子供の頃テレビの「冒険活劇物」や「時代劇物」などを観ていて「悪党の一味に捕われたヒロインたち」といった場面にたびたび出会った記憶がある。
悪の首領が 「こいつらにはもう用が無いからおまえたちで適当に始末しておけ」と 言って、当人はおそらく他の用事のほうが忙しいらしく、その場を立ち去る。...つまり首領は部下達に捕虜の殺害を命じた訳なのだが、ふと部下のひとりが捕虜の方を指して「このまま殺してしまうのが惜しいようないい女だぜ」と、つい口を滑らせてしまう。すると相方は、我意を得たりの口調で「なあに、たっぷり楽しんだあとで殺しても遅くはないさ」とお互いに意味深の笑顔を見交わせる。
その会話を聞いたとたん猿ぐつわの女は目を見開き驚愕の顔でおびえ出す、、、。
今私は大人なので、どういう具合に「楽しむ」のかは容易く想像出来るし、巷でそういう画像などがいくらでも簡単に手に入る環境にいる。しかし、まだ子供だった当時ではそういうことは何も解らない。
「きっと殺されるのと同じくらいひどい目に合わされるんだ」(しかもそれはとんでもなくいやらしくて、それこそ死んでしまいたいくらい恥ずかしいことらしい...)
やがて予想通り、危険ギリギリの所で勇壮なテーマ曲とともにヒーローがさっそうと登場!ヒロインを助け、悪者どもを散々に懲らしめてくれるのである。
子供達はほっと胸をなで下ろすのだが、なにしろ好奇心の強い頃である、「もしヒーローが間に合わなかったらあの女の人はどうなってたんだろう?」という疑問も当然起って来るのである。
もちろん子供時代でも、そういった疑問はいつの日かすべて解明される時が来るのだという事は十分予想出来ていたはずだ。
しかしその頃の私の頭には、樋口一葉の小説「たけくらべ」のヒロイン-みどりのように「このままずっと子供のままで一生遊んでいたい」という考えしかなく、「早く大人になりたい」などと願ったことはもちろん一度としてなかった...。
金井