけ声とともに、杖を大きく振り回す。光になぎ払われて、迫っていた触手が四散した。あらためて周囲を見回すと、およそ半数となった化け物たちが後ずさりを始めた。私にかなわないことを悟ったのだろうか。飛行船の縁まで身を退くと、遠巻きに私を囲みながら身をうごめかせている。
「……んッ!」
そのとき、急に私の身体を異変が襲った。ひざがガクガクと震える。右足の熱が全身に広がりつつある。さらに、違和感があった。私の身体を侵そうとする熱は、少しずつ甘味な色を帯びていく。辺りには私が斬り裂いた化け物の体液がぶちまけられている。その熟れすぎて腐った果実のような臭気が、甘い浸食を加速する。
「何よ……これ……ッ!?」
私は、杖に全身を預けてどうにか身を支える。甘いさざ波に全身が震え始める。かろうじて頭を上げた私は、周囲に気を配る。私を包囲する怪物の群は、それでも襲いかかってくる気配はない。ただ、完全に毒が回るのを待ち受けているだけかもしれない。意識がもうろうとなり始める。恍惚さを含むこの感触は、私がよく知っている感触であることに気がつく。空想の中で兄との逢瀬を交わすときに、味わう感触だった。
「あぅ……だめ……」
夢のような心地に身をゆだねそうになる中、必死に理性と意志の力を寄り合わせる。私は、内唇を思いっきり噛んだ。鋭い痛みが走り、口の中に血の鉄臭い味が広がる。それとは引き替えに、私は冷静さを取り戻す。銀色に輝く杖を構え直し、私は腹に力を込める。
「隠れているのはわかっているのよッ! 雑魚をけしかけてないで、正々堂々と出てきたらどう!?」
私は、当てずっぽうに叫んだ。
「あらあらん。ずいぶんと威勢がイイわねぇ」
耳に障るようなハスキーな声が、船体に響く。次いで、デッキ上の暗がりから、まるで闇の中から溶け出てくるように人影が現れた。ボブカットのヘアスタイルにした黒髪の下に、濃いアイシャドウを施した切れ長の瞳が光る。ぽってりと厚い唇には、毒々しい紫色のルージュが塗られている。胸元にはスイカと見紛うほどの巨大な乳房が揺れて、きゅっと引き締まったウエストからさらに下ると、バストにも見劣りしない大きなヒップが実っていた。その放漫な身体は、青紫のボンデージで引き締められ、いやらしく強調されている。むっちりとした太股から黒い革製のロングブーツを履いた脚がすらりと長く伸び、肩には漆黒のマントを羽織っていた。マントの内側に隠していたのか、太股越しに三本の触手が身をのたうたせているのが見える。
「まずは、自己紹介させてもらおうかしらん。私は、魔女ミダラ。よろしくねえ」
淫猥な雰囲気を漂わせた魔女は、二の腕であふれる乳房の形をゆがめながら、厚い唇を突き出す。目元が妖しく危うげな笑みを浮かべていた。
「ウフフ。とりあえず、私のアジトへようこそ。キアラちゃん、あなたの活躍は、可愛い使い魔たちを通して見させてもらっているわよん」
爛れるように甘ったるい声は、それでいて冷たい悪意をはらんでいる。私は目前の魔女に切っ先を向けて、にらみ返した。
「だったら、私にかなわないこともわかるでしょ!?おとなしく観念しなさい!!」
「そうも、いかないのよん。キアラちゃんには、私の使い魔を殺戮した埋め合わせをしてもらわないとぉ」
「訳の分からないことをいわないで! 人を狂わせている邪悪はあなたたちでしょッ!!」
私はステッキを降りかぶる。そのまま魔女に飛びかかろうと腰を屈めた。魔女は、手に余る巨大なミルクタンクを組んだ両腕で支えながら、余裕の表情を浮かべている。私が飛びかかろうとしたそのとき、魔女は唇を震わせながら再び口を開く。
「キアラちゃん。あんまり焦ると、意中の殿方にも嫌われちゃうわよお?」
「……ッ! 黙りなさい!!」
「それよりも、後ろを見てご覧なさい? 面白いモノが見られるわよお」
私は魔女を見据え続ける。魔女は一向に動く気配も、私を迎え受ける気配も見せなかった。私は正面に気を配ったまま、背後をのぞき見る。
そこには、先ほどはいなかったはずの巨大な怪物の姿があった。触手が何本も絡み合ってつぼみのような姿になっている。汚液を滴らせた汚らわしいつぼみは、ゆっくりとその身を割り開いていく。私は、その中を見て目を見開いた。そこには、触手に囚われた私の学校のクラスメイトであるマリちゃんの姿があった。
「ウフフ。これでわかったでしょお? キアラちゃんが、少しでも怪しい素振りを見せたなら……」
「たあぁぁッ!!」
魔女の言葉を遮って、私は級友を磔にする触手の群に突貫する。人質なんて、古典的な手段だ。魔女が反応する間も与えずに助け出してやればいい。銀色のステッキに宿った光の刃を一閃する。一瞬で触手はバラバラになる。糸の切れた操り人形のように崩れ落ちる級友を私は両腕で受け止めた。マリちゃんの皮膚と制服にまとわりついた粘液が私のドレスにふれて、装飾の一部を溶かす。
「これで人質作戦は失敗ね!」
私は級友の身体を抱き止めながら、魔女をにらみつける。
「うふん。それはどうかしら? その子の顔をよく見てみなさい」
魔女の言葉を受けて、私は反射的にクラスメイトの顔をのぞき込む。目を閉じて、浅く息をする顔はわずかに紅潮している。化け物の体液の影響を受けすぎているのかもしれない……私がそう思っていると、見知ったはずのマリちゃんの顔がこねられた粘土みたいにうごめいた。その動きは、マリちゃんの全身に広がっていく。
「きゃあッ!?」
次の瞬間、級友の身体が、文字通りほどけた。幾本もの細い触手に分かれる。ミミズのような触手が私の身体に一斉にまとわりつき、体の自由を奪われる。逃れようともがけばもがくほど、私は肉紐の絡まりに捕らわれていく。
「オーホホホ!! 正義の魔法少女も、所詮はお子さまということねぇ! その人質は、私の使い魔に幻影の魔法をかけたニセモノ。はじめから罠だったというわけ!!」
魔女が勝ち誇ったように高笑いをあげる。私はどうにか体の自由を取り戻そうともがいたが、その努力はすべて空回りする。触手に手首をひねられて、頼みの綱であるステッキを落としてしまう。
「あがいても無駄よお! 観念するのはアナタの方ね!!」
魔女がサディスティックな視線で私を見下ろしながら、近づいてくる。それと同時に、遠巻きに私を包囲していた触手の群が身を近づけ、鎌首をもたげる。
「ウフフ。アナタの聖なるチカラ……すべて、奪いとってアゲル」
魔女が心底楽しそうに、邪悪な笑い声をこぼしていた。
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悪堕ち
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異種姦
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寄生
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妹
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